第1部 こまどり姉妹がやって来る!?
第2部 「冤罪」 -- -- 繰り返される過ち -- --

11月28日 (ベルブホール)

●Time Table●
第1部
11:00−12:11
12:11−12:30
第2部
13:30−15:29
15:45−17:42
17:50−18:40

こまどり姉妹がやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!
トーク ゲスト:こまどり姉妹

日本の黒い夏 冤罪
BOX 袴田事件 命とは
トーク ゲスト:森達也氏(映画監督・作家)、三井環氏(元・大阪高検公安部長)、夏井辰徳氏(脚本家)

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第1部 こまどり姉妹がやって来る!?

こまどり姉妹がやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!
2009年/アルタミラピクチャーズ製作・配給/1時間11分
 
監督=片岡英子
撮影=長田勇市
編集=村上雅樹、宮島竜治
 
こまどり姉妹がやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!
© 2009 ALTAMIRA PICTURES ,INC.
 
[ストーリー]
 昭和30年代に一躍スターとなり、71歳となった現在も精力的に日本各地を飛びまわっている双子デュオ「こまどり姉妹」の知られざる半生を辿るドキュメンタリー。生きるために歌い続けた幼少時代、絶頂期にステージ上で起きたファンによる凶行、時代の流れによる低迷期など、栄光の影に隠された真実が次々と明かされていく。
 
[コメント]
 昭和の時代、双子の歌手と言えばザ・ピーナッツとこまどり姉妹。当時は誰しもが知っている国民的歌手である。もちろんこの2組の歌謡ジャンルがまったく違うので、ファン層も違っているがその名前を知らない者はいなかった。
 本作ではこまどり姉妹の壮絶な人生を、過去の映像なども交えて新鋭の女性監督である片岡英子が描いている。当時子供だった私には、テレビでの華やかなイメージしかなく、人気絶頂のさなかのファンによるステージ上での凶行や妹・敏子氏の末期がん宣告など、次々に不幸に襲われたことなどをこの作品で初めて知った。
 数々の苦難を歌と涙と笑いで乗り越えてきた彼女たちの半生に迫るこの作品から、希望や勇気をもらえた。(KW)

●ゲストの紹介
こまどり姉妹
 長内 栄子氏(姉)(Osanai Eiko) 長内 敏子氏(妹)(Osanai Toshiko)


 1938年北海道で双子の姉妹として生まれ、終戦まで樺太で育つ。51年、一家で上京、浅草中心に流しの生活が始まる。その後スカウトを受け、59年にコロムビアレコードから「浅草姉妹」でデビュー。[こまどり姉妹]という名前は一般公募で決められたもの。2008年には第50回日本レコード大賞で功労賞を受賞。71歳になった今でもステージ上でファンを魅了し続ける。今年、レコードデビュー50周年を迎えた。

第2部 「冤罪」 -- 繰り返される過ち --

日本の黒い夏 冤罪
2000年/日活製作・配給/1時間59分
 
監督・脚本=熊井啓
撮影=奥原一男
照明=矢部一男
美術=木村威夫
音楽=松村禎三
出演=中井貴一、細川直美、遠野凪子、北村有起哉、石橋蓮司、北村和夫、寺尾聰
 
日本の黒い夏 冤罪
© 日活 2001
 
[ストーリー]
 1995年初夏、松本。高校の放送部員(遠野)たちは1年前に起きた松本サリン事件の冤罪報道を検証するドキュメンタリービデオを製作するため地元のテレビ局を訪れ、報道部長の笹野(中井)らにインタビューをする。彼らは事件当時の様子を回想するのだったーー。
 
[コメント]
 松本サリン事件を題材にしたフィクションであるこの作品では、無実の市民が犯罪者であるかのようにいとも簡単に仕立て上げられていく過程が鮮やかに描かれています。なぜ冤罪事件が起こるのか? 警察やメディアのみならず、私たち市民もその過程にいつのまにか加担していることを改めて痛感させられました。それは言い換えると冤罪事件を起こさせないためのヒントや私たちが身につけるべき何かを、この作品は示唆しているのではないかとも思いました。
 作品中で寺尾聰さん演ずる神戸(かんべ)は河野義行さんがモデル。ご自身が被害を被ったこの事件に対して、またオウム真理教の信者や元信者たちに対しても丁寧にかつ毅然と応じられる姿には多くの学ぶべきところがあり、森達也監督のドキュメンタリー映画『A2』でも河野さんの様子を窺い知ることができます。(越)

