愛すべき普通の人々

11月23日 「愛すべき普通の人々」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
12:00−13:53
14:30−16:11
16:25−18:15
18:15−18:55
純喫茶磯辺
転々
全然大丈夫
トーク 藤田容介監督、きたろう氏

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純喫茶磯辺
2008年/『純喫茶磯辺』製作委員会製作/ムービーアイ配給/1時間53分
 
監督・脚本・編集=吉田恵輔
撮影=村上拓
出演=宮迫博之、仲里依紗、濱田マリ、近藤春菜、ダンカン、和田聰宏、ミッキー・カーチス、斎藤洋介、麻生久美子
 
純喫茶磯辺
© 2008『純喫茶磯辺』製作委員会
 
[ストーリー]
 高校生のひとり娘・咲子(仲)と公団で暮らしている磯辺裕次郎(宮迫)。急死した父の遺産を手にした彼は仕事を辞め、何の計画性もなく「女にモテたいから」という不純な動機で“純喫茶磯辺”をオープン。咲子も夏休みのあいだ店を手伝うことになったが、客の入りはさっぱり。そんな時、バイト募集を見た素子(麻生)が来店。いつしか素子目当ての常連客が入り浸るようになる。
 
[コメント]
 30代の若手ホープと評される吉田恵輔監督の長編2作目が本作。これが吉田ワールドってやつなのか? すごくダサいけど心地いい。ストーリーは、ぬるくてゆるいけど暖かい。なんとも心地よい空気感が、観賞後もじわ〜っと残ってしまう。なんだか不思議な力をもった作品に仕上がっている。
 この映画の魅力は、適材適所に配置されたクセのある登場人物とセリフの応酬にありそうだ。登場人物がだらだらしゃべるようなセリフ(監督自身の口調をまねさせているのだとか)が、とても自然でリアルに感じてしまうのだ。セリフといえば、喫茶店の看板娘を演じる麻生久美子のドキッとするセリフにも注目だ。清廉なイメージを打ち破られますよ。あのメイドコスプレ姿と共に頭から離れません。これもすべて監督の計算なのでしょうか。さぁ、こんな吉田ワールドにどっぷりと浸かってみましょう! (智)

転々
2007年/スタイルジャム、ジェネオンエンタテインメント、葵プロモーション、ザックコーポレーション製作/スタイルジャム配給/1時間41分
 
監督・脚本=三木聡
原作=藤田宜永
撮影=谷川創平
音楽=坂口修
美術=磯見俊裕
出演=オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子、岩松了、ふせえり、松重豊、岸部一徳、笹野高史、石原良純、広田レオナ
 
転々
© 2007「転々」フィルムパートナーズ
 
[ストーリー]
 竹村文哉(オダギリ)は、84万円の借金を抱えた大学8年生。返済期限の前日、借金取りの福原(三浦)から、吉祥寺から霞ヶ関までを歩くだけで借金をチャラにする上に報酬金を出すと、何とも怪しげな提案を受ける。福原を疑いつつも、文哉は福原の東京散歩に付き合うことに……。
 
[コメント]
 三木監督×オダギリジョーは黄金コンビだ。オダギリ氏の持つゆるい雰囲気と、三木監督の小ネタ満載の独特の演出は相性120%で、後から笑いがふつふつとこみ上げてくるシーンがいくつもちりばめられている。癖になる面白さだ。
 もちろん、この作品はただの愉快なゆるゆるムービーではない。核に「人と人のつながり」を描いているからこそ、笑いながらも心が温まる作品に仕上がっている。家族ごっこを通じて、天涯孤独だった文哉が人に心を開いていく姿を見ていると、この作品の舞台となっている東京という街に住んでいる人々の多くが抱えていそうな「ちょっとした寂しさ」が癒されるようだ。
 それにしても、三木監督の手腕にかかれば、東京がこんなに味のある街に見えるとは。路地裏や古びたビルの屋上、高層ビル群など、いつも見慣れている風景が、実に新鮮に見える。この作品を観終わった後は、文哉たちが辿ったお散歩ロードを実際に歩いてみたくなること間違いない。 (小由)

全然大丈夫
2007年/東北新社、スタイルジャム、ポニーキャニオン、読売テレビ製作/スタイルジャム配給/1時間50分
 
監督・脚本=藤田容介
プロデューサー=新井直子、小越浩造
撮影=池内義浩
音楽=エコモマイ
出演=荒川良々、木村佳乃、岡田義徳、田中直樹、きたろう、伊勢志摩、村杉蝉之介、江口のりこ、根岸季衣、蟹江敬三
 
全然大丈夫
© 2007『全然大丈夫』製作委員会
 
[ストーリー]
 人を怖がらせることが三度のメシより好きな古本屋の長男、照夫(荒川)と、清掃会社に勤めるお人好しのサラリーマン、久信(岡田)は気心の知れた幼なじみ同士。休日にはたわいのないホラーごっこに興じる彼らも、30歳を前にユルい日常にちょっぴり不安を抱き始める。そんな時、二人の前にあかり(木村)という胸ときめく女性がひょっこりと現れて……。
 
[コメント]
 この映画に出てくる人々はとにかくあきれるほどに愛らしい。はしゃぐ荒川良々、いい人すぎる岡田義徳、衝撃的に手先が不器用な木村佳乃、完全に人生ドロップアウトしてしまった蟹江敬三、不意に現れるきたろうや村杉蝉之介などなど……。どの人物も、ずっと見ていたくなる。どちらかと言えば、「ダメ」な人たちだが、その一所懸命さや気を抜いたさまはなんとも可愛らしく、可笑しいのだ。この言葉にしがたい絶妙な面白さはぜひとも映画を通して味わっていただきたい。
 また、俳優陣の新たな魅力の引き出し方も素晴らしい。特に木村佳乃のはまり具合にはびっくり。普段の彼女とはかけ離れた「あり得ないほど不器用な女」を実在感たっぷりに演じ、かつてないチャーミングなキャラクターを誕生させた。いつまで経ってもダンボール箱を組み立てられないシーンは忘れられない。
 映画が終わる頃には、このちょっと風変わりな登場人物たちが身近な存在に感じられることだろう。 (黒)

●ゲストの紹介
藤田 容介 監督(Fujita Yosuke)

 1963年生まれ、兵庫県神戸市出身。大学在学中より映像製作を始め、87年に『虎』でトリノ映画祭8mm部門グランプリ、ぴあフィルムフェスティバル入選。90年『クラゲ釣り』でイメージフォーラム審査員特別賞受賞等を経て、「大人計画」結成初期より、主宰松尾スズキや宮藤官九郎演出作品の劇中映像やオープニング映像を手がける。99年には“グループ魂”主演の映画『グループ魂のでんきまむし』を監督。商業映画初監督作『全然大丈夫』は2008年ドイツ・NIPPON CONNECTIONにてNIPPON CINEMA AWARD、オランダ・カメラジャパン・フェスティバルで観客賞を受賞。
 
きたろう 氏(Kitaro)

 1971年俳優座小劇場解散後、風間杜夫等と表現劇場結成。79年現メンバー大竹まこと、斉木しげるとラジカルで知的なコントユニット“シティボーイズ”を結成。81年日本テレビ「お笑いスター誕生」でデビュー(10週勝ち抜きグランプリ)。
 現在TV・映画・CM・舞台など幅広く活躍中。

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