第26回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【C-10】熟年夫婦、それぞれの思い

11/25[金] ベルブホール

チケット料金

一般
前売:1,000円 / 当日:1,200円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

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さざなみ

  • 45 Years
  • 2015年/イギリス/彩プロ配給/1時間35分
  • 監督・脚本=アンドリュー・ヘイ
  • 製作=トリスタン・ゴーライアー
  • 撮影監督=ロル・クローリー
  • 編集=ジョナサン・アルバーツ
  • 原作=デヴィッド・コンスタンティン「In Another Country(イン・アナザー・カントリー)」
  • 出演=シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ、ジェラルディン・ジェームズ、ドリー・ウェルズ、デヴィッド・シブリー

ストーリー

ジェフ(T・コートネイ)とケイト(C・ランプリング)は45年連れ添ったおしどり夫婦である。週末に結婚45周年記念パーティを控えた月曜日、ジェフのもとに山で落命した昔の恋人カチャについての1通の手紙が届く。ケイトはジェフとカチャとの関係を知るにつれ、またジェフの心がカチャに占められていく様子を見て不安に、孤独に苛まれてゆく。

コメント

この映画は闇にスライドを見る音で始まる。ジェフの秘密から始まるのだが観客はまだその意味を知らず、仲睦まじい夫婦としての生活を見ていくのだ。昔の恋人カチャの遺体が発見されたことで、ジェフの記憶は過去に遡り、次第に取り憑かれていく。初めは寄り添う気持ちのケイトも、あからさまなカチャへの思いを語るジェフに違和感を覚えていく。2人で決めた禁煙もジェフの方から破り、ケイトも喫煙を始める。また、自然にカチャの話をするジェフに自然ではいられないケイト。

弱冠42歳のアンドリュー・ヘイ監督は2人の間のさざなみが大きくなっていく様子や男女の違いを丁寧に描いていく。音楽も2人の思い出のポップスとケイトの弾くピアノの曲だけである。結婚45周年を祝うパーティでの2人の演技、特にシャーロット・ランプリングの表情は圧巻である。

永く寄り添ってきた夫婦にも、そう出来なかった夫婦にも、また若い人たちにも観てほしい。夫婦とは? 孤独とは? さあて愛と寄り添いについては言うまい。(寺)

監督・キャスト紹介

アンドリュー・ヘイ 監督

Andrew Haigh

1973年イギリス生まれ。ハリウッドに渡り、『グラディエーター』(2000年)や『ブラックホーク・ダウン』(01年)の編集補佐を務める。初監督の長編映画『Greek Pete』(09年)はロンドン・レズビアン&ゲイ映画祭で初上映。続く『ウィークエンド』(11年)で英国インディペンデント映画賞、イブニング・スタンダード・シアター賞の最優秀脚本賞を含む多数の賞を受賞。日本の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(現「レインボー・リール東京」)でも上映された。アメリカのケーブルテレビ局HBO製作ドラマ「LOOKING」(14年)ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めた。2017年には、ファッションデザイナーの故アレキサンダー・マックイーンの伝記映画を監督することが予定されている。

シャーロット・ランプリング

Charlotte Rampling

1946年生まれ、イギリス・エセックス州出身。オリンピック金メダリストで軍人の父親、画家の母親のもとに生まれる。フランスとイギリスで教育を受けたのち、ロンドンでスカウトされモデル活動スタート。『ナック』(65年)で映画デビュー。その翌年に公開された『ジョージー・ガール』で変わり者の女性を演じ、次世代スターとして取り上げられる。以後、イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督『地獄に堕ちた勇者ども』(69年)、女流監督リリアーナ・カヴァーニ『愛の嵐』(73年)、ウディ・アレン監督『スターダスト・メモリー』(80年)、シドニー・ルメット監督『評決』(82年)、大島渚監督『マックス、モン・アムール』(86年)、アラン・パーカー監督『エンゼル・ハート』(87年)など堪能な語学力を活かしてヨーロッパ、ハリウッドで活躍する。その後しばらくスクリーンから遠ざかっていたが、フランスの異才フランソワ・オゾン監督の『まぼろし』(2001年)、『スイミング・プール』(03年)で復活、圧倒的な存在感を示した。本作品での演技が新たな代表作の誕生と高く評価され、50年に及ぶキャリアのなか、第88回アカデミー賞®主演女優賞に初ノミネートされ、第65回ベルリン国際映画祭コンペティション部門では銀熊賞女優賞を共演のトム・コートネイの男優賞とともにW受賞。

