ご挨拶

●挨拶●

 多摩市制20周年を機として始まった映画祭TAMA CINEMA FORUMも第13回を迎えることになりました。この間、国内の経済状況の悪化で映画祭をとりまく環境は厳しくなってまいりました。行政も企業もその厳しい環境のなかで生き延びようと精一杯の努力を払っております。私どももこういった環境のなかでこの映画祭をいかに継続していくか、種々の努力を払ってまいりました。
 日本映画の活性化を願うとともに、私たちの住む街を生き生きとした住みやすい街にとの思いを旗印に1年間の時間をかけて映画祭というひとつのイベントを創り上げていくことを毎年繰り返してきたわけですが、年々継続することの難しさを身にしみて感じております。
 しかし昨年は延べ人数ですが、会期中に約25,000人という方々が参加してくださいました。また89本という多くの作品を4会場5スクリーンで展開することができました。こういった数字は、規模的に見れば私たちの映画祭が地方で行われている映画祭としての位置付けにおいて大きく成長してきていることを実感させてくれます。
 私たち50余人の実行委員は月2回の定例会議、部会会議や上映活動、ネット上の打ち合わせを含めて、プログラムを創り上げるさまざまの活動を行ってまいりました。私たち自らが映画会社をまわり、作品貸出をお願いします。上映希望作品もいろいろな状況のもとでなかなか決定しない。希望する作品を上映したいと願いながら時間の制約のなかであきらめざるをえない。そういったなかで創り上げたのが今回のプログラムです。
 今回のTAMA NEW WAVEのコンペティションには、133本の中・長編の作品が寄せられました。実行委員は選考担当としてこれらの作品に真剣に向かい合います。候補作品選出のあとは、表彰当日に一般観客の目によってグランプリ作品が決定されます。NEW EIGA WORKSHOPでは、ワークショップ参加者全員にシナリオ、シノプシスの提出が求められます。そのなかから選ばれた作品を中心にチームが作られ、短期間ですが実際の製作にはいります。プロの方々の指導を受けながら作品発表まで持っていきます。昨年の場合、かなりの質の高い作品が誕生しました。本年もどんな作品が誕生するか楽しみです。
 1年間の動きはさまざまです。めまぐるしく動いていきます。時間はいくらあっても足りません。そのなかで映画祭は作られていきます。裏方として映画祭を支えてくださるボランティアをはじめとする多くの方々に支えられながら第13回映画祭を迎えます。
 厳しい環境のなかで私たちを支えてくださる文化庁、多摩市当局、多摩市教育委員会、多摩市文化振興財団をはじめとする行政サイド、いろいろな形で援助してくださる企業の皆様、本当に有難うございました。
 いまは、映画というひとつの文化をとおして多摩の地に新しい環境を根付かせていくためにも、多くの方々が今年も参加してくださることを願っております。

TAMA映画フォーラム実行委員会
委員長 水野信利

●祝辞●

 今年も、“TAMA CINEMA FORUM”の時季がやってきました。実行委員会の方々の熱意と努力、そして、ご支援してくださる企業や関係諸団体の方々、映画を愛する多くの皆さんのご協力により盛大に開催されますことを、心からお祝い申し上げます。
 第13回目を迎えたこの映画祭。市内・都内はもちろん、近県からも多くの皆さんが集まり、昨年の観客動員数は延べ2万5千人を超えるなど、全国から注目されるイベントとなりました。
 映画は、時代を映す鏡として、その時代に即した問題を提起しながら歴史を刻んできました。また、映画は、普遍的な芸術文化として、時代、国境、世代を超えて私たちを魅了します。
 今回の映画祭は、「まちづくり」、「映像文化の浸透」、「映像作家の育成」を大きなテーマとしていると伺っています。特に今年は、一般の方の投票を審査に取り込んで実施される“TAMA NEW WAVEコンペティション”や、映画づくりの基礎から実践までを学ぶ“NEW EIGA WORKSHOP”など、映像作家の発掘・育成・底辺拡大にも力が注がれています。こうした新たな企画やこれまで積み重ねてこられた取組みにより、実行委員会の皆さんの映画祭に込めた思い、目標が実現することを願ってやみません。
 結びに、主催者の方々のご尽力に対し深く敬意を表するとともに、一人でも多くの方々が映画の魅力を堪能されますことを、そして、この“TAMA CINEMA FORUM”が、「多摩市発・全国行き」の映像文化の発信源としてますます盛況となりますことを期待しています。

多摩市長 渡辺幸子