Suburban experiment

11月27日 「Suburban experiment」 (ベルブホール)

●Time Table●
13:05−13:13
13:13−13:22
13:40−14:10
14:25−14:55
15:10−15:22
15:27−15:53
15:58−16:11
16:16−16:43
17:00−17:30
肋腎髄腫痰 鬱骨性臓脈血
診察室
hununhum(演奏)
LETHAL FIRETRAP(演奏)
片足の神様
箱の時代
エングラム(記憶痕跡)
白日
GreatYEarsoundings(演奏)

肋腎髄腫痰 鬱骨性臓脈血
2004年/ビデオ/9分
 
監督=永桶泰史
出演=竹村采来、御手洗花女、御手洗水子
 
[解説]
 村の裏山には鬼が住んでいるという昔からの言い伝えがあった。村人は鬼を恐れ、毎日神社に供え物を届けていた。ある日、いつものように供え物を届けに来ていた村の少女の目の前に3mはある人間が現れる。恐怖でまったく身動きの取れない少女に、鬼による地獄の洗礼が始まる……。
 死の表層化によって生まれた具体性と抽象性、さらに作品を覆うノイズが渾然一体となって観る者の思考を停止させ、強制的に傍観者の側へと誘う。
 
永桶 泰史(ながおけ やすふみ)監督

 1997年東京ビジュアルアーツ専門学校にて映画製作開始。イメージフォーラム・シネマテーク「平行生物」で作品を招待上映される。ショートフィルムイベントロフトシネマPRESENTS「ロフトプラスワン自主映画祭vol.15」にて『肋腎髄腫痰 鬱骨性臓脈血』を上映。

診察室
2005年/ビデオ/9分
 
監督=大山慶
 
[解説]
 体を煩っている初老の男。診察を受けていると突如、子供時代の恥ずかしかった体験が鮮烈によみがえる。人間の肌の写真を切り貼りして作られたフランケンシュタインのようなキャラクターたちが登場し、少年時代の肉体に対する羞恥心や困惑を過剰にあぶり出す。
 
大山 慶(おおやま けい)監督

 1978年生まれ。東京造形大学卒業。『ゆきどけ』(2004)、『診察室』(2005)2005年カンヌ国際映画祭監督週間正式招待、2005年イメージフォーラム・フェスティバル入選。

片足の神様
1991-94年/16mm/12分
 
監督・撮影=黒澤潤
出演=赤羽洋子、宮本純、大久保出
 
片足の神様
 
[解説]
 黒澤の作品中、『片足の神様』は音と映像において最も実験的な作品のひとつである。黒澤はフィルムを物質として扱い、また、人間を物質として扱い新たなフォトジェニー理論を構築した。大音量のノイズと共に、物質的恍惚を感じることが出来る。それはフェティシズムかもしれないが、それこそが純粋なフィルム体験といえるのかも知れない。
 
黒澤 潤(くろさわ じゅん)監督

 1964年生まれ。多摩美術大学美術学部卒。初の長編作品『猫耳』は、93年のロッテルダム国際映画祭正式招待作品として初公開され、ヨーロッパ25都市で巡回上映され現地で絶大な支持を得る。日本では東京・恵比寿の特設会場においてプレミア上映され、自主制作映画としては記録的な観客数を動員した。

箱の時代
1992年/16mm/26分
 
監督=黒坂圭太
 
箱の時代
 
[解説]
 情報に密閉された六面体の都市で窒息寸前の現代人。他人とのコミュニケーションがうまくいかず、結婚もままならない。そんな人間に密かにエールを贈った、シニカルなブラックコメディ。 グロテスクな色調と登場人物たちのコミカルな動きは、映像の愉楽に満ちている。『みみず物語』からストーリー性をうち出してきた作者の、ひとつの集約的作品。
 
黒坂 圭太(くろさか けいた)監督

 抽象絵画を経て1984年からアニメーション映画を作り始める。映像作家・松本俊夫に師事。PFF'85で入選。主要な作品は、国内外のコンクール等で受賞を重ね、数多くの映画祭や美術展などに招待出品されている。

エングラム(記憶痕跡)
1987年/16mm/13分
 
監督=松本俊夫
 
[解説]
 日本の前衛的記録映画、実験映画、マルチ映像、ビデオアートの草分け松本俊夫。『エングラム(記憶痕跡)』はその松本氏の代表作品の一つである。
 
松本 俊夫(まつもと としお)監督

 1955年東京大学卒業。日本の前衛的記録映画、実験映画、マルチ映像、ビデオアートの草分け。『石の詩』(63年)から『エングラム(記憶痕跡)』(87年)に至る実験的短篇映画、『メタスタシス(新陳代謝)』(71年)から『ディシミュレーション(偽装)』(92年)に至るビデオアート、『薔薇の葬列』(69年)から『ドグラ・マグラ』(88年)に至る実験的劇映画等を国内外で発表。受賞多数。「映像の発見」(63年)から「映像の探究」(91年)まで著作も数多い。

白日
2003年/16mm/27分
 
監督=三宅流
 
[解説]
 モーリス・ブランショの中期作品、「白日の狂気」を題材にして創られた作品。描写は他に類を観ないほど、美しく、修辞的アルゴリズムに溢れている。或る意味、観るものを拒むほどの強度を持った作品。しかしながら、過去の作品に顕著に観られた三宅流と言う作家自体の言説が見事に昇華され、映像自体が純粋に現前する作品です。
 
三宅 流(みやけ ながる)監督

 1974年生まれ。95年多摩美術大学入学。他に『時間軸のゆらぎ』(95年)、『神経節衝動』(97-98年)、『非在者』(99年)など。すべて16mm作品。

●演奏解説
hununhum

 伝説的なカオティックハードコアバンドex-KULARA ex-THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUTのメンバーによって結成。以前のバンドのようなロック的ダイナミズムにフリーキーなアウト感の加わったサウンドはロックの最も現在的な形。
 今回の演奏は通常のセットのバンドスタイルとは趣を変え、サンプリングなどを使用したスタイルでの参加となる。
 
LETHAL FIRETRAP

 Prof. Kelly-C : Macintosh Computer、Dr. Kohei-C: Field Recordings, Electronics, Tapeにより2004年東京にて結成。ノイズシーン期待の新鋭、GUILTY CONECTORのサイドプロジェクトでもある。暗闇と物語のような空気を作り出す。サイエンスフィクションに影響されたの音響による宇宙旅行。水晶クリプトに囲まれた月の地下迷宮へと誘うーー。
 今回はGUILTY CONECTORのようなハーシュノイズ(注1)ではなくフィールドレコーディング(注2)やエレクトロニクスを使ったスタイルでの演奏となる。
 
GreatYEarsoundings

 2003年5月に活動を始める。シュールレアリズム、フルクサス、ミニマリズム、アポロハウスなどの影響を受けながら音の美学、物理、感覚、環境などの側面を中心としてインターメディア的な活動を展開。閉塞的な実験音楽のシーンの活性化を目論み、不定期で、実験音楽、パフォーマンスアートなどの複合イベント『musica nova』を企画。
 自作楽器による演奏とその視覚化、をテーマに演奏する。ドローンミニマルなスタイル(注3)の即興演奏。
 
 (注1)ハーシュノイズーーハーシュ=汚いことから連想する通り、純粋なノイズ音のこと。テレビの砂嵐の音量が上がった状態をイメージしてもらうとわかり易い。
 (注2)フィールドレコーディングーー野外や街頭の音を録音し楽曲として構成、提示すること。
 (注3)ドローンミニマルーー緩やかな音を繰り返すスタイルのこと。