トム・コートネイ

Tom Courtenay

1937年生まれ、イギリス・ヨークシャー州出身。王立演劇学校で学び、60年に舞台デビュー。トニー・リチャードソン監督『長距離ランナーの孤独』(62年)に主演し、英国アカデミー賞新人賞を受賞。『ドクトル・ジバゴ』(65年)でアカデミー賞®助演男優賞受賞、『ドレッサー』(83年)で同主演男優賞ノミネートなど演技が高く評価されている。主に舞台を中心に活動、トニー賞にも2度ノミネートされる。2001年には40年間にわたる映画・舞台での活躍が評価され、ナイトの称号が贈られた。本作で第65回ベルリン国際映画祭コンペティション部門銀熊賞男優賞を受賞。

劇中挿入曲(本国リリース年)

 

1. My Autumn’s Done Come/リー・ヘイゼルウッド(1966)

2. Remember (Walking In The Sand)/ザ・シャングリラズ(1964)

3. 二人だけのデート(I Only Want To Be With You)/ダスティ・スプリングフィールド(1963)

4. Stagger Lee/ロイド・プライス(1959)

5. Tell It Like It Is/アーロン・ネヴィル(1966)

6. いつも心に太陽を(To Sir With Love)/ルル(1967)

7. ヤング・ガール(Young Girl)/ゲイリー・パケット & ユニオン・ギャップ(1968)

8. ハッピー・トゥゲザー(Happy Together)/タートルズ(1967)

9. 煙が目にしみる(Smoke Gets In Your Eyes)/プラターズ(1958)

10. ゴー・ナウ!(Go Now!)/ザ・ムーディー・ブルース(1964)

11. I Don’t Want To Set The World On Fire/インク・スポッツ(1941)

12. スザンヌ(Suzanne)/レナード・ コーエン(1967)

13. The Old Man’s Back Again/スコット・ウォーカー(1969)

プログラム一覧

11/19[土] パルテノン多摩大ホール
授賞式
11/19[土] パルテノン多摩小ホール
オープニング
11/19[土] パルテノン多摩小ホール
11/20[日] パルテノン多摩小ホール
松岡茉優氏、佐藤貴博プロデューサー
11/20[日] パルテノン多摩小ホール
向井秀徳氏、真利子哲也監督、森直人氏(映画ライター)
11/23[祝・水] パルテノン多摩小ホール
11/23[祝・水] パルテノン多摩小ホール
中川龍太郎監督の舞台挨拶有り
11/26[土] パルテノン多摩小ホール
11/26[土] パルテノン多摩小ホール
11/19[土] ベルブホール
11/20[日] ベルブホール
エルザ・シャルビ氏(ブリィヴ映画祭ディレクター)、ユベール・ヴィエル監督、岡本英之氏(プロデューサー)
11/20[日] ベルブホール
マチュー・オルレアン氏(シネマテーク・フランセーズ)
11/22[火] ベルブホール
11/22[火] ベルブホール
11/23[祝・水] ベルブホール
矢崎仁司監督
11/23[祝・水] ベルブホール
杉本拓氏(ギタリスト・作曲家)、鈴木卓爾監督、黒川幸則監督他
11/24[木] ベルブホール
11/24[木] ベルブホール
11/25[金] ベルブホール
11/25[金] ベルブホール
11/26[土] ベルブホール
大橋裕之氏(漫画家)、神田松之丞氏(講談師)
11/26[土] ベルブホール
安川有果監督、渡辺真起子氏(女優)、月永理絵氏(「映画横丁」編集人)
11/27[日] ベルブホール
菊地成孔氏(音楽家)、韓東賢(ハン・トンヒョン)氏(社会学者)
11/27[日] ベルブホール
前田司郎監督、岡田徹氏(ムーンライダーズ)、松永良平氏(ライター)
11/26[土] ヴィータホール
中野量太監督、星野秀樹プロデューサー
授賞式
11/27[日] ヴィータホール
福島香織氏(フリージャーナリスト)
11/27[日] ヴィータホール
11/27[日] ヴィータホール
武田砂鉄氏(ライター)