11月27日 「戦後映画史を飾った傑作コメディ Vol. 2」 (やまばとホール)
●Time Table● | |
13:30−15:25 15:45−17:11 17:30−19:19 |
幕末太陽伝 ニッポン無責任時代 駅前旅館 |
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13:30−15:25 15:45−17:11 17:30−19:19 |
幕末太陽伝 ニッポン無責任時代 駅前旅館 |
幕末太陽伝 |
1957年/日活製作・配給/1時間50分 |
監督・脚本=川島雄三 脚本=田中啓一、今村昌平 撮影=高村倉太郎 録音=橋本文雄 美術=中村公彦、千葉一彦 音楽=黛敏郎 編集=深野俊英 出演=フランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎、芦川いづみ、金子信雄、山岡久乃、小沢昭一、殿山泰司、小林旭、二谷英昭、岡田眞澄 |
[コメント] |
幕末の品川・遊郭街を舞台に繰り広げられる面白くて悲しい人間群像を「居残り佐平次」「品川心中」といった落語に題材を求めながら、川島雄三独自の世界が展開する。 労咳病みの商人(フランキー堺)が、金もないのに仲間を引き連れての遊郭での遊び。働いてその金を返すと居直る主人公の、どんな危機でもちゃっかり生き抜くしたたかさに思わず引き込まれる。 1957年の作品だから、すでに40数年の歳月がたっているわけだが、古さは感じられない。死の影におびえながら、本能のおもむくまま必死に生き抜く主人公に、45歳という短い生涯を閉じた川島雄三という1人の監督の面影をみようとするのは、行き過ぎか。 高杉晋作として、太陽族のシンボル石原裕次郎が出演している。幕末太陽伝の太陽は、太陽族のことなのだ。即ち幕末の太陽族のお話しとしてこの映画は作られている。 (水) |
ニッポン無責任時代 |
1962年/東宝製作・配給/1時間26分 |
監督=古澤憲吾 脚本=田波靖男、松木ひろし 撮影=斉藤孝雄 美術=小川一男 音楽=神津善行 出演=植木等、ハナ肇、松村達雄、由利徹、久慈あさみ、団令子 |
[コメント] |
周囲が唖然としているうちにスイスイと出世街道を登ってゆくお調子者の男を通して、いわゆる高度成長の時代を笑い飛ばそうとする風刺的な喜劇。その風刺性は、「努力」や「忍耐」といった美徳をまるで重んじない主人公の人生観ばかりでなく、平均(たいらひとし)なるその役名にも表れているだろう。 前年に「スーダラ節」で売り出したクレージー・キャッツの植木等は、この映画に主演したことで日本の喜劇映画の新しい顔となった。また畳みかけるようなテンポが印象的な古澤憲吾監督の演出は、悪ノリも辞さない「クレージー」たちの芝居ともマッチし、同じくクレージー・キャッツが主演した「日本一の男シリーズ」(1963〜71)などで東宝のサラリーマン喜劇に革新をもたらした。助演の団令子、中島そのみ、重山規子は青春喜劇「お姐ちゃんシリーズ」(59〜63)で知られる若い3人組で、この作品の明朗なタッチを支えている。 |
駅前旅館 |
1958年/東京映画=東宝製作・配給/1時間49分 |
監督=豊田四郎 原作=井伏鱒二 脚本=八住利雄 撮影=安本淳 美術=松山崇 音楽=團伊玖麿 出演=森繁久彌、フランキー堺、伴淳三郎、淡島千景、森川信、草笛光子、淡路恵子、左ト全、山茶花究、浪花千栄子 |
[コメント] |
「新潮」に掲載された井伏鱒二の小説を、戦前からのベテランであり、とりわけ文芸作品の映画化に定評のある豊田四郎監督がまとめた「駅前シリーズ」(1958〜69)の第1作。「社長シリーズ」と並んで東宝の興行の大黒柱となった「駅前シリーズ」は、1969年の『駅前桟橋』まで計24本が製作された。内容は、東京上野駅前の旅館街を舞台にした風俗劇で、正義感に燃えて駅前の浄化運動に取り組む旅館の番頭に森繁久彌、ライバル旅館の番頭に伴淳三郎、近所の小料理屋の女主人には淡島千景という芸達者を配し、文学的な味わいよりはむしろ個性の強い俳優たちの存在感を前面に出している。森繁にとって、豊田監督は『夫婦善哉』(55)、『猫と庄造と二人のをんな』(56)、『珍品堂主人』(60)から『恍惚の人』(73)に至るまで、そのアクのある演技をもっともよく引き出した監督であった。 |