第26回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【B-5】TCF特選洋画上映 -50年代NYを舞台に瑞々しく生きた彼女たち-

11/23[祝・水] パルテノン多摩小ホール

チケット料金

一般
前売:1,200円 / 当日:1,400円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

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ブルックリン

  • Brooklyn
  • 2015年/アイルランド、イギリス、カナダ/20世紀フォックス映画配給/1時間52分
  • 監督=ジョン・クローリー
  • 原作=コルム・トビーン
  • 脚本=ニック・ホーンビィ
  • 撮影=イブ・ベランジェ
  • 美術=フランソワ・セグワン
  • 衣装=オディール・ディックス=ミロー
  • 音楽=マイケル・ブルック
  • 出演=シアーシャ・ローナン、ジュリー・ウォルターズ、ドーナル・グリーソン、エモリー・コーエン、ジム・ブロードベント

ストーリー

アイルランドの小さな町に住むエイリシュ(S・ローナン)は、姉の勧めでニューヨークへとやってくる。慣れない生活でホームシックに苦しむが、勉学とイタリア系アメリカ人トニー(E・コーエン)との出会いによって洗練された女性へと次第に成長していく。そこにアイルランドからの知らせが届く。

コメント

「人生は選択の連続である」とはよく言ったものだ。ニューヨーク・ブルックリンとアイルランド・エニスコーシー、遠い地の物語のようだが、本作で描かれているのはとても身近で、誰もが通る道の話だ。

出会いと別れ、仕事、自立、恋愛といった経験から成長したエイリシュが作中で選ぶ道は、二者択一には難しすぎる問題だ。居心地よく人懐っこく響くイタリア訛りと故郷の安らぎをまとったアイルランド訛りのどちらにも惹かれるのは当然だろう。その決断は驚きをもって突然に提示されるが、清々しく観るものに勇気を与えるものだった。

決断を迫られるエイリシュの逡巡と憂いを表現したシアーシャ・ローナンの演技は素晴らしく、覚悟を伴った彼女の表情は人としてかっこよく見えた。

最後に彼女は言う。すべての人に向けた言葉だ。

"You'll realize that this is where your life is."

最後に一つだけ。きのこ・たけのこ論争とビアンカ・フローラ論争に続く、世界三大論争に名乗りを上げたブルックリン・エニスコーシー論争で、みなさんはどちらを選ぶだろうか。(遠)

キャロル

  • Carol
  • 2015年/アメリカ/ファントム・フィルム配給/1時間58分
  • 監督=トッド・ヘインズ
  • 原作=パトリシア・ハイスミス
  • 脚本=フィリス・ナジー
  • 撮影=エド・ラックマン
  • 美術=ジュディ・ベッカー
  • 衣装=サンディ・パウエル
  • 音楽=カーター・バーウェル
  • 出演=ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン、カイル・チャンドラー、ジェイク・レイシー
12歳未満の方は、保護者の同伴が適当です

ストーリー

1952年のニューヨーク。クリスマスの近づくある日、キャロル(C・ブランシェット)とテレーズ(R・マーラ)は、娘へのプレゼントを求める客と店員として百貨店のおもちゃ売場で出会った。テレーズはキャロルのエレガントな魅力に憧れ、キャロルは若いテレーズがしまいかけていた夢に共感。離婚をめぐり夫と争っているキャロルからの誘いで、ふたりはクリスマス休暇に西へ旅に出るが……。

コメント

赤は、情熱と決意を感じさせ、痛みを受けとめる強さと愛情をもつ色だ。その色は、クリスマス・シーズンにふさわしいものだと思わせつつ現れて、物語の進展とともに、より深く強いイメージを伴うものになっていった。最後には「自分の気持ちに正直であるか」という刺激的な問いになり、私を包み込んだ。

キャロルは美しい。印象的なのは、自ら選択しようとする姿勢や、厳しい状況におかれても娘や周囲への優しさを感じさせる振る舞いだ。想いを秘めた彼女のしなやかさに心が動かされる。

そして、キャロルとの突然の出会いがテレーズの人生を変えた。テレーズは、当初は自らの気持ちの正体をよく理解していなかったはずだが、そのチャンスをつかんだのは彼女自身である。こうして、偶然は運命になった。

排他的な雰囲気が緊張感とともに世界を覆う昨今にあって、本作は洗練された素晴らしい愛を提示し、境界線を越えていく小さな勇気を私たちに与えてくれる。ときには私も格好よく赤を身に着けたいと思った。(渉)

プログラム一覧

11/19[土] パルテノン多摩大ホール
授賞式
11/19[土] パルテノン多摩小ホール
オープニング
11/19[土] パルテノン多摩小ホール
11/20[日] パルテノン多摩小ホール
松岡茉優氏、佐藤貴博プロデューサー
11/20[日] パルテノン多摩小ホール
向井秀徳氏、真利子哲也監督、森直人氏(映画ライター)
11/23[祝・水] パルテノン多摩小ホール
11/23[祝・水] パルテノン多摩小ホール
中川龍太郎監督の舞台挨拶有り
11/26[土] パルテノン多摩小ホール
11/26[土] パルテノン多摩小ホール
11/19[土] ベルブホール
11/20[日] ベルブホール
エルザ・シャルビ氏(ブリィヴ映画祭ディレクター)、ユベール・ヴィエル監督、岡本英之氏(プロデューサー)
11/20[日] ベルブホール
マチュー・オルレアン氏(シネマテーク・フランセーズ)
11/22[火] ベルブホール
11/22[火] ベルブホール
11/23[祝・水] ベルブホール
矢崎仁司監督
11/23[祝・水] ベルブホール
杉本拓氏(ギタリスト・作曲家)、鈴木卓爾監督、黒川幸則監督他
11/24[木] ベルブホール
11/24[木] ベルブホール
11/25[金] ベルブホール
11/25[金] ベルブホール
11/26[土] ベルブホール
大橋裕之氏(漫画家)、神田松之丞氏(講談師)
11/26[土] ベルブホール
安川有果監督、渡辺真起子氏(女優)、月永理絵氏(「映画横丁」編集人)
11/27[日] ベルブホール
菊地成孔氏(音楽家)、韓東賢(ハン・トンヒョン)氏(社会学者)
11/27[日] ベルブホール
前田司郎監督、岡田徹氏(ムーンライダーズ)、松永良平氏(ライター)
11/26[土] ヴィータホール
中野量太監督、星野秀樹プロデューサー
授賞式
11/27[日] ヴィータホール
福島香織氏(フリージャーナリスト)
11/27[日] ヴィータホール
11/27[日] ヴィータホール
武田砂鉄氏(ライター)