第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラムレポート

【B-5】日本のジャーナリズムを考える2019

11/30[土] パルテノン多摩小ホール
  • 10:15-11:46
    記者たち ~衝撃と畏怖の真実~
  • 12:10-14:03
    新聞記者
  • 14:10-14:50
    トーク
    ゲスト:河村光庸プロデューサー 聞き手:松崎健夫氏(映画評論家)
    (シム・ウンギョン氏、藤井道人監督のビデオメッセージあり)

権力とジャーナリズムを描いた日米の映画作品、『記者たち ~衝撃と畏怖の真実~』『新聞記者』上映後、『新聞記者』プロデューサー河村光庸氏をゲストにお迎えして、映画評論家の松崎健夫氏が聞き手として、本年度TAMA 映画賞 特別賞受賞作、最優秀新進女優賞 シム・ウンギョンさん主演作『新聞記者』が引き起こした「新聞記者」現象に迫ろうと企画いたしました。

冒頭、藤井道人監督とシム・ウンギョンさんのビデオメッセージを放映。

藤井監督は、このオファーに対して、元々新聞も読まないし政治に無関心な若者だったし、周りに危険があるんじゃないか、圧力をかけられるのではないかと思い断ったが、河村プロデューサーから「生活と政治は切り離して考えることはできないし君のような若者こそこの映画を撮るべき」と言っていただき受けることにしたという経緯を披露。シム・ウンギョンさんは、撮影の期間が韓国とは違って20日間という短時間だったこと、記者の役なので、言葉とか覚えるのが難しかったことなど、撮影苦労話を。「真実と選択の話だと思っています。映画を観た皆さんと一緒に考える時間になったらうれしいと思います」とのメッセージも。

トークは、松崎さんのQに河村さんが答える形で進行。

・製作動機は?
-政権がひっくり返るような出来事が起こっているにもかかわらず未解決のままであり、このような形での権力の維持が国民の目線でなされているのかということにおいて大きな危機感を感じた。一方、家庭でも学校でも職場でも、政治、自由、民主主義を話す時間が全くないし、映画業界においても政治的な作品が全く作られていないから、作った。

・シムさんの起用について
―シムさんは子役時代からすごいと思っていた。シムさんが言葉の壁を超えて日本でやろうという覚悟があった。先程シムさんが撮影期間のことを言っていたが、韓国は予算も多く撮影期間も長く韓国ではゆっくり撮れるが、撮影時間が短い。シナリオができたのも直前だったがびっくりするくらい覚えてくれた。

・公開されたとき、かつての社会派作品と比べれば甘いという声もあったが、むしろ社会派映画が作られなくなるという危機感があるのではないか。
-覚悟を決めてこの映画をやろうとした。具体的な圧力があったわけではない。上映館を口説いていき150館まで広げていき、多くのお客さんが来てくれた。結果、ネトウヨからの攻撃は1回だけ、それ以外は脅しもない。やったもん勝ちだと思った。そしてこの映画を守るため自分を守るため、宣伝の先頭に立って目立つようにした。その結果なにもない。(会場から拍手)

・11/15に公開された森達也監督『i-新聞記者ドキュメント-』も河村さんの製作ですが、劇映画とドキュメンタリー両方やろうとした動機について。
-最初は、ドキュメンタリーとフィクションを合わせたような作品を構想していた。実名でやろうと思ったが、作り方が全然違うので無理だと。劇映画はシナリオどおりやる。それを役者さんが味付けする。ドキュメンタリーは大まかなテーマはあるが、結末どうなるかわからないので撮りながら考えていく。なので別々に作った。

・『新聞記者』というタイトルながら皮肉にもネットの力で盛り上がったということについて。
-確かに本作はSNSでとりあげてもらって盛り上がった。私はSNSは信用していないが、恐るべしと痛感。しかしSNSは裏をとらない。新聞は裏をとって責任をもって誤報をしないように努めている。そういう意味では多様性を担うメディアとしての「新聞」にエールを送る意味でこの映画を作った。

昨年「日本のジャーナリズムを考える」というタイトルで『タクシー運転手 約束は海を越えて』『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』の上映と『新聞記者』の原案者である東京新聞望月衣塑子氏の講演で大変多くのお客さまにお越しいただき盛り上がったプログラムでしたが、今年もトーク中会場から拍手が起こりまさに「新聞記者」現象が再現された熱いトークセッションになりました。TAMA映画祭プログラムの多様性という観点から今後もハイブローな社会派プログラムを企画していきたいと思いました。ご来場いただきましたお客様、ありがとうございました。

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