世界の映画祭を震撼させた話題作

11月18日 「世界の映画祭を震撼させた話題作」 (やまばとホール)

●Time Table●
10:30−10:45
10:45−13:15
14:00−16:08
16:30−18:03
オープニング
ダ・ヴィンチ・コード
ナイロビの蜂
グッドナイト&グッドラック

ダ・ヴィンチ・コード
The Da Vinci Code
2006年/アメリカ/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給/2時間30分
 
監督=ロン・ハワード
原作=ダン・ブラウン
脚本=アキヴァ・ゴールズマン
撮影=サルヴァトーレ・トチノ
音楽=ハンス・ジマー
出演=トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、ポール・ベタニー、ジャン・レノ
 
ダ・ヴィンチ・コード
© 2006 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
 
[ストーリー]
 ルーヴル美術館で館長が不可解な暗号を残して殺された。その暗号を解くために、ハーバード大学の教授ロバート・ラングドン(T・ハンクス)と暗号解読官のソフィー・ヌヴー(A・トトゥ)が調査を始める。ラングドン教授はソフィーと共に暗号を解読していくが、新たな事実が浮かびあがる。
 
[コメント]
 原作は世界中でベストセラーとなったダン・ブラウン著「ダ・ヴィンチ・コード」。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画に秘められた謎に迫るミステリーである。その原作を忠実に再現し、ルーヴル美術館を貸しきって撮影した本作。ルーヴル美術館内の名画、ヨーロッパ各地の風景、これらはとても綺麗だ。ストーリーは日本人としてはとっつきにくいキリスト教について深く関わるものになっている。しかし、本作はその辺りの知識に疎い人にもわかるように丁寧に描かれている。2時間30分という長編だが、その長さはまったく感じない作りになっていた。次々と明らかとなる事実に、終始目が離せなかった。
 役者陣の好演も光る本作。ベテランのトム・ハンクスは安定感があり、安心して観ていられる。そして、役者のなかでもシラス役のポール・ベタニーが難役を見事に演じきっている。原作ファンも、そうでない方も、今年最高のミステリーを堪能して下さい。 (賢)

ナイロビの蜂
The Constant Gardener
2005年/イギリス/ギャガ・コミュニケーションズ配給/1時間28分
 
監督=フェルナンド・メイレレス
原作=ジョン・ル・カレ
脚本=ジェフリー・ケイン
撮影=セザール・シャローン
編集=クレア・シンプソン
音楽=アルベルト・イグレシアス
出演=レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ユベール・クンデ、ダニー・ヒューストン
 
ナイロビの蜂
 
[ストーリー]
 情熱的な妻テッサ(R・ワイズ)と、外交官の夫ジャスティン(R・ファインズ)は、夫の駐在先のナイロビで暮らしていた。ある日突然、妻テッサの死の知らせが届く。失意のなか、テッサの死に疑問を抱いたジャスティンは、真相を独自に調べた。やがてたどり着いたのは、アフリカで横行する薬物実験、官僚と大手製薬会社との癒着、そして多国籍企業による世界的陰謀だった。
 
[コメント]
 原作者のジョン・ル・カレをして完璧な映画だと言わしめただけあってこの作品はラブストーリーの体裁を取りながら一級の社会派サスペンスとして成功している。そして前作『シティ・オブ・ゴッド』で世界中の映画ファンを驚かせたフェルナンド・メイレレス監督の映像センスも更に進化しており、その縦横無尽な(難解だと言う人もいるかも知れないが)カメラワークを駆使して、点として細かくエピソードをつないでいきながら確実に事件の核心に迫っていく様は観ていて鳥肌が立つほど見事で素晴らしい。監督の魂が乗り移ったかのような傑作。主演の二人も良いが、後半チラッと出てくるアポストフェルトが巧い。 (舟)

グッドナイト&グッドラック
Good Night, and Good Luck
2005年/アメリカ/東北新社配給/1時間33分
 
監督・脚本=ジョージ・クルーニー
撮影=ロバート・エルスウィット
編集=スティーヴン・ミリオン
音楽=アラン・シヴィリドフ
出演=デビッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー、ロバート・ダウニー・ジュニア、パトリシア・クラークソン
 
グッドナイト&グッドラック
 
[ストーリー]
 1953年、米ソ冷戦が激しさを増すなか、アメリカ国内ではマッカーシー上院議員による国内の共産主義者の徹底した排除活動が行なわれ、“赤狩り”の影はテレビ局にも忍び寄っていた。それに対し、CBSの人気キャスター、エド・マロー(D・ストラザーン)とプロデューサーのフレッド・フレンドリー(G・クルーニー)は、マッカーシー上院議員を自らの番組で批判し、彼との全面対決へとなだれ込んでいく。
 
[コメント]
 『シリアナ』でアカデミー最優秀助演男優賞を受賞したジョージ・クルーニー。ジョージ・クルーニーの父親は、ニュースキャスターであり、ジャーナリズムが身近な環境で育った。その彼が監督を務めた『グッドナイト&グッドラック』には、特別な思いが感じられる。
 マッカーシー上院議員による“赤狩り”はどういったものであったのか。また、“赤狩り”は、誰に、どのような影響を及ぼしたのか。何となくとしか知らなかった“赤狩り”について興味を持てる作品である。改めて、ジャーナリズムの大切さがわかる。
 全編モノクロということもあり、落ち着いたトーンでとてもシンプルである。なんといっても、役者がしぶく、すごくかっこいい。 (鳥)