11月24日 「World Music Fair」 (パルテノン多摩小ホール)
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14:00−15:57 16:15−18:31 18:50−21:04 |
戦場のアリア ウォーク・ザ・ライン 君に続く道 プロデューサーズ |
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14:00−15:57 16:15−18:31 18:50−21:04 |
戦場のアリア ウォーク・ザ・ライン 君に続く道 プロデューサーズ |
戦場のアリア |
2005年/フランス・ドイツ・イギリス/角川ヘラルドピクチャーズ配給/1時間57分 |
監督・脚本=クリスチャン・カリオン 撮影=ウォルター・ヴァン・デン・エンデ 音楽=フィリップ・ロンビ 主題歌歌手=ソプラノ歌手ナタリー・デッセー、テノール歌手ロランド・ヴィラゾン 出演=ダイアン・クルーガー、ベンノ・フユルマン、ギョーム・カネ、ダニエル・ブリュール、ゲイリー・ルイス |
配給:角川ヘラルド映画 |
[ストーリー] |
第一次世界大戦初期の1914年冬、戦場で初めてのクリスマスを迎えようとしていたスコットランド・ドイツ・フランスの兵士達の耳に、オペラ歌手アナ(D・クルーガー)の美しいアリアの旋律が届く。実際に戦場で起きたと伝えられる敵味方の兵士の交流に基づいた物語。ニコラウス(B・フユルマン)ら互いの生身の姿を知った兵士たちが、交友を深めながらも再び戦場へ向かうまでの姿を描いている。 |
[コメント] |
教育によって互いに憎悪を教え込まれてきた欧州各国の市民。第一次世界大戦の勃発によって、戦場の最前線に立たされたのは彼等だった。様々な職業を持つ者が集まり、武器を持って散った戦場。短期で終わるはずの戦争は、故郷で祝うはずのクリスマスになっても兵士たちを引き留めて帰さなかった。ドイツ皇帝はクリスマスを10万本のツリーでプロパガンダの場に変えようとし、視察に訪れた連合国側の高官も現場の兵士の思いを理解できない。聖夜に流れるバグパイプだけが、塹壕に隠れた兵士たちの憎悪を溶かして束の間の休戦をもたらす。向かい合えば友人なのに、殺し合う戦争がなぜ生まれるのか。心を癒すはずの宗教までもが、政治的に利用され兵士を作り出すのに使われていく。印象的なミサのシーンが、国家と宗教の矛盾を象徴しているかのようだ。この映画のメッセージは、おそらく現在の世界と隔絶したものではないだろう。 (濱) |
ウォーク・ザ・ライン 君に続く道 |
2005年/アメリカ/20世紀フォックス映画配給/2時間16分 |
監督・脚本=ジェームズ・マンゴールド 脚本=ギル・デニス 撮影=フェドン・パパマイケル 音楽=T・ボーン・バーネット 出演者=ホアキン・フェニックス、リーズ・ウィザースプーン、ロバート・パトリック、ジニファー・グッドウィン |
© 2005 TWENTIETH CENTURY FOX |
[ストーリー] |
伝説の歌手、ジョニー・キャッシュ(H・フェニックス)の半生を描いた物語。兄の死にトラウマを抱いたまま、キャッシュはスター歌手へと登りつめる。やがて少年の頃にラジオで聞いた女性歌手ジューン・カーター(R・ウィザースプーン)と公演先で出会い、共にステージに立つ。彼はやがて破滅への道を歩み始めるが、ジューンは彼を見捨てない。 |
[コメント] |
オープニングから響くドラムの低音。ステージの臨場感を再現するホアキン・フェニックスとリーズ・ウィザースプーンとの掛け合い。そして、吹き替えなしとは思えない役者二人の素晴らしい肉声。今年公開された音楽映画のなかでも特に印象的な作品だ。作品の全編を通じてベース音として流れているのが、キャッシュによる兄への思いと心の傷、再生までを描いたストーリーだ。つまずきながらも答えを探す彼の歩みは、作品に陰影をもたらし、味わい深いものにしている。そして、アカデミー助演女優賞を受賞したリーズ・ウィザースプーンが演じるジューンの魅力的な声と表情。傷ついたキャッシュを支える彼女には生きた存在感がある。共演する二人がスクリーンのなかを抜け出し、観客とともに人生を歩んでいるかのような豊かな余韻を残してくれる作品だ。 (濱) |
プロデューサーズ THE PRODUCERS |
2005年/アメリカ/ソニーピクチャーズ エンターテインメント配給/2時間14分 |
監督=スーザン・ストローマン 脚本・音楽=メル・ブルックス 脚本=トーマス・ミーハン 撮影=ジョン・ベイリー、チャールズ・ミンスキー 音楽スーパーバイザー=パトリック・ブレイディ 出演=ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、ユマ・サーマン、ウィル・フェレル |
© 2005 BROOKSWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED. |
[ストーリー] |
最低のミュージカルをプロデュースせよ!? 1959年のニューヨーク。落ちぶれた大物演劇プロデューサー、マックスの事務所に会計士のレオが訪れた。帳簿を調べたレオが、ショウがこけたほうがお金が儲かるという摩訶不思議な事実に気づいたことで、マックスのやる気が充満。レオを巻き込み、大金をせしめようと、初日=楽日を目指す史上最低のミュージカルのプロデュースが始まった! |
[コメント] |
ユダヤ人が作ったヒットラー礼賛のミュージカル“Springtime for Hitler”と聞いたら、貴方はどうするだろうか。しかも、ユダヤ人が多いNew Yorkでの初演。100%コケると考えるのが当然なのだが……。 これがメル・ブルックスの手にかかると、絶妙なストーリーに、素晴らしい歌、踊り、衣装、舞台を組合せたこれまでにないミュージカル・コメディ(これぞブロドーウェイ・ミュージカル)となり、作中の観客だけでなく我々観客をも驚嘆させてしまう。製作、脚本、作詞作曲、演出のブルックスは、このとき75歳。そのパワー、熱情、したたかな喜劇役者兼作家のすごさを感じる。 舞台も映画も楽しめるが、2005年の本映画は、ミュージカル初演のオリジナル・スタッフ&キャストを集結して作られており、舞台&映画の両方を楽しめる。幕がおりるまで席を立たないことをお薦めする。 80歳の現在「ヤング・フランケンシュタイン」ミュージカル化を進行中とのこと。楽しみである。 (Yu2) |