プロミス上映会レポート

プロミス

 *シャローム、サラームへの道

 『プロミス』は、イスラエル・パレスチナ問題を取り扱ったドキュメンタリーである。しかしシリアスで明確な政治的メッセージを打ち出している他のドキュメンタリーとは異なり、暗く重い印象が残らない。むしろ開放感と希望を私に与えてくれた。子供達に現実を語ることによって、観客はイスラエル・パレスチナ情勢における問題点を素直に受け止めることが可能になり、さらに現状打開策や世界平和についての考察へと自然に導かれていく。

 私にとっての驚きは難民キャンプの様子である。テント生活のようなものを想像していたのだが、彼等は快適そうなアパートメントに住んでおり、コンピュータまで所有している。これは、50年にも及ぶ難民生活を物語っている。子供達は3世代、4世代目にあたり、難民人口も当初の75万人から現在は500万人に達しているそうだ。一方、イスラエルの子供達は非常にアメリカナイズされている印象を受けた。彼らも一見普通の生活をしているのだが、通学しているバスが爆弾テロにあい、死ぬかもしれないという危機感を持っている。7人の子供達にとって普通の生活とは生死を脅かす危険が常に伴うのである。
 
 子供達は車で20分たらずの距離に住んでいながら、お互いの生活、社会状況を知らずに育った。それは双方の大人社会がそのように仕向けているからである。子供達は交流する機会を与えられることによって互いの関係に変化が生じ始め、歓談したり、サッカーを楽しんだりして1日を過ごし、あたかも友人関係が築かれたかのごとく見えた。ところが、2年後撮影された7人の子供達のコメントは現実の厳しさを物語っていた。彼等は成長してしまったのである。しかし、パレスチナ難民3世のアラブの少女サナベルはユダヤ人の子供と会いたいと語っている。「もっと多くの子供達が交流を深めていけば、そのうちお互いに対する理解が生まれるわ。」と。彼女の最後のコメントは私の心に深く響いた。この映画が最も伝えたかったのはまさにこれではないだろうか。

 *ヘブライ語とアラビア語で平和の意
 

*「プロミス」公式ホームページ:
 http://www.uplink.co.jp/film/promises/index.html