11月17日 「山田洋次監督 藤沢周平時代劇3部作」 (やまばとホール)
●Time Table● | |
10:30−10:45 10:45−12:54 13:40−15:51 16:10−18:09 |
オープニング たそがれ清兵衛 隠し剣 鬼の爪 武士の一分 |
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10:30−10:45 10:45−12:54 13:40−15:51 16:10−18:09 |
オープニング たそがれ清兵衛 隠し剣 鬼の爪 武士の一分 |
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| プログラム一覧 | プログラム日程 |
たそがれ清兵衛 |
2002年/松竹、日本テレビ、住友商事、博報堂、日販、衛星劇場製作/松竹配給/2時間9分 |
監督・脚本=山田洋次 原作=藤沢周平「たそがれ清兵衛」、「竹光始末」、「呪い人助八」(新潮文庫) 脚本=朝間義隆 撮影=長沼六男 音楽=冨田勲 出演=真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、大杉漣、吹越満、田中泯、岸恵子 |
© 2002松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂/日販/衛星劇場 |
[ストーリー] |
幕末の庄内、海坂藩。井口清兵衛(真田)は、妻を労咳で亡くし、幼い二人の娘、年老いた母と暮らしている。その生活は苦しく家事や内職に追われる毎日だ。そんな清兵衛の元を、幼なじみの朋江(宮沢)が訪れるようになる。嫁ぎ先の夫の横暴さに耐えかね、実兄が連れ戻したのだ。やがて湧いてくる朋江への秘めた想いを、貧しさゆえに封じ込める清兵衛。その清兵衛の元に君主からの命が下る。刀を手に向かったその先に待つものは……。 |
[コメント] |
山田洋次監督初の時代劇は、丁寧な人間描写と、そこで生きる人々を厳しくも暖かく受け止める自然が美しい物語だ。真田広之演じる実直で不器用な武士・清兵衛の姿は時代背景を越えて、現代の男性が共感しうる苦労を抱えているように感じた。それは武士として、男として、そして父として果たさなければならない覚悟なのだろう。そんな男を陰でそっと支えるのが、宮沢りえ演じる朋江だ。彼女の美しく聡明な姿は、清兵衛の苦労に満ちた生活にひとときの安らぎを与える。そして果し合いに行く覚悟を決めた時、彼女に対する気持ちを再確認したのだろう。もう一度夫となり、一生連れ添う覚悟を決めた清兵衛の告白は、性格そのままの不器用なものだったが、誰の心にも強い勇気を与えたに違いない。そしてそれは山田洋次監督が若い世代に送るエールであるのだろう。 (蛭) |
隠し剣 鬼の爪 |
2004年/「隠し剣 鬼の爪」製作委員会/松竹配給/2時間11分 |
監督・脚本=山田洋次 原作=藤沢周平「隠し剣、鬼の爪」、「雪明り」 脚本=朝間義隆 撮影=長沼六男 音楽=冨田勲 出演=永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、小澤征悦、田畑智子、高島礼子、田中邦衛 |
© 2004 松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂DYメディアパートナーズ/日販/衛星劇場 |
[ストーリー] |
幕末の東北。海坂藩の平侍、片桐宗蔵(永瀬)は、母と妹の志乃、女中のきえ(松)と貧しくも笑顔の絶えない日々を送っていた。やがて母が亡くなり、嫁いでゆく志乃ときえ。ある日宗蔵は、きえが嫁ぎ先で酷い扱いを受けて寝込んでいると聞き、やつれ果てたきえを背負い連れ帰る。同じ頃、宗蔵は謀反を起こして逃亡したかつての学友弥市郎を切るように命じられる……。 |
[コメント] |
