11月29日(土)ベルブホール 第2部
イケてない友人オサム(圓谷)にカノジョを紹介するという名目で開かれた部屋コンに集まった9人の男女。期待に胸を膨らますオサムだったが、やって来たユウコ(後藤)のビジュアルに男性陣はドン引き。部屋コンは微妙な空気のまま終わりを迎える……。しかし、その夜を機に男女9人の恋心と下心、本音と嘘が入り乱れる恋愛模様が展開していく。
浮気、二股、馴れ合い……。9人の男女が繰り広げる恋物語に、「嘘でしょ」「有り得ない」と思うのも束の間、いつの間にか「あー分かるかも。」といくつもの共感を生み、そんな共感と共に観客を笑いの渦へと巻き込む。ゲスでクズな若者たちだけれど、寂しさや弱さを恋愛や依存で埋めているさまは、これこそが等身大の人間の姿なのかもしれないと思わせた。登場人物たちに最初は抱いていた嫌悪感も、物語が進むにつれて自然となくなり、どこか憎めない彼らに対して、最後には親近感さえ抱いてしまう。誰ひとりとして幸せにはなれないのに、それすらも笑いに変えてしまう大根仁監督はさすがである。大根仁監督と言えば『モテキ』であるが、『恋の渦』は、それとはまた異なるラブコメディーであり、そしてまた、少女漫画のような美しい恋愛とも正反対の本音と嘘が混じりあった青年群像作品である。自分はまともな恋愛をしていると思っている人にこそ観て欲しい。(近)
※この作品は18歳未満の方のご鑑賞はできません
秘密クラブで開催される乱交パーティーに、ニート(池松)、女子大生(門脇)など、仕事も風貌もバラバラの8人が参加する。セックスしたいという共通の欲望と目的を抱えている彼らだったが、裸で過ごす一夜に徐々に露わにされていく人間の本質。さまざまな駆け引きが展開するなか、ニートは女子大生に特別な感情を抱くようになり……。
本作は三浦監督が主宰する演劇ユニット「ポツドール」の公演で上演され「第50回岸田國士戯曲賞」に輝いた戯曲を、三浦監督自らの手で映画化した待望の作品。
乱交パーティーという設定ですが、卑猥な映画という先入観を持たずに観て欲しい。年齢も肩書もバラバラな男女たちが抱える欲望、嫌悪、劣等感が絡み合うさまが、実に巧妙に描かれており、時に固唾を呑み、時に笑いあり、いつしかその魅力に引き込まれていました。誰もがこんな状況を少なからず味わったことがあるはずです。映画を通して端から見ると、そこには人間の愚かさ滑稽さが滲みでていて、とても愛おしく感じました。
昼間の社会的な顔と、欲望にまみれた夜の剥き出しの顔。どちらも本当の自分と受け入れるか、それとも別の自分なのか。夜が明ける時、あなたならどう思いますか?目撃者ではなく、参加者として長い長い一夜を是非体感してみて下さい。
映画のなかで成長していく、ヒロインを務めた門脇麦にも注目です。(星)
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