コンペティション

11月23日 「コンペティション」 (ヴィータホール)

●Time Table●
11:00ー11:43
11:50ー12:24
12:30ー13:02
13:45ー15:24
15:35ー16:09
16:20ー17:17
17:40ー18:01

18:10ー18:40
18:50ー19:20
19:30ー19:40
ほおずき
月は夜空に花は根に
湧く赤
惑星たちの道草
月がとっても青いから
笑う胃袋
-- 特別上映 --
ウィリアム・テロル,タイ・ブレイク
ゲストコメンテーター講評 宇田川幸洋氏(映画評論家)、七里圭監督
監督座談会
授賞式

ほおずき
2003年/DV/37分
 
監督=吉川久岳
脚本=吉川久岳
撮影=吉川久岳
出演=芦原健介、土屋朋子、三好佐智子、夏目慎也
 
ほおずき
 
[作品紹介]
 東京郊外のマンションに住む一組の男女。優作は、絵描きに成る事を夢見てフリーターをしている。皐月は都心の会社に勤め二人の暮らしを支えている。皐月は優作の子供を妊娠しているのだが、それによって二人が変ってしまう事を恐れ優作に告げる事ができないでいる。ある日、皐月は優作に妊娠している事を告げないままに一人で堕胎手術を受け、そのまま優作の前から姿を消してしまう。
 
吉川 久岳(きっかわ ひさたけ)監督

 1979年、東京都出身。97年早稲田大学第ニ文学部入学。大学在学中に制作した『サボテン』がPFF2001入選。大学卒業後、早稲田大学芸術学校に入学。同校在籍中に製作した『ササイナタクラミ』が2004ショートショートフィルムフェスティバルアジアに入選。
 
[メッセージ]
 昔、竹中直人さんのやっていた”笑いながら怒る人”という芸を見た事がある。それはとても滑稽に見えて面白かったのだが、そう言う事って実はよくある。人の感情は喜怒哀楽の4つにカテゴライズできるほど単純なものではないのだ。と、思う。多分。近い将来自分がなんて言っているか保証できないがとりあえず今はまだまだ経験の少ない25才の悩める映画監督らしく、世の中をしかめっ面して見つめていようと思う。いつか本当にハッピーな映画が撮れるように。

月は夜空に花は根に
2004年/DV/32分
 
監督=田中智章
脚本=田中智章
撮影=松本知子、室井孝介
音楽=冨樫功
出演=渡部真希、渡邊美香、三好雅人、武子太郎、三浦香世子、水野以津美
 
月は夜空に花は根に
 
[作品紹介]
 役所勤めを辞め東京で作家を目指す月子(29)のもと、ある日田舎より自由奔放に生きる妹の花恵(23)がやってきた。苛立つ月子。執筆もはかどらず 原稿の持ち込みでも編集者に酷評される。最近バイトと部屋の往復の生活で孤独感に苛まれ始めていた月子。いずれ結婚し所謂「ふつう」の女の道を歩み行く であろう妹をそばで見て「本当はもっと普通に生活したいのでは」と思いを募らせてゆく……。互いに認め合っているのに一緒にいるとついいがみ合ってしまう。そんな姉妹の微妙な距離感と彼女らの「孤独」を描いた物語。
 
田中 智章(たなか ともふみ)監督

 1976年、鹿児島生まれ大阪育ち。関西大学社会学部卒業。超氷河期の就職難を期に映画制作を開始。シナリオセンター大阪校基礎科卒業。2003年脚本『輪廻の滝』で伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞審査員奨励賞。『月は夜空に花は根に』で第八回水戸短編映像祭準グランプリ。脚本『高気圧ガール』でNHK・サンダンス国際映像作家賞日本部門2005ファイナリスト(国際審査員により審査中)。現在、新作『放課後ノート』を編集中。
 
[メッセージ]
 「人間は所詮孤独な存在。だからこそいたわり合わねばならない」尊敬する市川崑監督の言葉が発想のヒントです。孤独な者達が集まった時に感じるほのかな 温もり、そしてその後に必ず来る寂しさと、熱いようでいてどこかさめてて、でも真剣な、そんなまだ誰も光を当ててない、若者像を描きたいと思いました。

