第1部 特選映画上映(洋画篇)
第2部 特選映画上映(日本映画篇)

11月21日 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
第1部
10:30−10:40
10:40−12:40
12:55−14:44
第2部
15:30−17:49
18:00−18:40
18:55−21:04

オープニング
スラムドッグ$ミリオネア(PG12)
レスラー(R15+)

劔岳 点の記
トーク ゲスト:木村大作監督
60歳のラブレター

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スラムドッグ$ミリオネア
Slumdog Millionaire
2008年/イギリス/ギャガ・コミュニケーションズ配給/2時間
 
監督=ダニー・ボイル
脚本=サイモン・ビューフォイ
撮影=アンソニー・ドット・マントル
作曲=A・R・ラフマーン
編集=クリス・ディケンズ
出演=デーヴ・パデル、フリーダ・ピント、マドゥル・ミッタル
 
スラムドッグ$ミリオネア
© 2008 CELADOR FILMS LTD AND CHANNEL 4 TELEVISION CORPORATION
 
[ストーリー]
 テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、賞金を獲得したジャマール(D・パテル)だったが、インドのスラム街で育った少年が正解を知るはずがないと 不正を疑われ逮捕される。なぜジャマールにこれほどの知識があり、この番組に出演するに至ったのか。警察の尋問によって、真実が明らかになっていく……。
 
[コメント]
 本作品は、アカデミー賞8部門を受賞した作品。監督は『トレインスポッティング』、『28日後…』のダニー・ボイル。魅力的な作品に仕上がっている。
 実際作品を観てみると、本作は単なる娯楽的映画ではない。インドの歴史・経済・文化・宗教対立・児童労働・貧困など、経済成長中のインドそのものを表現した映画であるといえる。このような社会性が盛り込まれた点も魅力に寄与している。
 また、臨場感あふれるインドの光景も観客を引き込む大きな役割を果たしている。冒頭スラム街を子供たちが駆け回るシーンは、まるでスラム街に住んでいるような錯覚を観客に受けさせるし、登場するインドの生活風景などは、インドに旅行に行った気分に浸ることができる。旅行会社が特別協賛についているのも、お墨付きの証だろうか。こんなに安い海外旅行はない。ぜひ一度スクリーンで鑑賞して小旅行していただきたい。(河)

レスラー
The Wrestler
2008年/アメリカ・フランス/日活配給/1時間49分
 
監督=ダーレン・アロノフスキー
撮影=ロジャー・ディーキンス脚本=ロバート・D・シーゲル
撮影=マリス・アルベルチ
音楽=クリント・マンセル
主題歌=ブルース・スプリングスティーン
出演=ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド
 
レスラー
© 2008 OFF THE TOP ROPE, INC. AND WILD BUNCH.
 
[ストーリー]
 ランディ“ザ・ラム”ロビンソン(M・ローク)。かつて全米ナンバーワンの人気プロレスラー。50代になっても現役だが、アルバイトをしながらの生活は厳しい。離婚し、愛する一人娘(E・RR・ウッド)とも疎遠だ。ある日試合の直後に心臓発作で倒れ、現役続行が難しいと告げられる。ランディは顔なじみのストリッパー、キャシディ(M・トメイ)に悩みを打ち明け、新しい生活を模索するが……。
 
[コメント]
 生き抜くことの背後にある覚悟や決意、男のプライドのようなものを捉えた本作は、ミッキー・ロークの熱演がすばらしい。過酷なトレーニングの末、本物のプロレスラーとの本物のプロレスの試合を、本物のプロレスファンの前で演じた。それだけでなく彼自身が歩んできた栄光と挫折と重なるランディのプロレス人生。ランディは彼以外誰も演じることのできない役柄だったのではないか。
 低予算ながら、本物にこだわったクオリティの高さとキャストの熱演により、米国本国での上映が決まる前にヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。一躍注目を浴び、世界中の映画賞で54冠に輝いた。ミッキー・ロークからの手紙に共感したブルース・スプリングスティーンが書き下ろした主題歌も印象的だ。
 ランディにとってのプロレスとは。身体は傷つき、孤独・どん底に追いやられても最後までプロレスラーとして生きる姿。感動のラスト、ランディの生きざまに息を呑む。(渉)

