プログラムレポート
「私たちはどこまでも行ける」と題された本プログラムでは、第7回TAMA映画賞最優秀新進監督賞を受賞した松居大悟監督の『私たちのハァハァ』と、多くの話題を提供してくれた『幕が上がる』の上映に加え、上映後には、『私たちのハァハァ』から松居大悟監督と真山朔さん、『幕が上がる』からTAMA映画祭期間中に発表された第40回報知映画賞で特別賞を受賞した本広克行監督とももいろクローバーZの百田夏菜子さん、司会の樋口尚文さんをお迎えしトークも行われました。両監督に加えて、真山さんと百田さんを迎えたことで、会場につめかけたカラフルなモノノフのみなさんと相まって華のある活気に溢れた雰囲気の中で行われました。
トーク冒頭では、まず本広監督が百田さんの赤と白の衣装について触れ、残念ながら落選してしまった紅白歌合戦をネタにつかみはOK。見事に会場中を笑顔にしてみせました。もちろん百田さんやファンのショックは大きかったでしょうが、それを笑いに変えてしまう強さと、本広監督と百田さんの間の信頼関係が垣間見えた瞬間でした。
踊る大捜査線シリーズという大プロジェクトが終わり、自分が好きなものを撮れるようになってきたという本広監督。そこで浮かんできたのが演劇、そして、演劇文化を子供たちへ広めることだったそうです。平田オリザさん原作の「幕が上がる」を読んだ当初から登場人物とももクロメンバーの類似性に注目していたとのことでした。
松居監督には、多くの青春映画を生み出してきた監督ならではの方法論を語っていただきました。アドリブにもドキュメンタリーのようにも見える演技やリアルさを演出する撮影方法には本広監督と百田さんも驚いたようです。本広監督は『私たちのハァハァ』の渋谷センター街のラストシーンについて特に興味を持っていたようで、百田さんに松居監督への質問をお願いしていたという話で笑いを誘いました。
初の演技だったという真山さんにはオーディションや撮影時の裏話を語っていただきました。登場人物になぞり実際に北九州からスタートしたという撮影は映画さながらの珍道中だったようです。
登壇者のみなさんの会話も弾み、多くの共通点が見つかるなど、終始笑いに包まれながらも、松居監督と本広監督それぞれの映画の作り方や現場の雰囲気、監督お二人の共通点である演劇への想い、地方と東京との関係について大いに語っていただきました。
『私たちのハァハァ』と『幕が上がる』は、方法論は違えど、2015年を代表する青春映画だという思いを新たにしたプログラムとなりました。ご登壇者のみなさま、ご来場のみなさま、ありがとうございました。
トークの全編はUstream momoclotvチャンネルにてアーカイブが公開されています。こちらのURLから参照できますので、是非ご覧ください。