湧く赤
2004年/16mm/30分
 
監督・脚本=土屋周市
撮影=玄聖愛
照明=最勝健太郎
出演=三好昭央、橋本邦一、黒澤潤
 
湧く赤
 
[作品紹介]
 血が止まらなくなった男が葛藤に苦しみながらもその現実を受け入れていくさま。
 
土屋 周市(つちや しゅういち)監督

 1982年、東京都出身。2004年に完成した『湧く赤』が釜山アジア短編映画祭ノミネート、京都国際学生映画祭入選。
 
[メッセージ]
 血が出続ければ死んでしまいます。死にたくなければ止めなければならない。なんでもない目的、いつの間にやら気が囚われている。でも、それが終ったとき少しは気持ち良いと思います。再び求めることもあるかもしれない。どんなものでも標しに変わるのでしょうか。未熟な表現の中でも何か感じてくれる人がいたら幸いです。

惑星たちの道草
2003年/DV/1時間36分
 
監督=江藤有吾
脚本=江藤有吾
撮影=江藤有吾
音楽=渦UZU、久保田倫子
出演=藤原智樹、延堂庸子、中恵美、愛澤ななえ、神場舞、岡本恵美子、斉藤理恵 他
 
惑星たちの道草
 
[作品紹介]
 「あなたの思いをビデオにしませんか?」(メッセージビデオ・プラネット)見知らぬ誰かにメッセージを届けるため、ビデオカメラを回す圭吾は、もうすぐ30になる独身男。そんな彼のもとに家出娘のミチルが、依頼者を装って転がり込んできた。「帰ったほうがいい」と言い聞かせる圭吾だが、「2週間だけ!」と懇願するミチルの気迫に負け、滞在を認めてしまう。ミチルは圭吾に惹かれながら、撮影の仕事を手伝い、良きパートナーになって行くが……、約束の2週間はすでに過ぎようとしていた。
 
江藤 有吾(えとう ゆうご)監督

 1975年、埼玉県出身。2000年より本格的に自主映画の製作を始める。2作目の長編『午前10時の・・・』が、第2回TAMA NEW WAVE、第2回PJ映像祭にて入選。その後本作を含む3本の長編・短編を製作。現在は新春クランクイン予定の新作の脚本執筆中。Something:http://www.geocities.jp/something220/
 
[メッセージ]
 これは身近な場所で綴るロードムービーです。観終えた後、鼻歌でどこかに出かけたくなる作品を目指しました。大好きなTAMAの地を再び踏めること、嬉しく思います。込められた沢山の思いが伝わることを願いつつ。

月がとっても青いから
2004年/DV/31分
 
監督・脚本=岡田茂
撮影=中村次良、月舘孝文
助監督=新田和矢
制作=島田憲司、根路銘瞬
プロデューサー=小玉憲一
出演=波多野藍、榎木兵衛、鶴ヶ崎笑香、細原好雄、重村健太、中嶋藍子、青木中、桜井数馬、佐藤いく
 
月がとっても青いから
 
[作品紹介]
 絵美(19)の祖母・菊が細々と営業を続けてきた銭湯「田中湯」。菊が亡くなり取り壊わされることになった。ある日取り壊しを前に、両親に片付けを頼まれ、面倒くさそうに田中湯を訪れた絵美。そこへ、バイオリンケースを抱えた無口な少年・高志、ペンキ絵職人の源蔵、町の不動産屋の信夫など、予期せぬ人々が次々とやってくる。一方、そんな田中湯の周辺では、二股をかけていた男が2人の女を前に修羅場に直面。盗撮魔が徘徊し、チンドン屋が練り歩き、幼い少女が走り回っている。そして風呂場で鳴り響く高志の「キラキラ星」の演奏に合わせるかのように、それらの異分子たちが田中湯へと集結し始めるのだった。なんだか奇妙な午後だった。
 
岡田 茂(おかだ しげる)監督

 1975年、東京都出身。東京農業大学卒業後、某新聞社に入社。退社後、2003年に東北新社映像テクノアカデミア映画学科に入学。現在2年生に在籍。本作『月がとっても青いから』が第一回監督作品。その他の作品には、中学校の放課後を舞台に、告白にむかう女の子を追った物語『某日快晴ワレ告白セリ』と、少年と少女の淡い恋と別れを描いた『金魚』が年内に完成予定。
 
