祝・最優秀新進男優賞受賞!俳優、声優、楽曲提供など今映画界で最も注目すべき男“星野源”の初主演ドラマ・初主演映画を2本立てで上映!トークゲストには『箱入り息子の恋』の市井昌秀監督と、星野源と親交の深い放送作家・寺坂直毅氏をお迎えします。星野源が『箱入り息子の恋』の健太郎を演じる際にモデルにした人物がなんと寺坂氏だそうです!星野源と仕事現場を共にしたお二人が語る彼の魅力とは…。これは見逃せません!!
12月1日(日)ヴィータホール 第1部
自宅と職場の市役所を行き来するだけの毎日を送っている天雫健太郎(星野)。彼女いない歴=年齢の独身男。息子の将来を案じた両親は親同士が婚活をする代理見合いに参加し、今井奈穂子(夏帆)とお見合いをするチャンスを掴んでくる。実は彼女の目がまったく見えないとは知らずに……。真剣だからこそ滑稽で、無様だからこそ心に刺さる、35歳の童貞男の恋の行方は果たして!
星野源演じる天雫健太郎という男、言動が予測不能でおもしろいのだが、それゆえ実に恐ろしい男である。35年間人付き合いもせず内気に生きてきたかと思えば、凡人では思いもよらないことを急にやってのけたりする。今まで感情を抑えて生きてきただけにその爆発力が尋常ではないのだ。もしかしたらある人にはホラー映画のように映るかもしれない。
健太郎から滲み出る不穏さと生々しい暴走に、背筋がぞっとなりながらも思わず笑ってしまう。相手を思う気持ちが溢れ過ぎているゆえの暴走。まっすぐで憎めない男でもある。そして星野源が演じるとなぜか危険度が多少和らぐような気がする。
当事者たちが必死であればあるほど滑稽で笑えてくるから不思議だ。もちろん笑いだけでなく、厳しい現実を突きつけられるシーンでは胸がつまり見ていられなかった。「人間完璧じゃつまらない。欠点があるからこそ愛おしい。」そんな風に思わせてくれる作品だ。きっと人間誰しも欠点だらけなのだから。(純)
ゲスト:市井昌秀監督、寺坂直毅氏 司会:那須千里氏(ライター)
1976年生まれ、富山県出身。俳優・柄本明が主宰の劇団東京乾電池の研究生を経て、ENBUゼミナールに入学し映画製作を学ぶ。初の長編作品となる自主映画『隼(はやぶさ)』が、2006年の第28回ぴあフィルムフェスティバル(以下PFF)にて、準グランプリと技術賞を受賞。長編2作目となる『無防備』が、08年の第30回PFFにてグランプリと技術賞、Gyao賞も受賞する。そして同年開催の第13回釜山国際映画祭のコンペティション部門にてグランプリ受賞、翌年の第59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門にも正式出品される。
1980年生まれ、宮崎県出身。放送作家。星野源がナビゲーターを務めていたJ-WAVE「RADIPEDIA」では情報の運び屋であるポーターを担当。家から徒歩圏内にデパートが何軒も乱立する環境で幼少期を過ごし、魅力に憑りつかれたため日本全国のデパートを行脚した「胸騒ぎのデパート」(東京書籍)を刊行。他にNHK紅白歌合戦の魅力に憑りつかれたために、家でミニチュアで紅白のステージを再現する趣味を持つ。好きな女性は黒柳徹子。
昼下がりの午後3時。私は今日もここ、ルノアールへとやってきた。誰かに呼ばれたわけでも、誰かに頼まれたわけでもない。自主的にだ。帰巣本能?いや違う。犯罪者が現場に戻る心理?いや違う。私は暇なのである。脱力妄想喫茶、ルノアールへようこそ。
せきしろ原作の妄想エッセイを大根仁による演出で映像化。実在する“喫茶室ルノアール”を舞台に、常連客の“私”が人間観察をしながら突き抜けた妄想にハマりこんでゆく物語。
このドラマは半分営業中の喫茶室ルノアールを使用して撮影されたらしい。内容も斬新であれば撮影方法もまた斬新である。そして物語はほぼルノアールの店内だけで進んでいくのだが、“私”の計り知れない妄想力のおかげで忙しない広がりを見せていく。この“私”の妄想がかなり奇抜。妄想もここまでくると立派なエンターテインメントになるのである 。
そして星野源がこの妄想に没頭する“私”をテンポ良くコミカルに演じている。セリフはほとんどないのだが表情、しぐさ、間の取り方がことごとく絶妙でたまらない。星野源は他のどの作品においても唯一無二の雰囲気で圧倒的な存在感を示している。決して派手とはいえないその風貌から繰り出される、ある種振り切れた演技は一度見たらクセになってしまうのだ。
“私”の発想力があればどんな状況でも楽しく生きていけそうな気がして憧れる。ルノアールへ行ってブレンドを飲みながら人間観察をすれば習得できるのだろうか。(純)
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