第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【D-5】枝優花監督特集

11/25[日] ヴィータホール

チケット料金

一般
前売:1,200円 / 当日:1,400円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

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さよならスピカ

  • 2013年/早稲田大学シネマプロダクション/42分 
  • 監督・脚本・撮影=枝優花
  • 出演=関口真愛、明神佐和子

ストーリー

双子の舞子(関口)と佐和子(明神)。しかし二人はまったく似ていなかった。舞子は皆から可愛いとちやほやされ、佐和子は自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。佐和子は、舞子に憧れていた。どうしたら舞子のように可愛くて、皆から愛される人間になれるだろうか。そんなある日、ひょんなことから二人は入れ替わってしまう。その日を境に二人の生活が一変する。

コメント

『転校生』(1981年)はじめ心と体が入れ代わる作品はこれまでも多く描かれてきたが、容姿の違いによる思春期・少女期の性格形成・コンプレックスについて踏み込んだ作品はほかになかったかもしれない。『少女邂逅』にしてもある時期の少女にしか感じえない心の痛みを描きながら、それが性別・年代問わず幅広い世代にスクリーンからひしひしと伝わり、シンパシーを感じさせるのは枝監督ならではのマジックだ。正確に言えば、性別や世代が異なる者にとってその感受性は未知なる世界であるのに、それを自分のことのように思わせてしまう魔力がある。

対照的な双子を演じる関口真愛、明神佐和子が、アイデンティティを確立できない不安定さを繊細かつ鮮明に演じていて素晴らしい。両親の思慮無い言葉や大勢の人々が行きかう街中で独り取り残される姿がグサグサと心に刺さる。(淳)

放課後ソーダ日和(第1話、第2話、第3話)

  • 2018年/AlphaBoat合同会社製作/約31分
  • 監督・脚本・編集=枝優花
  • プロデューサー=夏賀傑、森下友洋
  • 撮影=平見優子
  • 音楽=塩塚モエカ(羊文学)
  • 主題歌=ドラマ、天気予報
  • 出演=森田想、田中芽衣、蒼波純、福崎那由他、大坂美優、保柴萌香、モトーラ世理奈、芹澤興人

作品紹介

『少女邂逅』の世界とまた違った、17歳の青春を描いた枝監督のオリジナルストーリー作品。枝監督は“世界一美しい飲み物”クリームソーダを東京中追い求めて撮ったそうです。

少女邂逅

  • 2017年/SPOTTED PRODUCTIONS配給/101分 
  • 監督・脚本・編集=枝優花
  • 撮影=平見優子
  • 美術=すぎやまたくや
  • 音楽=水本夏絵
  • 出演=保柴萌香、モトーラ世理奈、土山茜、秋葉美希、近藤笑菜、根矢涼香、松澤匠、松浦祐也

ストーリー

いじめをきっかけに声が出なくなったミユリ(保紫)は山の中で拾った蚕に紬(ツムギ)と名付け、大切に飼っていた。ある時、いじめられているところを一人の少女に助けられる。翌日その少女がミユリのクラスに転校生としてやってくる。その少女は紬(モトーラ)と名乗り、二人は次第に仲良くなっていく。

コメント

この映画に出てくる少女たちはみんなどこか儚く、不確かで、いつかプツッと消えてしまいそうなあやうい雰囲気を醸し出していた。そしてその空気はどこか心地よく、懐かしくも感じられた。

高校生の時どんな気持ちで過ごしていたのか、この映画を観るまですっかり忘れていた。あの頃が無くなりはしないと分かっていながらも、映画のなかに引きずり込まれて久しぶりに体感した少女たちのあやうさに、もうあの時間は戻ってこないんだな、と少し切なくなった。画面の中の彼女たちは今もギリギリのところを生きていて、10代の多感な時期を大きくも小さくもせず、まっすぐに映像としてとらえられている。それは監督の持つ熱量と彼女たちの熱量がうまく響きあったからなのだろう。

ぜひ映画を観た後はミユリと紬の真似をして喫茶店でクリームソーダを飲んでみてください。そしてじっくり映画の余韻に浸ってみてください。(北)

ゲスト紹介

枝 優花 監督

Eda Yuka

1994年生まれ、群馬県出身。監督作『さよならスピカ』(2013年)が第26回早稲田映画まつり観客賞、審査員特別賞を受賞。翌年の同映画祭でも『美しく腐る』(14年)が観客賞に選ばれる。『オーバー・フェンス』(16年)の特典映像制作やMV監督を務める一方、「ViVi」「装苑」などでのスチル撮影など活動は多岐にわたる。『少女邂逅』はMOOSIC LAB 2017で観客賞受賞後、18年劇場公開し、半年に渡るロングランヒットを記録。香港国際映画祭や上海国際映画祭などでも上映された。来年公開の女性監督オムニバス映画『21世紀の女の子』の1篇を監督している。

穂志 もえか(保紫 萌香)氏

Hoshi Moeka

1995年生まれ、千葉県出身。講談社主催の「新しい時代にふさわしいまだ見たことのない女の子」を探すオーディション・ミスiD2016にてグランプリを受賞。JUJU Music Video「東京」(監督:萩原健太郎)に主演。650万回再生を突破し注目を集める。近年の出演作はドラマ「目玉焼きの黄身いつつぶす?」(17年)、「ザ・ブラックカンパニー」(18年)、「獣になれない私たち」(3話、18年)。

プログラム一覧

今泉力哉監督、三宅唱監督
東出昌大氏、金原由佳氏(映画ジャーナリスト)
望月衣塑子氏(東京新聞社会部記者)
大九明子監督、菊地健雄監督、白石裕菜企画プロデューサー、八尾香澄プロデューサー
伊藤沙莉氏、渋川清彦氏、飯塚健監督
高橋隆大氏、長尾理世氏、石丸将吾氏、唐鎌将仁氏、飯野舞耶氏、律子氏(以上出演者)、石川貴雄氏(助監督)
清原惟監督、佐々木敦氏(批評家/HEADZ)、長尾理世氏(『ゾンからのメッセージ』出演)、律子氏(『ゾンからのメッセージ』、『わたしたちの家』出演)
ベルトラン・マンディコ監督、エリナ・レーヴェンソン氏(女優)、五所純子氏(文筆家)
有坂塁氏(移動映画館「キノ・イグルー」代表)
原一男監督
遠藤麻衣子監督、夏目深雪氏(批評家、編集者)
村川透監督
団地団
(大山顕氏、佐藤大氏、速水健朗氏、稲田豊史氏、山内マリコ氏)
細川徹監督、三宅弘城氏
菊地健雄監督、片桐はいり氏
カメ止めチーム
中野ダンキチ氏(サメンテイター)、藤田みさ氏(ラジオパーソナリティ)、中野将樹氏(芸術家)ほか
深川麻衣氏、志田彩良氏
枝優花監督、穂志もえか(保紫 萌香)氏、金原由佳氏(映画ジャーナリスト)