BOX 袴田事件 命とは
2010年/BOX製作プロジェクト製作/スローラーナー配給/1時間57分
 
監督・脚本=高橋伴明
脚本=夏井辰徳
撮影=林淳一郎
照明=豊見山明長
音楽=林祐介
出演=萩原聖人、新井浩文、葉月里緒奈、村野武範、保阪尚希、石橋凌
 
BOX 袴田事件 命とは
© BOX製作プロジェクト 2010
 
[ストーリー]
 昭和41年6月30未明。清水市で味噌会社の専務宅が放火され、焼け跡から一家4人が焼死体で発見された。警察は味噌工場の従業員で元ボクサーの袴田巌(新井)を容疑者として逮捕し、連日の過酷な取調べにより自白を得る。主任判事としてこの事件を担当することになった熊本典道(萩原)は、警察の捜査に疑問を抱き始める。
 
[コメント]
 2007年3月、熊本典道氏の40年越しの告白は大きな反響を呼んだ。無実の心証を持ちながら死刑判決文を書いたことを公に発言したのだ。一方、袴田氏は30歳で逮捕されてから約45年間、再審請求を続けながら、未だ東京拘置所に収監されている。長きにわたる拘置所生活によって心身を拘禁症状に蝕まれ、死の恐怖におびえ続ける日々。それはあまりに長く、あまりに苦しい闘いである。なぜ彼はそんな闘いを強いられねばならなかったのか。そして熊本氏は、彼にそんな闘いを強いた罪の意識に苛まれ続けている。
 人を裁くということ、その重みと限界が深く深く胸に応えた。冤罪によって奪われたものは二度と返ってこない。裁判員制度の導入により、私たち国民が人を裁く立場になりうる現在、この映画が突き付ける問題に私たちは真っすぐ向き合わなければならない。(新)

●ゲストの紹介
森 達也氏(Mori Tatsuya)

 1956年広島県生まれ。立教大学法学部卒業。映画監督・作家。98年ドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。テレビ作品「「放送禁止歌」〜歌っているのは誰? 規制しているのは誰?〜」「ドキュメンタリーは嘘をつく」、著書「クォン・デ もう一人のラストエンペラー」(角川文庫)、「いのちの食べかた」(理論社)、「死刑」(朝日出版社)、「A3」(集英社インターナショナルより11月発売予定)など多数。
 森達也公式ホームページ:http://moriweb.web.fc2.com/mori_t/index.html
 
三井 環氏(Mitsui Tamaki)

 1944年愛媛県生まれ。中央大学法学部卒業。72年検事に任官。99ー2002年、大阪高検公安部長。02年4月に現職かつ実名で、検察の裏金告発のため出演しようとしたテレビ番組収録の3時間前、大阪地検特捜部により逮捕された。裁判では無罪を主張し最高裁まで争ったが1年8ヶ月の実刑が確定。08年10月に収監、10年1月18日に満期出所した。著書に「告発! 検察「裏ガネ作り」」(光文社)、「検察との闘い」(創出版)、「「権力」に操られる検察」(双葉新書)、「検察の大罪」(講談社)などがある。
 
夏井 辰徳氏(Natsui Tatsunori)

 1964年生まれ。岩手県出身。映画シナリオライター。主な作品に93年『獅子王たちの最后』(監督:高橋伴明、監修:野村秋介)、2004年サンダンス国際映画祭『九戸郡九戸大字九戸字九戸』日本代表、『BOX 袴田事件 命とは』など。他に音楽、書画などの活動をし、富士山の麓で半自給自足をしながらさまざまなボランティア活動を行っている。ガダルカナル島における残砲弾処理は自費で約10年行っている。

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