11月18日 「スローライフでいこう」 (パルテノン多摩小ホール)
●Time Table● | |
12:00−13:41 14:10−15:52 16:10−18:01 18:01−18:30 |
ククーシュカ ラップランドの妖精 かもめ食堂 アボン・小さい家 トーク 今泉光司監督 |
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12:00−13:41 14:10−15:52 16:10−18:01 18:01−18:30 |
ククーシュカ ラップランドの妖精 かもめ食堂 アボン・小さい家 トーク 今泉光司監督 |
ククーシュカ -- ラップランドの妖精 -- Kukushka |
2002年/ロシア/シネカノン配給/1時間44分 |
監督=アレクサンドル・ロゴシュキン 原作・脚本=金城一紀 撮影=アネドレイ・ツェガロフ 編集=ユリヤ・リュミャンツェワ 音楽=ドミトリ・パブロフ 出演=アンニ=クリスティーナ・ユーソ、ヴィッレ・ハーパサロ、ヴィクトル・ブィチコフ |
[ストーリー] |
第二次世界大戦末期。ラップランドではロシア、ドイツ、そしてドイツの同盟国フィンランドが戦っていた。フィンランド兵のヴェイッコ(V・ハーパサロ)は、不戦の態度への罰として鎖で繋がれ放置される。一方、ロシア兵のイワン(V・ブィチコフ)は反体制的な罪を着せられ護送中、味方に誤爆され重傷を負う。彼らを助けたのが現地に住むサーミ人の女性アンニ(A=K・ユーソ)だ。彼女にとって2人は敵味方ではなくただの“男”でしかない。まったく言葉の通じない3人の奇妙な暮らしが始まった。 |
[コメント] |
スローライフ、エコ、ロハス……これらの言葉は最近、ブームに乗っただけの実体を伴わない陳腐なものになっている。しかし、本物のスローライフがこの映画のなかにある。 ムーミンやサンタクロースで知られるフィンランド最北の地ラップランド。美しい湖や針葉樹林が広がる幻想的な風景を観るだけでも心癒される。しかし一番の魅力は圧倒的な大自然とともに生きるアンニだ。時にたくましく、時に官能的でもある彼女の存在が“生きる”素晴らしさを教えてくれる。サブタイトルに『ラップランドの妖精』とあることから、北欧メルヘンを期待して臨むとそのギャップに驚くだろう。平和へのメッセージを静かに、ユーモラスに謳う濃密で奥深い人間ドラマだ。 (廣) |
かもめ食堂 |
2005年/日本テレビ、バップ、幻冬社、シンシャ・コーポレイション、パラダイス・カフェ、メディア・スーツ製作/メディア・スーツ配給/1時間42分 |
監督・脚本=荻上直子 撮影=トゥオモ・ヴィルタネン 音楽=近藤達郎 出演=小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・ニエミ、タリア・マルクス |
[ストーリー] |
サチエ(小林)はヘルシンキで“かもめ食堂”を始めたものの客はゼロ。ある日彼女は最初の客で日本かぶれの青年トンミ(ヤルッコ)にガッチャマンの歌詞を教えてくれと言われるが、出だししか思い出せない。彼女は偶然本屋でミドリ(片桐)を見かけ、一緒に食堂で働くことになる。“かもめ食堂”にも色々な人がやってきて食堂に変化が始まる……。 |
[コメント] |
群ようこが本作のために書き下ろした小説を、『バーバー吉野』の荻上直子監督が映画化した人間讃歌。凛としたたたずまいのなかに優しさをのぞかせる食堂の店主役の小林聡美の演技が、フィンランドのゆっくりとした生活にマッチしている。その脇を片桐はいり、もたいまさこの独特な個性のある演技陣で固める。フィンランドの首都ヘルシンキを舞台に、のんびりゆったりとした国際交流を繰り広げていく様子を見るだけで幸せな気分になれる。 撮影にはヘルシンキ市やフィンランドの後援をうけ、撮影すべてをフィンランドで行った。話だけでなく、その美しい町並みにも目を向けて欲しい。 (池) |
特別先行プレビュー(2007年公開予定) アボン・小さい家 ABONG / Small Home |
2003年/日本・フィリピン合作/アルゴ・ピクチャーズ配給/1時間51分 |
監督・製作・脚本=今泉光司 脚本=クリスティ・セグナケン 撮影=ボーイ・ニグエ 音楽=イェイェ・カルデロン 出演=ジョエル・トレ、キドラ・タヒミ、ジョエ・アヤラ、マニラ・バギオのアーティスト |
[ストーリー] |
ラモット(J・トレ)はフィリピンの日系3世。3人の子供を抱えバキオの町で乗り合いバスの運転手をして細々と暮らしている。生活費を稼ぐため母が外国に出稼ぎへ行くことになり、3人の子供は父の実家である山奥の村に預けられることになった。最初は戸惑いを見せる子供たちだが、次第に優しい祖父母や村の生活にも慣れていく。しかし、母が密入国で逮捕され事態は思惑とは違う方向へ進んでいく……。 |
[コメント] |
アボンは、多様な背景を含んでいる。戦争や日本兵が残した傷跡、日系人という背景、文明がもたらす生活のひずみや、人間らしい生き方への疑問。文明の発達した社会が決して人間を幸せにしてくれるわけではない。たとえ貧しくてもいつも友達や仲間がそばにいて、笑いが溢れる生活なら十分幸せになれるのだ。アボンはそんな生活観の意味を教えてくれる。 『アボン・小さい家』は「サルボン」という非営利映像製作プロダクションによって作成された。「サルボン」は、地球環境と現代社会を反映した文化としての映画芸術の発展を目的に設立されたNPOで個人や公私団体の参加・協力・支援を得ながら活動を進めている。決して派手な作品ではないが、フィリピンの現実社会を知ることができる作品だ。 (池) |
●ゲストの紹介 |
今泉 光司(いまいずみ こうじ)監督 フリーのPR映画の演出を経て、映画監督小栗康平に師事。ドキュメンタリー『自然農法・福岡正信インドへ行く』を制作後、この作品が第一回目の長編劇映画となる。 |