11月22日(土)ベルブホール
JODOROWSKY'S DUNE
1975年、『エル・トポ』などでカルト的人気を誇る鬼才A・ホドロフスキーとプロデューサーのM・セドゥーが、「映画化不可能」と言われたフランク・ハーバートのSF小説「DUNE」の映画化を企画した。しかしながら実現に至らず、撮影を前に頓挫。この“映画史上最も有名な未完の大作”と言われるホドロフスキー版『DUNE』を追ったドキュメンタリー。
「この映画に携わるすべての人間は“魂の戦士”だ。最高の戦士を探す」この言葉どおり挙げられたキャスト・スタッフが、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ、メビウス、H・R・ギーガー、ピンク・フロイド――まさに夢の競演。
本作は絵コンテ(これが圧巻)まで制作されながら、未完に終わった『DUNE』の始まりから制作中止、後世の『スター・ウォーズ』『エイリアン』など多くのSF映画への影響を、貴重な資料や証言を交えて当時の裏側を明かしていく。
ホドロフスキー自身や関係者へのインタビュー、膨大なデザイン画や資料を観ていると、もしこれが実現していたらと思わずにいられない。また、まるで昨日のことのように目を輝かせ、情熱的に語る彼の表情に、当時どれほど無念だったことかと容易に想像できる。しかし、敢えて彼は言う。「失敗してもかまわない、それも一つの選択なのだ」。
本作がきっかけで再会を果たしたプロデューサーのM・セドゥーと23年ぶりの新作『リアリティのダンス』を世に出した。やはりホドロフスキーはただ者ではない。(ふ)
LA DANZA DE LA REALIDAD/THE DANCE OF REALITY
※この作品は15歳未満の方のご鑑賞はできません
1920年代、アレハンドロ・ホドロフスキー少年は軍事政権下のチリで暮らしていた。権威的で暴力的な共産主義の父と、アレハンドロを自身の父の生まれ変わりと信じる母に愛されたいと願いつつ大きなプレッシャーを感じ、また、ロシア系ユダヤ人であり、肌が白く鼻が高かったため、学校でもいじめられ、世界と自分の狭間で苦しんでいた……。
「これが天才の原点なのか。」ホドロフスキーを知る誰もがそう思うのではないだろうか。
作中のアレハンドロ・ホドロフスキー少年は非常に感受性に富んでいる。南米チリの色彩鮮やかな世界の中で、刺激的な毎日を過ごす。差別や偏見、両親の思想と、あらゆる視点の狭間にもがき続ける。人とは、神とは、信じるとは何か。本当に大切なものは何なのか。
現在85歳のホドロフスキーは、少年時代の感覚・想いと魔法のように刺激的な日々を、今も鮮明に覚えているのだ。それこそが、世界を熱狂させる存在なのだと感じる。
と、ここまで語っていてなんだが、私は今作がホドロフスキー監督初体験である。なんせ私は22歳で、彼は23年ぶりの新作なのだ。過去作品を知らぬまま鑑賞し、今までにない衝撃を受けた。そしてもっと彼が知りたいと過去作品を追っている。私も熱狂の渦に巻き込まれたのだ。そしてきっとあなたも。(菊)
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