オープニング企画

11月20日 「オープニング企画」 (ヴィータホール)

●Time Table●
12:00ー14:15
14:45ー16:33
16:50ー17:30
A2
be found dead
トーク 宮沢章夫氏×森達也氏

A2
2001年/131分
 
監督・撮影・編集=森達也
製作・撮影・編集=安岡卓治
編集助手=小堀陽太
協力=Y2カンパニー、神奈川県維新協議会、宗教団体アーレフ
 
A2
 
[作品紹介]
 オウム真理教の広報担当者に密着取材したドキュメンタリー映画『A』で多大な反響を集めた森達也監督が、1999年にアーレフと名を変えた教団内部に再びデジタル・ビデオ・キャメラを持ち込み、密着取材の末に完成させたシリーズ第2弾。信者たちの内側にある矛盾と、社会の側に生まれ始めた"受容への萌芽"を再びオウムの内側から描き出す。
 
[コメント]
 オウム問題がだんだんと人々の記憶の中で風化しつつある現在、この映画もある時期の日本を切り取ったドキュメンタリーとして過去のものになっていくかもしれない。しかしそれはとんでもないことだ。この作品は私たちが住む社会を映す(もしかしたら唯一曇っていない)鏡であり、自分のあり方を問い直すきっかけになりうるのだから。個人で思考し行動すること??。簡単なようで難しい。これが何より大事だと感じた。『A』、『A2』という映画の存在を許容するようになったら、日本も少しは変われるのかもしれない。 ぜひ今を生きるすべての人に見て欲しい!(黒)

be found dead
2004年/1時間48分
 
総監督=宮沢章夫
制作=永井有子
製作=有限会社ウクレレ

1「欲望の旅の果て」
脚本・監督=鈴木謙一/出演=江尻芳生、岩崎正寛他
2「2話」
脚本・監督=浅野晋康/出演=笠木泉他
3「イマニテ」
監督=宮沢章夫/出演=小浜晃、秋山文子他
4「オリエンテ・リング」
脚本・監督=富永昌敬/出演=福津屋兼蔵、嘉悦基光他
5「川」
脚本・監督=宮沢章夫/出演=小田豊(特別出演)、村尾悦子他
 
be found dead
 
[作品紹介]
 死体が発見されたとき、語られるのは「死んだ者」であり、その死因や、あるいはそれが殺人なら犯人を探すのはよく知られた物語だ。だが「発見者」のことは多くは語られない。語られたとしても発見が完結したところで「発見者」はその役目を終える。『be found dead』は「発見者」をめぐる五つの物語だ。発見者はいかにして生きてきたか。その日、発見者はなにを求めていたか。なにが発見者を「死体」に呼び寄せたのか。それは単なる偶然だっただろうか。なにかによって「発見」がうながされたのかもしれない。どうしても死体を発見しなければならない者たちもいたし、死体がすぐそばにあるのに気がつかないごく平凡な日常がある。「死体発見」にいたる五つの物語は、遊園地再生事業団新作公演『トーキョー/不在/ハムレット』の予告篇ともいうべき映像作品である。物語のなかではいつだって、「死体」は誰かに発見される。

 『トーキョー/不在/ハムレット』とは
 2004年から2005年までの約1年間の時間を使い、1本の映像作品、3本のプレビュー公演を重ねて、一つの作品を完成させるという企画。本公演は2005年1月9日より三軒茶屋シアタートラム他にて。詳しくは遊園地再生事業団サイトで:http://www.u-ench.com
 
[コメント]
 このオムニバス映画を見たとき衝撃的でした。テーマは死体の発見者なのですが、その描かれ方が5つの話ともすべて異なる。監督が異なるわけだから当然なのだが、手法やテイストが異なっていても5つの作品に強い繋がりを感じる。個々の日常や世界の中に訪れる死体発見という事件を基に、第1話から点と点で描かれたお話が、最終話『川』で一気に外枠の大きな見えない線で繋がれ、そして1つの作品をとして完成している。1話々の作品に強烈な個性がありながら、5つの短編としてではなく1つの長編と感じさせるオムニバスはなかなかないと思う。そして頭で理解するという次元を超えて、1つの大きな線で結ばれた世界を体感させてくれたこの作品が自主制作だったことに、映画の新たな可能性を見た気がします。(浜崎)

●ゲストの紹介
宮沢 章夫(みやざわ あきお)氏

 劇作家・演出家・作家。1956年、静岡県出身。多摩美術大学中退。90年、作品ごとに俳優を集めて上演するスタイルの「遊園地再生事業団」の活動を開始し、「ヒネミ」(92)で岸田戯曲賞受賞。10年間で十数本の舞台作品を発表公後、2000年に3年間の休止期間に入る。2003年『トーキョー・ボディ』では、戯曲+映像+パフォーマンスのコラボレート作品を発表し、第二期ともいうべき活動を開始した。朝日新聞連載「青空ノート」をはじめ、エッセイも多数執筆。99年に発表した「サーチエンジン・システムクラッシュ」(文藝春秋)が芥川賞候補に選ばれ、注目を集める。著作に「よくわからないねじ」(新潮社)、「牛乳の作法」(筑摩書房)などがある。
 
森 達也(もり たつや)氏

 1956年新潟県生まれ。立教大学卒業後、自主製作映画や演劇活動を経て、番組制作の道へ。ディレクターとして、テレビ・ドキュメンタリー作品を多く制作。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画『A』を公開、ベルリン映画祭に正式招待され、海外でも高い評価を受ける。2001年、続編となる映画『A2』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞する。公開は2002年春。著書に「放送禁止歌」「職業欄はエスパー」(角川文庫)など。
 【公式サイト】http://www.jdox.com/mori_t/

●脚本・監督プロフィール
鈴木 謙一(すずき けんいち)監督

 1971年、神奈川県出身。大学時代から映画制作を始め、卒業後も多くの自主製作映画に参加。99年には製作・撮影した映画『ローカルニュース』(監督・中村義洋)がレイトショー公開される。現在は映画脚本の執筆を生業としている。脚本作品に『仄暗い水の底から』『ラストシーン』(いずれも2002年公開)など。また、2003年の遊園地再生事業団(主宰・宮沢章夫)の舞台『トーキョー・ボディ』の劇中映像や、映像コントユニット・小鳩の会のメンバーとしてシティボーイズミックス『NOTA』の劇中映像を担当するなど、映画以外にも活動の場を広げている。
 
浅野 晋康(あさの ゆきやす)監督

 映画作家。1977年、岐阜県出身。専門学校で映像を学んだ後、自主レーベルEMotionPicturesを立ち上げ、映画・演劇制作を行う。これまでの映画作品に、『クロイツェル』(00)製作・脚本・監督、『新しい予感』(02)製作・脚本・監督(第4回TAMA NEW WAVE・朝から前夜祭にて上映/ベストキャラクター賞受賞、PFFアワー2004入選)、『スケッチ』(03)製作・脚本・監督・撮影など。2003年の遊園地再生事業団(主宰・宮沢章夫)の舞台『トーキョー・ボディ』の劇中映像を担当。
 
冨永 昌敬(とみなが まさのり)監督

 1975年、愛媛県出身。99年日本大学芸術学部映画学科卒業。『ドルメン』(99)が2000年オーバーハウゼン国際短編映画祭にて審査員奨励賞を、『VICUNAS/ビクーニャ』(02)が2002年水戸短編映像祭グランプリを受賞。他に『亀虫』(03)、『テトラポッド・レポート』(03)など。現在は日本の最先鋭のジャズを追うドキュメンタリーを制作中であると同時に、初の長編劇映画を準備中。http://www.opaluc.net