第1部 クラシックを舞台にした人間模様
第2部 パペット・アニメーション

11月22日 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
第1部
13:00−15:04
15:20−17:27
第2部
18:00−19:27

19:45−20:58

オーケストラ!
ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い

劇場版ムーミン パペット・アニメーション〜ムーミン谷の夏祭り〜
(日本語吹き替え版)
チェブラーシカ(日本語吹き替え版)

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第1部 クラシックを舞台にした人間模様

オーケストラ!
Le Concert
2009年/フランス/ギャガ配給/2時間4分
 
監督・脚本=ラデュ・ミへイレアニュ
脚本=アラン=ミシェル・ブラン、マシュー・ロビンス
撮影=ローラン・ダイヤン
音楽=アルマン・アマール
出演=アレクセイ・グシュコフ、ドミトリー・ナザロフ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、ミュウ=ミュウ
 
オーケストラ!
© 2009 - Les Productions du Trésor
 
[ストーリー]
 1980年、ロシア・ボリショイ交響楽団から多くのユダヤ人が連行され、それに反対した天才指揮者のアンドレイ(A・グシュコフ)も楽団を解雇されてしまう。アンドレイはいつか復職する日を夢みて、30年にもわたり劇場清掃員として働いていたが、ある日パリのシャトレ座から送られてきた出演依頼を見つけ、偽のオーケストラを結成することを思いつく。
 
[コメント]
 絆という言葉がある。仲間との絆、親と子の絆、集団と集団の絆、国家と国家の絆。結ばれている糸は、細くてちぎれそうなもの、がっちりと解けそうもないものーー。人は絆を信じ、ひとりでないことを確認し、つらい人生を歩いていく。
 絶望に突き落とされた時、人はどんな行動をとれるのか。日々の暮らしに埋没し、かつての栄光をナイトキャップにして、変わりない明日にそなえるのか。立ち上がれるチャンスが万にひとつでも目の前に提示されたら。ここにひとりの、ひとつの仲間たちの復活の物語が始まる。タイトロープを渡るような話だが、そこはヨーロッパ映画。上品なユーモアと辛いエスプリに満ちている。
 自分に照らしてみると、こんなバイタリティがこんな状況で生み出せるのか。そして死んでいった仲間、去っていった仲間にこれほどの想いを馳せることができるのか。
 素敵な大人の映画です。ラストのコンサートは本当に心が震えます。この映画を見たあと、あなたは誰との絆を確信しますか。(竹)

ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い
IO, DON GIOVANNI
2009年/イタリア・スペイン/ロングライド配給/2時間7分
 
監督=カルロス・サウラ
脚本=ラファエロ・ウボルディ、アレッサンドロ・ヴァリーニ
撮影=ヴィットリオ・ストラーロ
出演=ロレンツォ・バルドゥッチ、リノ・グワンチャーレ、エミリア・ヴェルジネッリ、トビアス・モレッティ、エンリオ・ファンタスティキーニ
 
ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い
© 2009: Edelweiss Production (Italia), Intervenciones Novo Film 2006, AIE e Radio Plus (Spagna)
 
[ストーリー]
 1763年ベネチアで暮らすユダヤ人少年エマヌエーレはキリスト教に改宗し、名前もロレンツォと改名する。やがて成長したロレンツォ(L・バルドゥッチ)は神父となるが放蕩生活に明け暮れたため、ベネチアからの15年の追放を宣告される。友人ジャコモ・カサノヴァの気遣いで自由な気風にあふれるウィーンに渡り、モーツァルト(L・グワンチャーレ)と出会う。
 
[コメント]
 言わずとも知れたモーツァルト・オペラ「ドン・ジョバンニ」ですが、今回のスポットはモーツァルトではなく台本を担ったダ・ポンテに当たり、「ドン・ジョバンニ」誕生の過程を描いています。
 と言っても、モーツァルトとの劇的な絡みは特になく、オペラが創られていくなかでの稀代のプレイボーイ、ドン・ジョバンニとダ・ポンテ、それぞれのラヴ・ストーリーの交錯がメインです。ダ・ポンテ「もっと台本作りに悩めよ」と突っ込みを入れたくもなりますが、悩むのはもっぱらモーツァルトのみ。ダ・ポンテの恋もなんか淡々としています。豪華絢爛かと期待するとちょっと肩透かしかも。
 でも劇中劇でのオペラはバロック音楽に精通したメンバーにこだわり、ボルハ・クイサ(ドン・ジョバンニ)、ケテヴァン・ケモクリーゼ(ドンナ・エルヴィーラ)、セルジオ・フォレスティ(レボレッロ)などかなり厳選されています。特にケモクリーゼは若手の大注目株。現在のオペラとは一味違うバロックオペラを楽しめるお勧めの一品です。(竹)

