11月28日(金)ベルブホール 第1部
寛永三年正月四日。本所・枕橋に〈さなだや〉という名の小さな蕎麦屋があった。この店では、主の庄兵衛(柄本)の定めた慣わしで毎年、信州の〈さなだ蕎麦〉だけを客に出していた。舌が曲がるほどに辛く誰も店には来なかった。しかし、毎年大店の主人風の男(松平)は「来年また来るよ」と言って去って行った。そして、今年の正月四日は……。
本作品は、時代劇専門チャンネルが本格時代劇の制作を始めた、3作目の作品です。
出演者も、松平健・柄本明の両ベテランが、息詰まる迫力で対します。二人とも、心に深い闇を抱えながら、毎日を過ごしているのです。特に、蕎麦屋の主の庄兵衛は、幼い時の忘れられない体験が、〈さなだ蕎麦〉への思いとなって、正月四日に客が来なくても、毎年商いをすることにしています。穏やかなたたずまいのなかに、深く悲しい思いに心が締め付けられます。一方、大店の主人風の男にも、〈さなだ蕎麦〉には命を救われた思い出があったのです。それが亀の入れ墨を間に、話は大きく展開します。二人の相手を思う心と、〈さなだ蕎麦〉の素朴な味がベテランの演技に一層深みを増して、時代劇っていいな!と思わせます。(岸)
365日、時代劇だけをお送りする日本で唯一のチャンネルとして、スカパー!や全国ケーブルテレビなどで絶賛放送中。
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「暴れん坊将軍」「大岡越前」など往年の名作時代劇と併せて、2010年からは新たにオリジナル本格時代劇の制作もスタート。池波正太郎原作「鬼平外伝」シリーズに始まり、この10月に放送した最新作「闇の狩人(前篇・後篇)」まで全6作品をお届けして参りました。また、全作品100%字幕放送しており、耳の不自由な方や高齢で耳が聞こえづらくなった方々にもお楽しみ頂けます。
ご視聴方法等の詳細は日本映画衛星放送お客様窓口0570-200-262(10時~18時)まで。
京都・太秦。香美山清一(福本)は、太秦の日映撮影所に所属する、斬られ役一筋の大部屋俳優だ。大御所の時代劇スター尾上(松方)の時代劇も打ち切られ、出番がない日々が続く。そんな折、香美山は駆け出し女優の伊賀さつき(山本)と出会う。さつきは香美山に殺陣の指導を請うが、断った。しかし、さつきの熱意に負け、やがて二人はともに殺陣の稽古をする師弟関係となる。時が経ち、さつきが主演を演じる大作時代劇の撮影が撮影所で行われることとなるが……。
時代劇映画と言えば、私たちは、その立ち回りや、火消し姿、捕り物などに、手に汗を握ったものでした。しかし、現在では時代劇の現場でも、コストと効率化の厳しい状況で、製作スタッフの維持も大変厳しいと聞いています。そのようななかでも、人々によって伝統の殺陣の技術と絆を大切にし、時代劇が守られているのだと、思わずほっこりとします。
若い人にも、日本文化を再認識してもらい、単に装備や衣装の素晴らしさ、特殊技術のシーンだけでなく、日本人の和の心と絆、緊迫した殺陣の迫力に気づき、時代劇のよさが見直されればと、思っています。
とにかく、最後の殺陣のシーンが圧巻です。 (岸)
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