映画でつながる人と町

11月17日 「映画でつながる人と町」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
13:00−13:45
14:00−15:55
16:10−18:10
東京マーブルチョコレート
檸檬のころ
天然コケッコー

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特別先行プレビュー
東京マーブルチョコレート
2007年/東京マーブルチョコレート製作委員会製作/プロダクションI.G配給/45分
 
監督=塩谷直義
脚本=尾崎将也
キャラクターデザイン=谷川史子
作画監督=浅野恭司、井川麗奈
美術監督=小林七郎
音楽=柳川剛
声の出演=水樹奈々、櫻井孝宏、岩田光央、井上麻里奈、中村悠一
 
東京マーブルチョコレート
© 2007 Production I.G/東京マーブルチョコレート製作委員会
 
[ストーリー]
 些細だけど大切なこと。あなたは大好きなひとに伝えていますか?
 物語の舞台は、ふたつのタワーがならぶ、なんだか見覚えのある町並み。その町に暮らすふたりの男の子と女の子。
 マジメでやさしいんだけど、少し臆病な性格のせいで彼女とうまく付き合えない悠大(櫻井)。元気で明るいんだけど、運が悪くドジばかりで彼氏と長続きしないチヅル(水樹)。そんなふたりが初めて一緒にむかえるクリスマス。
 動物好きのチヅルのために悠大が用意したプレゼントはウサギ……のハズだったのに、プレゼントの箱の中には“ミニロバ”が入っていた!? 逃げ出したミニロバ、それを追うチヅル、ひとりと1匹を見失ってしまう悠大。
 一緒にいるはずだった時間。
 伝えるはずだった大切な想い。
 日々のなかに埋もれてしまいがちな、些細だけど大切なこと。
 離れてすごす時間のなかでふたりが見つける答えは……。
 悠大とチヅル、すれ違うふたりの想いと時間をお互いの視点で描くダブルサイド・ピュアラブストーリー。

檸檬のころ
2007年/「檸檬のころ」製作委員会製作/ゼアリズエンタープライズ配給/1時間55分
 
監督・脚本=岩田ユキ
原作=豊島ミホ
撮影=小松原茂
音楽=加羽沢美濃
出演=榮倉奈々、谷村美月、柄本佑、石田法嗣、林直次郎(平川地一丁目)
 
檸檬のころ
© 2007「檸檬のころ」製作委員会
 
[ストーリー]
 吹奏楽部の指揮者で成績優秀な加代子(榮倉)。そんな彼女に中学時代から思いを寄せる野球部の西(石田)。しかし、エースの佐々木(柄本)も彼女に恋していた。一方、音楽ライターを目指す恵(谷村)は、気が合う軽音楽部の辻本(林)に彼が初めて作った曲の作詞を頼まれる。5人の思いが絡み合いながら、最後の文化祭が近づく。
 
[コメント]
 久しぶりに心動かされる映画に出会った。タイトルからはノスタルジックで甘酸っぱい映画を想像する(もちろん、そのような側面もある)が、観終わって残るのは音楽オタク少女・恵の圧倒的な存在感。彼女の心の高揚、落胆、もどかしさ、すべてが痛いほど伝わり、自分のもののように感じられた。演じる谷村美月の表現力はすごい! 好きな人と初めて話が盛り上がったときの舞い上がるような表情や、報われなかった行き場のない感情を自転車をこぎ続けながら爆発させる様子など見事としか言いようがない。その片想いの相手となる辻本役の林直次郎(平川地一丁目)も演技初体験ながら、音楽にのめりこむ(適度に鈍感な)男子の雰囲気を持ち合わせていて適役。
 監督は自主映画時代から注目され、ついに本作で長編商業映画デビューを果たした岩田ユキ。短編『ここからの景』でも観察力の鋭さ、脚本のセンスなどの評価が高かったが、それをよりスケールアップさせた形での長編の誕生に作家としての飛躍的な成長を感じた。 (黒)

天然コケッコー
2007年/「天然コケッコー」製作委員会製作/アスミック・エース配給/2時間1分
 
監督=山下敦弘
原作=くらもちふさこ
脚本=渡辺あや
撮影=近藤龍人
音楽=レイ・ハラカミ
出演=夏帆、岡田将生、柳英里沙、藤村聖子、夏川結衣、佐藤浩市
 
天然コケッコー
© 2007「天然コケッコー」製作委員会
 
[ストーリー]
 中学2年生の右田そよ(夏帆)が通う全校生徒たった6人の田舎の分校に、ある日、東京からイケメン転校生・大沢広海(岡田)がやってくる。都会育ちの雰囲気に圧倒されながらも、初めてできた同級生との、楽しく過ごす毎日に、期待に胸膨らませるそよ。一方、ちょっと意地悪でとっつきづらい大沢。やがて、そよはそんな大沢が気になりだして……。
 
[コメント]
 原作はくらもちふさこの人気コミック。監督には『リンダ リンダ リンダ』などで注目を集める気鋭・山下敦弘、脚本には『ジョゼと虎と魚たち』の渡辺あやという注目の製作陣、そして、夏帆、岡田将生の爽やかな若手キャストと佐藤浩一、夏川結衣の存在感あるベテランキャストが揃った出演者で映画化。
 山、田んぼ、海などロケ地である島根県・浜田市の四季折々の豊かな自然のなかで、子供たちの屈託のない笑顔がなんだかほっとさせてくれる。東京からの転校生の出現、初めてできる同級生、そして、初恋。なんてことのないこの出来事こそがのどかな町に起こる大事件であり、この映画の物語だ。そこには、衝撃的な事件も特別な物語もない。ささいな日常のなかで起こるささやかな、小さな喜びが溢れ、優しく温かな思いを届けてくれる。
 山下監督は、何気ない瞬間の見せ方に独特の面白さと魅力がある。“行って帰ります”この方言がじんわりと印象的に響くのも監督の作風だからこそなのかもしれない。 (北)

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