11月23日(日)ベルブホール 第1部
昭和62年、新潟県のある小さな小学校に3頭の子牛がやってきた。子どもたちと牛との共同生活、そして迎える「牛の卒業式」。この体験を通し、ひとりの少女が「牛のお医者さんになる夢を抱く。それから26年、テレビ局の記者として学校に訪れていた監督の時田が、夢を追い続ける少女を丁寧に追い続け描いた、地域発のドキュメンタリー映画。
「人生とは不思議だ」
当時の時田記者も、小学校の取材をきっかけに、少女の人生を26年間も追いかけ続けるとは夢にも思わなかっただろう。主人公である高橋知美さんも、牛との出会いがなければ、獣医になる夢は思い描かなかったかもしれない。そんな偶然の事象が互いに相乗効果を生みだし、物語を紡いでいく。だが、「偶然」や「奇跡」だけでは表現できない高橋さんの真っ直ぐな思いが、自身の人生と、この作品を、更に魅力的なものにしていったのだと思う。長期間の密着取材を続けたのも、テレビドキュメンタリーという枠を超え、多くの人に観てもらいたいと映画化に踏み切ったのも、彼女によって時田監督の心が動かされたのだと想像がついた。「人生ってすばらしい!
観終わった後には、素直にそう思えることだろう。青春のドキュメンタリー映画を、ひとりの少女の生きざまを、大人から若い世代まで、数多くの人に観てもらいたいと思う。(光)
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