11月24日 「戦後傑作時代劇選 Vol.1」 (やまばとホール)
●Time Table● | |
13:30ー15:17 15:35ー17:53 18:10ー20:00 |
次郎長三国志 隠し砦の三悪人 反逆児 |
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13:30ー15:17 15:35ー17:53 18:10ー20:00 |
次郎長三国志 隠し砦の三悪人 反逆児 |
次郎長三国志 |
1963年/東映(京都撮影所)製作/東映配給/1時間42分 |
監督・脚本=マキノ雅弘 脚本=山内鉄也 撮影=三木滋人 音楽=鈴木静一 出演=鶴田浩二、松方弘樹、佐久間良子、山城新伍、大木実、田中春男、津川雅彦、長門裕之 |
[コメント] |
講談や浪曲など大衆芸能の世界で広く知られている幕末の博徒、遠州清水港の次郎長とその子分たちの活躍を描いた痛快時代劇。監督のマキノ雅弘は1952年から54年にかけて『次郎長三国志』(東宝)9部作を作っており、次郎長ものの決定版との評価が高い。東映のこの作品はそのリメイク版にあたり、4部作として製作されている。1920年代半ばに監督デビューしたベテラン、マキノ監督にとっては手慣れた素材であり、流れるような巧みな演出で男意気の世界を作り出している。東映が時代劇から任侠映画へと比重を移しつつあった時期でもあり、次郎長=鶴田浩二、大政=大木実、法印大五郎=田中春男、関東綱五郎=松方弘樹、桶屋の鬼吉=山城新伍、増川仙右衛門=津川雅彦、森の石松=長門裕之という布陣は、そのまま大正時代劇ともいえる任侠映画の中核をなしていく。 |
隠し砦の三悪人 |
1958年/東宝製作・配給/2時間18分 |
監督・脚本=黒澤明 脚本=菊島隆三、小国秀雄、橋本忍 撮影=山崎市雄 音楽=佐藤勝 出演=三船敏郎、上原美佐、千秋実、藤原釜足、藤田進、志村喬 |
[コメント] |
時は戦国時代。隣国との戦いに敗れた秋月家の侍大将=三船敏郎は、残された姫を擁し、隠しておいた軍用金を掘り出して、敵中突破を図ろうとしていた。同盟国に脱出するためである。二人の百姓を狂言回しに使い、お家再興にまつわる宝探し、敵中横断にともなう追っかけなどを盛り込んだ作品。襲いかかるさまざまな難関、手に汗握るスリリングな場面が連続する。そのようなシチュエーションをいかに面白く組み立てるかに3人の脚本家、菊島隆三、小国秀雄、橋本忍と黒澤明は大いに知恵を絞ったという。観客を決して飽きさせないという決意のようなものもうかがえるシナリオである。この映画が製作された1958年は映画館入場者数が史上最高の11億2745万人を数えた年である。この時、映画は文字どおり大衆娯楽の王者であり、そしてこの作品は、まさにその記念すべき年にふさわしい作品であった。「キネマ旬報」ベストテン第2位。1959年ベルリン国際映画祭監督賞、国際映画批評家賞を受賞。 |
反逆児 |
1961年/東映(京都撮影所)製作/東映配給/1時間50分 |
監督・脚本=伊藤大輔 撮影=坪井誠 音楽=伊福部昭 出演=中村錦之助、佐野周ニ、桜町弘子、月形龍之介 |
[コメント] |
戦国時代を制し天下を統一、江戸幕府を開いた徳川家康には不運の長男があった。名前は三郎信康。母は桶狭間の戦いで織田信長の奇襲を受け落命した遠江の雄、今川義元の娘(築山殿)である。父、家康が母にとっては仇敵にあたる信長の旗下にくだったことに彼の悲劇の源があった。本作は、この史実をもとにした大仏次郎の原作「築山殿始末」を時代劇の巨匠伊藤大輔が格調高く演出した作品である。原作では、信康を死に追いこんだ家康の側に比重が置かれていたが、映画では内部に矛盾をかかえた信康に焦点を当て、死を自らの運命として受け入れて切腹していく悲運のヒーローに造形している。大河内伝次郎、坂東妻三郎など優れた俳優との出会いの中で、数々の名作を作りつづけてきた伊藤監督にとっては自分のイメージを投影することができる俳優、中村錦之助を得たことが大きく、彼もエネルギッシュな演技でその要請に応えている。「キネマ旬報」ベストテン第6位。 |