観ていて気持ちのいい爽やかさのある映画だ。山田洋次監督作品の一番良いところは、なんといっても分かりやすさだと思う。この幕末武士・3部作においても、変に肩肘を張らず、観客がすんなりストーリーに入り込める作りになっている。それは、他人を思いやる心や、家族や大切な人への愛の形は時代を超えて変わらないと信じているからだと思う。そしてそのテーマの普遍性は、永瀬正敏、松たか子という現代を象徴する若者が何の違和感もなく演じていることからもみてとれた。永瀬の朴訥とした佇まいは、官僚機構の下位にいる下級武士の悲哀をストレートに表現しているが、それは現代の若者が抱えている孤独にも相通じる。そして松の一途な健気さは、若者にしかないまっすぐな眼差しによく似ている。そしてこの若者固有の感覚は誰でも一度は必ず体験するものだと思う。改めて自分の通った道を振り返って見る人、今の自分を肌で感じる人、この映画は世代を超えて何かを感じる作品なのだろう。 (蛭) |
武士の一分 |
2006年/「武士の一分」製作委員会/松竹配給/2時間1分 |
監督・脚本=山田洋次 原作=藤沢周平「隠し剣秋風妙—盲目剣谺返し」(文春文庫) 脚本=平松恵美子、山本一郎 撮影=長沼六男 音楽=冨田勲 出演=木村拓哉、檀れい、笹野高史、桃井かおり、緒形拳、坂東三津五郎[10代目] |
© 2006「武士の一分」製作委員会 |
[ストーリー] |
下級武士の三村新之丞(木村)は、藩主の毒見役を務めた折り運悪く失明してしまう。さらに妻の加世(檀れい)が番頭の島田(坂東)と不貞を働いたことが判明し、絶望の中離縁を決意。愛する妻を奪われた悲しみと怒りを胸に、新之丞は島田に“武士の一分”を賭けた果し合いを挑む。 |
[コメント] |
コトコトと湯が沸く音、スルスルと戸を引く音、パチパチと薪が燃える音、この映画からは生活の音が実に心地よく響いてくる。まるで主人公たちがすぐ目の前を通り過ぎていくようだ。鳥がさえずり、蛍がふわりと舞い、風が木々を揺らし、日差しが庭に降り注ぐ。季節さえも目の前を過ぎていく。山田組の細部にいたるこだわりが映画を生き生きと豊かなものにしている。 役者もまたしかりである。視線の動き、立ち居振る舞い、微笑みの交わし方、どれをとっても自然なのだ。視力を失った後の木村拓哉は全身に気迫がみなぎり、観ているこちらの心を強く揺さぶってくる。檀れいの凛とした美しさ、笹野高史の脇役に徹した秀逸な演技も見事なハーモニーを生んでいる。なぜ山田作品と藤沢作品とは、このような美しい響き合いが可能なのだろうか。 出演者と山田組の、映画人としての一分を感じる傑作だ。 (環) |
●監督プロフィール | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
山田 洋次 監督(Yamada Yoji) 1931年大阪府豊中市生まれ。2歳で満州に渡り15歳で大連から日本(山口県宇部市)に引き揚げる。流れ者や社会の逸脱者を多く描くのは、自身の引き揚げ体験が強く影響している。54年東京大学法学部卒業。同年、助監督として松竹入社。61年『二階の他人』で監督デビュー。69年、全48作となる「男はつらいよ」シリーズ開始。2002年『たそがれ清兵衛』で日本の映画賞を総なめにした。また、『幸福の黄色いハンカチ』がハリウッドでリメイクされることも予定されている。 フィルモグラフィ(主要作品)
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藤沢 周平(Fujisawa Shuhei) 本名、小菅留治(こすげとめじ)。1927年山形県黄金村(現・鶴岡市)に生まれる。49年山形師範学校を卒業。2年間教員を務めるが肺結核で入院。退院後新聞社に勤めて、71年43歳でオール讀物新人賞を受賞し、作家としてデビュー。4年連続で直木賞候補となり、73年「暗殺の年輪」で受賞を果たす。25年の作家生活の中で、短編191、長編36を書き上げる。架空の藩、海坂藩(庄内平野)を舞台にした作品が多い。97年逝去。享年69歳。 主要作品
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