80年代の日本映画 Vol.2

11月21日 「80年代の日本映画 Vol.2」 (やまばとホール)

●Time Table●
13:00−15:14
15:30−17:35
夢千代日記
花いちもんめ

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夢千代日記
1985年/東映製作・配給/2時間9分
 
監督=浦山桐郎
脚本=早坂暁
撮影=安藤庄平
音楽=松村禎三
出演=吉永小百合、北大路欣也、名取裕子、田中好子、樹木希林
 
夢千代日記
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 舞台となるのは山陰の湯村温泉。被爆二世である夢千代(吉永)は、白血病と戦いながら母が残した芸者置屋「はる屋」の経営を続けていた。そこには、さまざまな事情を抱えた女が、男がやってくる。限られた命のなかでひたむきに生きる夢千代は、ふと知り合った旅役者(北大路)に心をひかれていく……。夢千代の生みの親でもある脚本家、早坂暁によれば、この夢千代は当初から吉永小百合を想定して作られたキャラクターであり、今日では彼女の当たり役となっている。1981年から84年にかけてNHKで3度にわたって放映された人気テレビ・シリーズの映画による完結篇。吉永小百合と監督の浦山桐郎コンビの復活が話題を呼んだ。
 世評の高い、浦山のデビュー作『キューポラのある街』(62年)は、主演の吉永を「少女スター」から「女優」に脱皮させた作品としても知られている。浦山は本作品完成後に死去し、これが遺作となった。生涯に9本しか作品を残さなかった浦山は、寡作監督として映画史に名前を止めることになったが、うち吉永の主演作は4本を数えている。

花いちもんめ
1985年/東映製作・配給/2時間5分
 
監督=伊藤俊也
脚本=松田寛夫
撮影=井口勇
音楽=池部晋一郎
出演=千秋実、十朱幸代、加藤治子、西郷輝彦、長谷川真弓、岩渕健
 
花いちもんめ
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 今日大きな社会的関心を集めている、老人性の認知症(痴呆症)の問題に正面から取り組んだ伊藤俊也監督の力作。アルツハイマーとなっていく一人の考古学者と、その家族たちの苦闘する姿が、とくに舅と嫁の関係を軸に力強い演出でリアルに描き出されている。病人の介護をめぐり、いわゆる「家族愛=親子愛」の根源を問いただしていく、この映画の主題はますます重いものになっている。「女囚さそり」シリーズ(1972〜73年)や『誘拐報道』(82年)など、常に社会的な広がりを視野に入れたドラマ作りを特徴とする、伊藤監督らしい重厚なホーム・ドラマである。主人公の老学者を演じた千秋実は、自分自身が脳卒中から回復した体験をもっており、その存在感は圧倒的であった。この年多くの演技賞を受賞している。

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