国内外の映画祭で高い評価を受ける濱口竜介監督の代表作『親密さ』の上映と、劇中歌を歌う岡本英之氏のミニライブを開催。映画の余韻と日常の風景が親密に出会う独特な映画体験をご堪能ください。
12月1日(日) ベルブホール 第2部
新作舞台の上演を間近に控えた演出家の令子と良平は、コンビで演出を手がけているが、そのやり方に次第に限界が見え始めて……。後半、彼等の作った演劇を大胆にもまるまる記録した本作は、映画と演劇、ドキュメンタリーとフィクションそれぞれの間を漂いながら、鮮烈で新しい映画体験を観客に与える。
映画の終わりはエンドクレジットではない。作品を思い出すたびに映画は続く。名画について考えるときに思うような、そんな素晴らしい余韻を残すのが、この『親密さ』である。
『親密さ』という演劇の公演までの準備風景を、フィクションまたはドキュメンタリーとして撮った前半と、その演劇をまるまる撮影した後半、そしてエピローグと、独特な3部構成をとっている本作。映画と演劇、フィクションとドキュメンタリーの間を交差する、境界不十分な255分を眺めているうちに、スクリーンのあちら側(映画)とこちら側(日常)の境界さえも揺らいでくる。そんな言葉では何とも説明しきれない映画体験と共に描かれるのは、今を生きる若者たちの青春群像である。
彼らが行き交う「距離」・過ごす「時間」を、温もりや匂いを感じるように体験していくなかで、完成の見えない稽古が演劇となるまでの日々を ―― 近づいては離れる恋人たちの揺れ動く関係性を ―― 夜がやがて朝になるまでの、その闇と光の移り変わりを ――想いが言葉となって形になる瞬間を ―― 劇場を後にする私たちの映画の余韻と日常の風景が出会うときを ―― それぞれの、確かに存在したかけがえのない「距離」や「時間」と、その間にあるぼんやりとしたものが『親密さ』というポジティブな響きで名付けられたことに気付いたとき、私たちは清々しい感動に包まれる。(宮)
ゲスト・演奏:岡本英之氏 with バンド(岡本英之=vocal 松本頼人=guitar 大山憲治=bass 渡辺聡彦=drums)
1979年生まれ、岡山県出身。大学在学中よりバンド活動を開始。The Chronicles(2001~07年)のボーカリストなどを経て、現在はソロアーティストとして活動。濱口竜介監督作品『親密さ』ほか、映画作品への楽曲提供も多数行っている。
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