ハートフルコメディ

11月19日 「ハートフルコメディ」 (やまばとホール)

●Time Table●
11:00−13:19
14:05−16:04
16:25−18:41
UDON
間宮兄弟
THE 有頂天ホテル

UDON
2006年/フジテレビジョン、ROBOT、東宝製作/東宝配給/2時間14分
 
監督=本広克行
製作=亀山千広
脚本=戸田山雅司
撮影=佐光朗
音楽=渡辺俊幸
出演=ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、トータス松本、鈴木京香、要潤、江守徹
 
UDON
© 2006 フジテレビ ROBOT 東宝
 
[ストーリー]
 成功を夢見て渡米していた松井香助(ユースケ)は、挫折したことにより故郷の田舎町に戻ってきた。借金を背負い人生のどん底にいた香助の前に、地元の雑誌社で働く編集者の恭子(小西)が現れる。香助は恭子や地元の人々と触れ合ううちに地元の名産品である“うどん”の魅力に目覚め始める。
 
[コメント]
 うどんは実に庶民的で日本を代表する食べ物。決して高価ではなく、材料は小麦粉と水と塩。しかし、そこにはとても奥が深い世界がある。喉ごし、歯ごたえ、太さ、茹で具合……。語りだせばきりがない。最近は讃岐うどんのおかげで密かなうどんブームが全国を賑わせている。
 『UDON』は、大ヒット映画『踊る大捜査線』の本広克行監督と亀山千広氏が再び手を組んだ、笑いあり、涙ありのハートフルコメディーだ。ユースケのもつ独特な個性と出演者の個性を十分に生かし、脚本の一部にアドリブを入れて、シンプルな『UDON』に薬味を添えている。
 お笑いを目指して家を飛び出した息子に、職人気質で頑固な父親は厳しい。息子は反発しながらも、うどんを通してみえてくる親父の背中に、親子がわかりあえる日は近いように思われた。家族の愛を描きながらも、うどんの魅力は満載。茹でたての釜揚げうどんの前に、言葉は要らないだろう。一杯のどんぶりにこもる人の温かさ、情熱。その気持ちが観る人に優しく伝わってくる作品だ。 (池)

間宮兄弟
2006年/『間宮兄弟』製作委員会製作/アスミック・エース配給/1時間59分
 
監督・脚本=森田芳光
原作=江國香織
撮影=高瀬比呂志
音楽=大島ミチル
出演=佐々木蔵之介、塚地武雅、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子
 
間宮兄弟
© 2006「間宮兄弟」製作委員会
 
[ストーリー]
 ビール会社の商品開発研究員の兄・間宮明信(佐々木)と小学校校務員の弟・間宮徹信(塚地)は、30歳を過ぎても兄弟仲良く同居生活を送っている。兄弟そろって女性と縁が遠く、ありふれた日常にささやかな歓びを見つけてはふたりで楽しく暮らしている。しかし、そんな彼らにもいよいよ恋の予感が……。
 
[コメント]
 子供のころから大人になるまで、すべての過程において共に存在するのは兄弟(姉妹)または両親だ。何が好きで何が嫌い、お互いの気持ちは十分理解し、思いやる気持ちは長年の友達でも簡単には得られない。しかし、そんな関係も歳が経つにつれ薄れお互いが別々の人生や家庭を持てば疎遠になっていくのが常だ。
 間宮兄弟は30歳を過ぎても、お互い恋人以上の関係を維持し続けている。同じ屋根の下で寝起きを共にし、趣味や食事を共にするその関係は、もはや普通の恋人では決して得られない。兄・明信はまじめ一徹、仕事も趣味も自分のスタイルを崩さない。一方、弟・徹信は小学校の用務員を務めるだけあって手先が器用で何でもできる。料理、洗濯だってきちんとこなす。大人になっても瓶入りのコーヒー牛乳がお気に入りの飲み物だ。
 二人の平凡な毎日は、ふとしたことから変化が起こる。この変化はこれからの二人の関係にどう影響するのか。そして二人に遅すぎた春が訪れるのか。どんな結果を迎えようとも、お互いを思いやる気持ちは永遠に変わらない。それが間宮兄弟だ。 (池)

THE 有頂天ホテル
2005年/フジテレビ、東宝製作/東宝配給/2時間16分
 
監督・脚本=三谷幸喜
製作=亀山千広・島谷能成
エグゼクティブプロデューサー=石原隆・佐倉寛二郎
撮影=山本英夫
音楽=本間勇輔
出演=役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、唐沢寿明、伊東四朗、西田敏行
 
THE 有頂天ホテル
 
[ストーリー]
 人々がさまざまな思いを抱く大晦日。都内の老舗ホテル「ホテルアバンティ」の副支配人・新堂(役所)はカウントダウン・パーティーの準備に大わらわ。そんななか、ホテルの従業員と、そこへやって来る<訳あり>の宿泊客が、次々に思いがけない出来事に遭遇する。果たして彼らは幸せな新年を迎えられるのか……?
 
[コメント]
 人気脚本家・三谷幸喜の監督第3作。前作『みんなのいえ』から4年ぶりとなるこの作品は、大晦日の老舗ホテルが舞台だ。副支配人を始めとするホテルの従業員たち、カウントダウン・パーティーに出演する芸人、そして宿泊客。登場人物のエピソードが同時進行で絡み合い、物語は進んでいく。
 演じるのは、ちょっと欲張りすぎではと思えるほど豪華な顔ぶれ。主要キャストだけでも23人を数える。この人がこんな役を? というキャスティングもあるので、見てのお楽しみ。それにしても、三谷監督が「イメージした俳優全員に『出演OK』の返事をもらった」と言うだけあって、演じている俳優たちも実に楽しそうだ。
 そして、クライマックスのカウントダウン・パーティー。登場人物が一堂に会するこのシーンで、シンガー役のYOUが素晴らしい歌声を披露して華を添えている。
 ちなみに、「ホテルアバンティ」はセットで、実在はしないそうだ。残念! (久)