ある女性の生き方

11月26日 「ある女性の生き方」 (やまばとホール)

●Time Table●
13:00ー14:40
15:00ー16:48
17:10ー19:18
真珠の耳飾りの少女
カレンダー・ガールズ
恋愛適齢期

真珠の耳飾りの少女
GIRL WITH A PEARL EARRING
2002年/イギリス/ギャガ・コミュニケーションズ配給/1時間40分
 
監督=ピーター・ウェーバー
脚本=オリビア・ヘドリード
撮影=エドゥアルド・セラ
美術=ペン・ヴァン・オズ
音楽=アレクサンドル・デプラ
出演=スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン
 
真珠の耳飾りの少女
 
[ストーリー]
 現存する作品が30数点という寡作の天才画家フェルメール。彼が描いた『真珠の耳飾りの少女』に隠された謎に迫る、愛の物語。
 1665年オランダ。フェルメールの家に使用人としてやって来た少女(S・ヨハンソン)。やがて彼女は光や色彩に対するその優れた感性を見出され、画家に想像力を与える存在となってゆく。主人と使用人としての距離を保ちつつも……。
 
[コメント]
 17世紀の画家の描いた1枚の肖像画が、現代の映画作家に美しい物語を吹き込み、この珠玉の映画を誕生させた。観客は17世紀のオランダに招待される。天才といえど職業としての画家、その家庭内の人間関係や暮らしぶりなどが、手際よくしかも丁寧に描かれる。
 その家に使用人としてやって来た少女。つつましく、口数も少なく、身を粉にして働きながらも、その身に備わった賢さと優れた感性は、発光するかのように零れ出てくるのだ。そして芸術家フェルメールと共振してゆく。それはきっと、家族とか男女間の絆とは次元を異にする、濃密な関係なのであろう。画家の妻が嫉妬を覚えるくらいに。そして画家の幼い娘は、少女の美しさと才能の非凡さを本能的に妬んだのだ。
 ヒロインを演じたスカーレット・ヨハンソンが少女から女性への繊細な変化を好演。フェルメール役のコリン・ファースをはじめ脇の俳優たちの演技も見応え十分だ。 (苅)

カレンダー・ガールズ
CALENDAR GIRLS
2003年/イギリス/ブエナビスタインターナショナル配給/1時間48分
 
監督=ナイジェル・コール
脚本=ジュリエット・トウィディ、ティム・ファース
撮影=アシュレイ・ロウ
音楽=パトリック・ドイル
出演=ヘレン・ミレン、ジュリー・ウォルターズ、シアラン・ハインズ、ペネローブ・ウィルトン、シーリア・イムリー
 
カレンダー・ガールズ
 
[ストーリー]
 アニー(J・ウォルターズ)の夫が他界し、クリス(H・ミレン)は、女性連盟が毎年制作するカレンダーの収益で彼の居た病院への寄付を提案。売上を伸ばすため、彼女たちが思いついたのは自らがヌードモデルになることだった。平凡な日常から抜け出そうとする彼女たちの勇気は小さな田舎町に思わぬ嵐を巻き起こす……。
 
[コメント]
 夫や子どもたちと平凡に生活していた主婦が大胆にもヌードモデルになる。そんな冒険に家族はとまどい、婦人会も難色を示す。が、彼女たちの決意は固かった。本作はそんな中年女性たちの奮闘記であるが、ただの「ヌードカレンダーを作る」というドタバタコメディではない。それぞれが抱える日常生活の些細な問題や、ヌードになることで起こるさまざまな問題を丁寧にとりあげ、現実を描いているところが魅力だ。紆余曲折を経て実際に発売されたカレンダーは、その奇抜な試みがメディアの目にとまり、英国内外で話題を呼び、初刷り500部だったのがなんと世界中で30万部も売れ、60万ポンド(約1億2000万円)の利益を上げたという。そしてその売上金で、白血病の治療施設とソファを病院に寄付したのである。
 その年齢にかかわらず、若々しく、「女」を感じさせる彼女たちを通して、女性のもつ強さ、繊細さ、美しさがリアルに描かれている。 (庄)

恋愛適齢期
SOMETHING'S GOTTA GIVE
2003年/アメリカ/ワーナーブラザーズ配給/2時間8分
 
監督・脚本=ナンシー・メイヤーズ
撮影=マイケル・ボールハウス
音楽=ハンス・ジマー
出演=ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーヴス、アマンダ・ピート
 
恋愛適齢期
 
[ストーリー]
 ハリー(J・ニコルソン)は若い女性が大好きな老年実業家。ガールフレンドのマリン(A・ピート)に別荘に招待された彼は、そこで彼女の母親エリカ(D・キートン)と鉢合わせしてしまう。エリカは自分よりも年上の男と付き合う娘に面食らいながらも、突然心臓発作で倒れたハリーを仕方なく看病するはめになり……。
 
[コメント]
 共にオスカー俳優のジャック・ニコルソンとダイアン・キートンの掛け合いが楽しめる上質ロマンティック・コメディ。
 老いらくの恋なんて、自分にはちょっと……と思う人もいるかもしれないけど、そんな心配は一切無用。何しろ、この映画はいたって軽妙かつユーモラス。ウキウキ感やワクワク感に満ちています。女性の方はぜひダイアン・キートン(本作で見事にゴールデン・グローブ女優賞を受賞)になりきってみてください。最初は避けていた相手と次第に心を通わせていき……、一方では若くてハンサムな青年医師(K・リーヴス)にデートに誘われる……。
 冷静に考えると、あんな年下のかっこいい医者に慕われるなんてありえない気もしてくるけど、それはそれ。(笑) この映画でつかの間の幸福を思う存分味わってみてはいかがでしょう? (藤)