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作品紹介
30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。中学生の息子がいる桜子は、多忙な夫を支えながら家庭を守る平凡な暮らしにどこか寂しさを感じていた。編集者である夫をもつ芙美もまた、真に向き合うことのできないうわべだけ良好な夫婦関係に言い知れぬ不安を覚えていた。あかりはバツイチ独身の看護師。できの悪い後輩に手を焼きながら多忙な日々を過ごし、病院で知り合った男性からアプローチを受けるも今は恋愛をする気になれずにいる。
純の現状を思わぬかたちで知った彼女たちの動揺は、いつしか自身の人生をも大きく動かすきっかけとなっていく。つかの間の慰めに4人は有馬温泉へ旅行に出かけ楽しい時を過ごすが、純の秘めた決意を3人は知る由もなかった。やがてくる長い夜に彼女たちは問いかける。
―私は本当になりたかった私なの?
『ハッピーアワー』公式サイト ≫
- 第68回ロカルノ国際映画祭 インターナショナル・コンペティション部門 最優秀女優賞、脚本スペシャル・メンション受賞
- 第37回ナント三大陸映画祭 コンペティション部門 『銀の気球』賞、観客賞
- 第26回シンガポール国際映画祭 アジア長編映画コンペティション部門 最優秀監督賞
- 2015年 第89回キネマ旬報ベスト・テン第3位
- 2015年 映画芸術日本映画ベストテン第2位
- 田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら、申芳夫、三浦博之、謝花喜天、柴田修兵、出村弘美、坂庄基、久貝亜美 ほか
製作総指揮 : 原田将、徳山勝巳
プロデューサー : 高田聡、岡本英之、野原位
監督: 濱口竜介
脚本: はたのこうぼう(濱口竜介、野原位、高橋知由)
撮影: 北川喜雄
製作・配給: 神戸ワークショップシネマプロジェクト(NEOPA,fictive)
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コメント
この若い作家の視覚は、背景となった神戸の町を、まるでジャック・リヴェットの撮るパリのような非現実的な空間へと変容せしめ、女性たちを、ジョン・キャサベテスの撮る存在のような驚異の生々しさへと変容せしめている。にもかかわらず、この二十一世紀の女性映画は増村保造にすら似ておらず、独自のあやうさとしたたかさのなかで揺れ続け、見るものを魅了する。上映時間の5時間17分は、平成日本には過ぎた貴重な贈りものだといえる。これを玩味せずにおく理由などまったく存在しない。必見!!!
蓮實重彦(映画評論家)
一点倒立、
漂着した瓦礫を立てつづけた男が教示する。
重心、軸、回転、温度、鼓動、
意識した途端に揺れはじめる女たち。
独りの点、人の線、人間の面、世界の体、映画の胞。
俳優の才能とは、演技の巧みさよりも、
人物の動態という時空間にみずからを投じることだ。
本作には4人の名女優がいる。
彼女たちがアマチュアと知って、頷いた。
4つの女がそれ自体として存在する
五所純子(文筆家)
5時間17分は、掛け値なしに、あっという間に過ぎた。
そして映画を見終えた後、その外の世界の見え方は、果たして、劇的に変わってしまったように思われた。
あかりや、純や、桜子や、芙美が、たがいの「微笑」に秘められている、とほうもない数のニュアンスを丹念に聴き届けようとするその時間を共有し終えたいま、街を歩き、見知らぬ顔とすれ違うたび、それらの顔に、同様のひろがりや深さを予感せずにいることはできないからだ。
三浦哲哉(映画研究・批評、青山学院大学准教授)
私は「ハッピーアワー」を観た後、当然だと思っていたこと、慣れ親しんだことについて
自らに真摯に問いかけるようになりました。
映画とは何か 演技とは何か
関係とは何か 幸せとは何か
長いランニングタイムの間、静かに淡々と最後まで語るような監督の姿勢はとても印象的で、
心の奥深いところから正直に表現を紡ぎ出す4人の女優にもとても驚きました
特異に見える点は見当たりません。
しかし、最後はとても新しい映画だと感じられる驚くべき映画です。
ムン・ソリ(女優『オアシス』『自由が丘で』)
『ハッピーアワー』を観ることは、挑戦であり、同時に冒険でもあります。21世紀のコミュニケーションシステムが我々に課す挑戦であり、伝統的な物語映画のフォーマットを越えて我々を異なる体験へと連れ出すような冒険です。私たちの生活の5時間と少しを『ハッピーアワー』に費やすことを、私は心よりお奨めします。上に述べたような理由のみでなく、濱口竜介の映画は実際、まったく長くはないからです。むしろ、4人の素晴らしいヒロインと出会い、彼女たちの日常の経験を大小分かち合うとき、彼女たちともっと一緒にいたいと思うことになるのです。彼女たちを抱きしめ、彼女たちが生きることの苦難に耐えるのを助けるためだけではなく、私たち自身をもう少し理解するためにも。
カルロ・シャトリアン(ロカルノ国際映画祭アーティスティック・ディレクター)
物語、脚本、役者、そして演出といった映画制作のあらゆるレベルにおいて、「素晴らしい」の一言に尽きる
ウド・キア(俳優 『サスペリア』『メランコリア』)
(非常に美しい作品、)途方もなく野心的
リベラシオン紙(フランス)
見るものを恍惚とさせる、魔法のような映画
フィルム・ド・カルト(フランス)
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