[メッセージ]
 いつもと変わらない日のはずなのに、なんだか少しずれた事が起こり出す。銭湯という場所を主役にして、静かだけれど騒々しい、そんな午後を描きたかった。多くの方々の様々な好意と協力があって完成したこの作品。観て頂いた皆様に、静かな余韻を残す映画として楽しんでもらうことができたら、また、たまには近くの銭湯に足を運んで頂けたら、とってもうれしいです。

笑う胃袋
2004年完成 /DV/55分
 
監督・脚本・撮影=伊刀嘉紘
音楽=クロノイ・プロトイ
出演=森川惺、土肥順一、加藤まゆ美、松田潤
 
笑う胃袋
 
[作品紹介]
 男はとある料理屋で、どことなく妖しげな存在感を醸す女性に出会う。屠畜場で牛が殺されるのを見た瞬間味覚に目覚め、そのくせ少ししか食べられなくなったのだ、そう言いながら旨そうに肉を食べる女に、男は強く惹きつけられる。一方、女は男の食べっぷりを好み、二人はやがて愛し合うようになった。男は女の誕生日に究極の料理をこしらえる。しかしその料理には女の苦手なウニが入っていて……。本作は食べることに纏わるエンターテイメント作品である。ウニは仏語でoursinといい、「機雷」の隠喩である。英語的に読めば「our sin(我々の罪)」、日本語では「海胆(海のキモ)」となる。罪の匂いをきっかけに、二人の関係は奇妙なねじれを帯びはじめる。そんな二人が行き着くところは……。
 
伊刀 嘉紘(いとう よしひろ)監督

 1970年、愛知県出身。現在は東京在住。おもな作品に『100匹目のサル』、『イマジナリーライン』『SEOUL88』、『梅心中』、『Happylife(製作中)』など。
 
[メッセージ]
 今回、クロノイ・プロトイに素晴らしい音楽をつけてもらい、やっと大手を振って上映できるようになりました。ぜひご覧ください。

ウィリアム・テロル,タイ・ブレイク
1994年/オムロ配給
 
監督=荻野洋一
製作=西田宣善
脚本=新藤朝子、荻野洋一
撮影=上野彰吾
編集・助監督=小林英彦
出演= 生頼愛子、新藤朝子 、宇田川幸洋 、七里圭 、久保明寿
 
ウィリアム・テロル,タイ・ブレイク
 
[ストーリー]
 弥生には弥太郎というボーイフレンドがいるが、うまくいっているのか傍目にはよく分からない。彼女は姉の妙からすぐ来てくれという電話をもらう。パトロンに恋人・拓の存在がバレて去られてしまい、拓の方も外国へ行くことが決まって、妙はすっかり荒れていた……。
 
[コメント]
 都会に暮らす四人の若者と、一人の中年男との間の二つの三角関係をめぐる愛憎劇。8ミリ映画出身の荻野洋一の初の16ミリで、劇場公開第一作。脚本は荻野と新藤朝子の共同、撮影は『草の上の仕事』、『ハッシュ!』などの上野彰吾が担当。ゲスト紹介伝説の映画、『ウィリアム・テロル,タイ・ブレイク』でも共演されているお二人をゲストコメンテーターにお招きし作品講評をしていただきます。

●ゲストの紹介
宇田川 幸洋(うだがわ こうよう)氏

 1950年、東京生まれ。香港映画から日本のインディーズ系映画まで、多彩なジャンルに造詣の深い映画評論家。主な著書に「ジョン・ウー/フィルム・メーカーズ12」(責任編集・キネマ旬報社)、「キン・フー武侠電影作法」(共著/草思社)、「無限地帯 from Shirley Temple to Shaolin Temple」(ワイズ出版)などがある。現在、東京ウォーカー、ロードショー、花椿に連載中。
 
七里 圭(しちり けい)監督

 1967年生まれ。高校で撮った8ミリ映画が、PFF85'で大島渚の推選により入選。その後、早大に進学しシネマ研究会に所属。約十年の助監督経験を経て、監督、及び脚本家としての活動を始める。2001年、長編映画『のんきな姉さん』、短編『夢で逢えたら』が、同時公開。最近は、室内楽団とのコラボレーション映像の演出にも力を入れている。