11月29日(土)パルテノン多摩 小ホール 第1部
DIE GROSSE STILLE / INTO GREAT SILENCE
フランスアルプス山脈に建つグランド・シャルトルーズ修道院。カトリック教会の中でも特に戒律が厳しいカルトジオ教会に属する男子修道院。16年越しの撮影許可が下り、音楽、ナレーション、照明なしという条件のもと、監督ひとりだけが中に入ることを許された。静かに凪がれていく四季の移ろいが描き出されていく。
不思議な体験でした。上映開始。これはどう向き合ったらよいのか戸惑ってしまいました。アルプス山脈に建つ男子修道院の日常が淡々と、まさに淡々と描き出されていきます。ベッドとストーブのある小さな房で毎日を祈りに捧げていく修道士たち。いつのまにか彼らと共に過ごしている自分に気付きました。春の種まきを待つ畑を雪のなかから掘り起し。歌うように流れる祈りの声を聴き、移ろい行く四季の流れに身を委ねる。ナレーション、音楽が一切無いため、観る者は自分の感性にひたすら頼るしかなく、自ずと自分と対峙することになって行きます。修道士の生活そのままに。言葉を交わすことの出来る日の他愛ない話題に笑いあい、雪の斜面での飽きることのない無邪気な遊びに共に笑いを重ねる。時がある。時のなかのオブジェクト。映画の新たな可能性が見えてくる静謐な作品です。(竹)
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