鬼才・白石晃士監督が放つ超新感覚ホラーシリーズの最新2作が登場。暴力ディレクター工藤ら取材陣が様々な怪異を強行取材。バットを振るって怪異に挑みます。ヤリすぎ?いいえ「コワすぎ!」です。前代未聞な映像体験。是非ホラーが苦手な人にも観ていただきたいです。そして会場には工藤と市川が殴り込み!果たして何が起こる!
心霊現象などを取材・調査するDVD「コワすぎ!」制作班のもとに、女子高生2人組から送られてきた映像には、コックリさんをする彼女たちに起こった衝撃的な出来事が収められていた。ディレクター工藤(大迫)は、シリーズを「超コワすぎ!」と改め、AD市川(久保山)とカメラマン田代(白石)を連れて早速取材に向かうが……。
あまりに胡散臭いタイトル。コックリさん相手にもバットを振るう、暴力ディレクター工藤をはじめとした強烈な登場人物。堂々と映像に登場する怪異。フェイクドキュメンタリーでありながら、いかにも作られた世界観である。映像的にも空前絶後な仕掛けで溢れている。一見「ヤリすぎ!」に思えてしまうほどに。だが、そのせいか心霊ビデオを観るときに思いがちな「うそくさい」といった感想は出る暇もない。そして作品のなかでは至極真面目に、これが現実だと言い張る。そういうものなのだと、そうした心持で観ているといつの間にかこの世界に入り込んでしまう。「あれ、俺はドキュメンタリーを観ていたんだっけ」と。フェイクを貫いた故に、観る者を作品世界に引きずり込み、現実と交錯させてしまう。観る者の世界観さえも変えてしまう「ヤバすぎ!」な作品なのだ。常識を超え続けるこの作品は挑戦の固まりである。「ルールは自分で作るんだよ!」の精神だ。(横)
工藤(大迫)のもとに、櫻井(水澤)という男から映像が送られてくる。映っていたのは、田舎町の川沿いに立つ儚げな雰囲気の美女・つぐ巳(桑名)。櫻井はつぐ巳の家で恐ろしい光景を目にする。そして、つぐ巳を助けたいと相談を受けた工藤は、ディレクターとして、そして恋愛指南役として、櫻井のもとへと取材に向かう。
「超コワすぎ!」第2弾は、無職中年男性の痛々しい恋物語。こじらせた童貞の恋心は果てしなく、どんなに見苦しくても諦めない。他者の目など何だというのか。諦めなければ奇跡が起こるかもしれないではないか。櫻井の恋は、壮絶な純愛であり、呪愛である。
白石監督が演出する、一見ヤバそうな人には、いつの間にか愛着を抱いてしまう。キャラクター的であれ、その辺にいても不思議ではないリアルな人間として描かれており、親近感と恐怖が同時に感じられる絶妙な人物造形がされているのだ。今作は工藤のみならず、市川や櫻井の人物が色濃く出ている。彼らの活躍も目に焼きつくだろう。
シリーズ衝撃映像を観てきて、ちょっとやそっとの映像じゃあ驚かないぞとハードルを上げて観ても、いつも驚かされる。低予算だろうが関係ない。異形な発想と、特異な演出力による凶悪なシーンの連続。紛れも無く、現在最も面白いシリーズである。(横)
1974年生まれ、熊本県出身。俳優。舞台、映画への出演を経て2009年『グロテスク』(白石晃士監督)で主演を務める。以後、10年『バチアタリ暴力人間』、12年より続くシリーズ『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の主人公・工藤仁役など数多くの白石晃士監督作品に出演。主な出演作に『カリスマ』(黒沢清監督)、『片腕マシンガール』(井口昇監督)、『招かれた男』(森岡龍監督)など。『ボクソール★ライドショー』が公開待機中。
1987年生まれ。福岡県福岡市出身。高校卒業後、映画美術を学ぶため上京。フリーランスで映画やテレビドラマ、CMなどの美術助手として活動する。2009年頃より、子供の頃からの目標であった役者の道を歩み始める。現在は、フリーで映像を中心に女優として活動中。11年の白石晃士監督作品『超・悪人』の出演をきっかけに、同監督作品の『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズのAD市川役で出演中。