世界的サックス奏者セサル・ロペス、現ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのピアニスト ローランド・ルナ、祖国を離れ、ニューヨークへ渡った天才アクセル・トスカの演奏に酔いしれて下さい。本編にも負けずとも劣らない高橋慎一監督と菊地成孔氏の熱いトークショーも必見!!ぜひ、この機会をお見逃しなく。
音楽大国キューバは、一流のジャズミュージシャンが数多く誕生している。そのなかでも厳しい状況下で祖国に残り音楽活動を続けるサックス奏者セサル・ロペスと、ジャズの本場ニューヨークへ移住した天才ピアニストのアクセル・トスカ両者に密着し、自分たちの音楽を作り続ける様子を捉えたドキュメンタリー。
高橋監督が過去に、サックス奏者セサル・ロペス、ピアニストのアクセル・トスカやローランド・ルナなどと共に、自社レーベルでレコーディングを行った旧知の仲だからこそ撮れた驚異のドキュメンタリー作品である。
家族とキューバでの生活を選んだセサルの何気ない父親としての日常や、自宅の倉庫でのリハーサル風景を観ることができる。彼の率いるアバナ・アンサンブルの演奏の凄まじさは、天真爛漫なアクセルの一心に見つめるその眼差しが物語っている。そのアクセルは、野心を持ってキューバを出てニューヨークで活動しているが、強烈なキャラで紙一重の部分もあり、彼の行動には終始、笑ってしまう。ヒップホップなど、ニューヨークで吸収した音楽をミックスしたエネルギー溢れる演奏の力に圧倒される。
また、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの現ピアニスト ローランド・ルナが自宅にある調律されていないカワイのピアノで弾く「ムーン・リバー」は何度聴いても胸が熱くなり、とにかく泣ける。この他にも、素晴らしいミュージシャンが山ほど登場するので、ぜひキューバ音楽に浸って下さい。(飯絢)
フォトグラファー/フィルムメイカー。東京工芸大卒。雑誌・書籍・CDジャケット等でフォトグラファーとして活動中。2014年にドキュメンタリー映画『Cu-Bup』を初監督。製作、撮影と一人三役をこなし、日本・キューバ・アメリカ合衆国のスタッフ、ミュージシャンが入り乱れる本作を3年の製作期間を経て執念で完成にこぎ着けた。アメリカ/キューバの国交回復と同時に米国各地の映画祭を巡回し、来年にはニューヨークでのロードショーも予定されている。
1963年生まれ。音楽家/文筆家/大学講師。音楽家としてはソングライティング/アレンジ/バンドリーダー/プロデュースをこなすサキソフォン奏者/シンガー/キーボーディスト/ラッパーであり、文筆家としてはエッセイストであり、音楽批評、映画批評、モード批評、格闘技批評を執筆。ラジオパースナリティやDJ、テレビ番組等々の出演も多数。2013年、個人事務所株式会社ビュロー菊地を設立。