第2部 パペット・アニメーション

劇場版ムーミン パペット・アニメーション〜ムーミン谷の夏祭り〜
MUUMI JA VAARALLINEN JUHANNUS
2008年/フィンランド/アスミック・エース配給/1時間27分
 
監督=マリア・リンドバーグ
原作・プロデューサー=トーベ・ヤンソン
プロデューサー=トム・カペラン
脚本=ミーナ・カーヴォネン、イーヴォ・バリック
声の出演=小泉今日子、野島健児、永田亮子、稲葉実、水田わさび、高島雅羅、白熊寛嗣
 
劇場版ムーミン パペット・アニメーション〜ムーミン谷の夏祭り〜
© Oy Filmkompaniet/Filmoteka Narodowa / Jupiter-Film / Moomin Characters TM
 
[ストーリー]
 ジャスミンの花が咲き誇るある夏の日、ムーミン谷は洪水に巻き込まれ、家が水浸しに。新しく移り住んだ家は、なんと劇場。立派な舞台と素敵な衣装。みんなは劇場でお芝居を演じることに。しかし、この騒動でムーミンたちは離ればなれになってしまった。果たして、劇場にいるパパやママと再会することができるのか……。
 
[コメント]
 ムーミンは北欧フィンランドで生まれた、妖精のようなカバのような風貌をした愛らしいキャラクターである。他にも、ムーミンの物語には旅と自由を愛するスナフキンや、おてんばでちびのミイなど個性豊かなキャラクターがたくさん登場する。そして、ムーミン谷の大危機でも、いつでもマイペースなムーミン一家がいる。
 この作品は原作「ムーミン谷の夏まつり」の世界を忠実に表現したもので、著者トーベ・ヤンソンもお気に入りだった。タイトルになっている「夏まつり(夏至祭)」はフィンランドで2番目に盛大なお祭りである。フィンランド北部の夏は70日以上も太陽の沈まない日がある。この現象を「白夜」と呼び、人々はこの時期に開かれる「夏至祭(夏まつり)」を踊り、歌いながら楽しむ。フィンランドの夏の夜は麗しいのだろう。日本から遠く離れたところにあるフィンランドに思いをはせながら映画を観るのもおもしろいかもしれない。(め)

チェブラーシカ
ЧЕБУРАШКА
1969年〜83年/ロシア/三鷹の森ジブリ美術館配給/1時間13分
 
監督・脚本=ロマン・カチャーノフ
原作・脚本=エドゥアルド・ウスペンスキー『ワニのゲーナ』
美術=レオニード・シュワルツマン
音楽=ウラジーミル・シャインスキー、ミハエル・シフ
声の出演=大谷育江、斎藤志郎、鈴木れい子、加藤優子
 
チェブラーシカ
© Cheburashka Project
 
[ストーリー]
 オレンジの木箱の中からやってきたのは、大きな耳の小さな生きもの。起こしても起こしても疲れてばったり倒れてしまうため「チェブラーシカ(ばったり倒れ屋さん)」と名付けられた。都会の片隅に暮らすチェブラーシカは、一人暮らしの孤独なワニ・ゲーナと出会い、二人の冒険が今始まる。
 ロシアで最も愛される作品<チェブラーシカ>である。
 
[コメント]
 ギュ〜っと抱きしめたくなるような可愛さを秘めたチェブラーシカ。あの大きな瞳で見つめられたら誰もがチェブラーシカを愛してしまうだろう。「ぼくが荷物をもつから、ゲーナはぼくを運んで」というチェブラーシカの台詞がある。頑張り屋で、やさしい思いやりをもったチェブラーシカであることが伝わってくる言葉である。ワニのゲーナは、大好きな歌と得意のアコーディオンを奏でるジェントルマン。2人が一緒なら喜びや哀しみも上手に分けあうことができるのかもしれない。
 『チェブラーシカ』は旧ソ連時代に制作され、今も昔も愛されつづける、大人も子供も楽しめる作品である。登場する人形たちは造りものとは思えないほど繊細で、チェブラーシカが涙ぐみうつむいてしまう瞬間などは、その些細な心の動きに生命の息吹を感じ、つい一緒になって喜んだり、笑ったりしてしまう。観ている人を虜にするパペット・アニメーションと言えよう。(め)

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