劔岳 点の記
2009年/2009「劔岳 点の記」製作委員会/東映配給/2時間19分
 
監督・撮影=木村大作
原作=新田次郎
脚本=木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
照明=川辺隆之
音楽=池辺晋一郎
出演=浅野忠信、香川照之、宮崎あおい、小澤征悦、松田龍平、仲村トオル、役所広司
 
劔岳 点の記
© 2009「劒岳 点の記」製作委員会
 
[ストーリー]
 明治40年。未だその険しさから登頂者のない劔岳の頂上を目指し、山を登る男たちがいた。当時、近代化を迎えた日本は世界の国々と緊迫状態にあった。そんななか、政府は日本地図唯一の空白である劔岳の測量を命ずる。それは軍の威信をかけた初登頂という大義名分も含まれていた。彼らを襲う自然の脅威。男たちは任務を果たせるのか。
 
[コメント]
 映画の大半を埋め尽くすのは、息を呑むほどの美しい自然描写だ。
 美しさと恐ろしさを併せ持つ劔岳を観る者が体感できるのは、これまで多くの作品に携わってきた名キャメラマンの木村大作監督ならでは。スクリーン全体から観客の体に直接映像が響いてくる。
 そんな木村大作氏が監督を務めるのは本作が初。明治という時代背景を題材に選んだのも、数々の日本映画史を体感してきた監督こそ、だろうか。本作からは確かに木村監督の文脈を感じる。
 軍の命令を受ける柴崎芳太朗役に浅野忠信。山の案内人、宇治長次郎役に香川照之。役者陣が言葉をもって映画を作り上げていく。
 自然と人間は、例え同じ画面に映りながらも決して言葉をもって意思をかわすことは叶わない。しかし、スクリーンからは自然のなかにいる人間にどこか調和を見て取れる。その姿は、結果に結びついているのだろうか。
 本作は、実話を基にした新田次郎の同名小説が原作となっている。(佐)

60歳のラブレター
2009年/2009「60歳のラブレター」フィルムパートナーズ/松竹配給/2時間9分
 
監督=深川栄洋
脚本=古沢良太
撮影=芦澤明子
照明=長田達也
音楽=平井真美子
出演=中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、金澤美穂
 
60歳のラブレター
© 2009「60歳のラブレター」フィルムパートナーズ
 
[ストーリー]
 定年退職を機に、第二の人生を始めようとする孝平(中村)と専業主婦のちひろ(原田)は、離婚を決意して互いに別々の生活を歩み始めた。そんな折、新婚旅行でちひろが30年後の孝平に宛てて書いた手紙が届けられた。また、近所の魚屋の正彦(イッセー)と光江(綾戸)夫婦、医師・静夫(井上)と翻訳家の麗子(戸田)にも生活の変化が訪れていた。
 
[コメント]
 私たちは、一生懸命幸せになりたいと、わき目を振らず毎日走り続けています。しかし、いつしか大切な何かを忘れてしまったようです。主人公の孝平とちひろにとっては、新婚旅行で書いた30年後の孝平への手紙が、それを気づかせてくれました。映画は自分の心に素直になり行動することが大切だと、教えてくれています。60歳という年齢は人生の終わりだと諦めずに、平凡だけど大切な幸せに気づく良い時だと思います。自分の幸せに勇気を持って一歩踏み出したいと思います。青春時代にビートルズを謳歌し、今は魚屋を営む正彦と光江、5年前、愛妻に先立たれ娘と暮らす静夫と翻訳家の麗子、それぞれのパートナーとの関わりが、若い世代の人にも夫婦のあり方を考えるきっかけとなる作品です。
 監督は、第2回TAMA NEW WAVEで『自転車とハイヒール』でフイルム部門のグランプリを受賞した深川栄洋。今やその確かな演出力が若手で注目されています。(岸)

●ゲストの紹介
木村 大作監督(Kimura Daisaku)

 木村大作監督のプロフィールは、「こちら」をご覧ください。

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