11月28日 「ある女性の生き方」 (やまばとホール)
●Time Table● | |
13:00−15:00 15:20−17:23 17:45−19:32 |
めぐりあう時間たち フリーダ エデンより彼方に |
●Time Table● | |
13:00−15:00 15:20−17:23 17:45−19:32 |
めぐりあう時間たち フリーダ エデンより彼方に |
めぐりあう時間たち The Hours |
2002年/アメリカ/アスミック・エース、松竹配給/1時間55分 |
監督=スティーヴン・ダルドリー 原作=マイケル・カニンガム 脚本=デイヴィッド・ヘア 撮影=シーマス・マクガーヴィ 音楽=フィリップ・グラス 出演=ニコール・キッドマン、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、エド・ハリス |
[ストーリー] |
異なる時代を生きる3人の女性が、ヴァージニア・ウルフ著作「ダロウェイ夫人」をモチーフに描かれている。20年代英国で神経症と戦いながら執筆するウルフ(N・キッドマン)、50年代L.A.で専業主婦の生活に自己を見出せないローラ(J・ムーア)、現代NYでエイズ患者の男友達の面倒を見るクラリッサ(M・ストリープ)。それぞれの一日が見事に交錯しひとつの物語となっている。 |
[コメント] |
この映画の見所は、異なる時間軸のたった一日の出来事をニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープという3人の女優を使って見事にひとつの物語に仕立て上げた脚本の上手さにあると思う。3人の女優の演技もさることながら、映画冒頭に登場するエド・ハリスの役作りの素晴らしさのおかげで、すんなりと映画に入っていくことができる。この映画は、脇役も演技が上手い人ばかりだ。ミランダ・リチャードスンがウルフの姉役ヴァネッサ役で登場、クラリッサの娘役にはクレア・デインズが手堅い演技を見せてくれる。 しかし、特筆すべきは、ニコール・キッドマンだ。神経質なウルフ役を巧みに演じ、アカデミー主演女優賞を獲得している。柔らかさが持ち味の彼女が、正反対の硬質な女性を演じるため、さまざまな工夫を凝らしているので、注目して欲しい。 (Ami-Ami) |
フリーダ Frida |
2002年/アメリカ/アスミック・エース配給/2時間3分 |
監督=ジュリー・テイモア 脚本=クランシー・シーガル、ダイアン・レイク、グレゴリー・ナヴァ、アンナ・トーマス 撮影=ロドリゴ・プリエト 音楽=エリオット・ゴールデンサル 出演=サルマ・ハエック、アルフレッド・モリーナ、アントニオ・バンデラス、ヴァレリア・ゴリノ、アシュレイ・ジャド、ミア・マエストロ、エドワード・ノートン、ジェフリー・ラッシュ |
[ストーリー] |
メキシコで生まれたフリーダ・カーロ(S・ハエック)は、18歳の時にあった事故で瀕死の重傷を負ったが、絵を描くことが生きる希望となった。著名な壁画家ディエゴ・リベラ(A・モリーナ)と結ばれ、生活と芸術を共にしていく。自由な精神をもって情熱のままに生きたフリーダの波乱に満ちた生涯。 |
[コメント] |
メキシコで作られたフリーダ・カーロの伝記映画を以前観たことがある。一本につながった眉毛、鋭い眼差し、心をえぐるような自画像を描く女流画家は、強烈な印象だった。 今回のフリーダの映画は、同じメキシコ出身のハリウッド女優、サルマ・ハエックが製作・主演した。絵から実写へ変形していくCGを取り入れて、スマートに情熱的に描いている。サルマ・ハエックの長年の思い入れもあって、独特な眉毛、メキシコの色彩鮮やかな民族衣装で、フリーダを体当たりに演じきっていた。 最近、フリーダの画集を手にした。不気味で事故の痛みがひしひしと伝わってくるものの、見ているうちに逆に元気をもらうエネルギーを感じた。「生きたい!」という心の叫びが聞こえてくるようである。フリーダの人生は47年と短かったが、自分の生き様を絵に表現できたことはうらやましい限りである。 (恵) |
エデンより彼方に Far From Heaven |
2002年/アメリカ/ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ配給/1時間47分 |
監督・脚本=トッド・ヘインズ 撮影=エドワード・ラックマン 音楽=エルマー・バーンスタイン 出演=ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド、デニス・ヘイズバート、パトリシア・クラークスン |
[ストーリー] |
1957年米国コネティカット州。閉鎖的な街で、夫は一流会社の重役、子供にも恵まれ、町の名士夫人として理想的な生活を送るキャシー(J・ムーア)。だが、夫(D・クエイド)の秘密を知って悩み、次第に黒人の庭師レイモンドに心惹かれていく。この許されない恋とともに彼女の楽園のような人生は終わりを告げる……。 |
[コメント] |
水曜日のレディース・ディ。この映画を見るため早めに家を出たが、映画館にはすでに大勢の人が席についていた。女性客をひきつけたのは何だろう。アメリカの古き良き50年代のブルジョワ社会を忠実に再現したセットやファッションか? 運命に翻弄されるヒロインを好調のジュリアン・ムーアが演じていたから? 往年のハリウッド調のメロドラマを復活して、現代でも差別と偏見の問題は本質的に何も解決されていないことをいいたかったのであろうが、時代が違いすぎたようだ。 黒人庭師が去っていくのを駅で見送るキャシーは、その後どのように生きていくか興味をもった。強い女性として差別や偏見と戦ったのか、そのまま流されてしまったのだろうか。これこそ、現代の女性が追求していくテーマではないのか。 (恵) |