ワールド・シネマ・ドキュメント

11月22日 (ヴィータホール)

●Time Table●
13:00−13:43
13:43−14:03
14:20−15:44
16:00−17:15
17:30−18:43
HAYABUSA-BACK TO THE EARTH-
「はやぶさ」の大いなる挑戦
チベットの風〜Wind from Tibet
スタンディング・アーミー
愛のファミリー(第50回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作品)

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ワールド・シネマ・ドキュメント

HAYABUSA-BACK TO THE EARTH-
2009年/(有)ライブ/43分
 
監督・脚本・絵コンテ=上坂浩光
脚本=高畠規子
音楽プロデューサー=安念渡馬
チーフモデルデザイナー=伊東整
ナレーター=篠田三郎
 
HAYABUSA-BACK TO THE EARTH-
© 「はやぶさ」大型映像制作委員会
 
[ストーリー]
 2003年5月。日本は小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げた。その使命は、「小惑星イトカワ」に着陸し石を採取して地球に持ち帰ること。不完全な着陸・通信不能・燃料漏れなど数々の困難に立ち向かい、2010年6月、地球に帰還する。「はやぶさ」の7年に及ぶ波乱と感動の探検の旅。
 
[コメント]
 「はやぶさ」のカプセルが6月に無事オーストラリアで回収され、日本中が興奮に包まれました。カプセルには「小惑星イトカワ」の石が入っている可能性があり、太陽系誕生の秘密を解くカギがあるというのです。それは地球には存在しない、太陽系が誕生した46億年前の記録を秘めています。
 しかし、もっと人々を引きつけたのは、世界に誇れる技術と制御を実証しながらの進行と、その後の通信不能・燃料漏れなど数々の障害にあっても、工夫とアイデアで乗り切り、地球に帰還、大気圏に無事カプセルを投入したことです。私は相模原市立博物館の公開で実物を見て、その小さいことや、何千度の摩擦熱に耐えてもきれいなカプセルの表面に感動しました。
 幸い、「はやぶさ」のプロジェクトを担当した宇宙科学研究所は相模原市にあり、常時一般公開をしています。ぜひ打ち上げロケット原寸大模型や、「はやぶさ」原寸大模型をみてこれからの日本の宇宙開発を考えてはいかがでしょうか。(岸)

「はやぶさ」の大いなる挑戦
2006年/宇宙航空研究開発機構/20分
 
「はやぶさ」の大いなる挑戦
© 「はやぶさ」大型映像制作委員会
 
[ストーリー]
 2005年11月に、「はやぶさ」が小惑星ITOKAWA(イトカワ)に着陸した時の管制室の様子。「はやぶさ」の概要。川口プロジェクトマネージャーによる着陸の説明ほか。

チベットの風〜Wind from Tibet
2010年/RAMA Production制作/1時間24分
 
監督・撮影・編集=N.ラーマ
構成=キム・スンヨン、N.ラーマ
音楽=佐野朋子
出演=N.ラーマ、一般市民
 
チベットの風〜Wind from Tibet
 
[ストーリー]
 2008年にチベットのラサで起こった民衆蜂起。この報道を目にしてチベット問題に関心を抱いた監督・N.ラーマは、チベットで何が起こっているのか、その真実を知るべく、チベット、そしてチベット亡命政府の本拠地として多くの亡命チベット人の集まるインドのダラムサラへと向かった。
 
[コメント]
 北京オリンピック時の抗議運動も記憶に新しいチベット問題。本作は「真実を知りたい」という監督自らの想いを出発点として、監督自らカメラ片手にチベット、そしてインドへと巡る過程を撮影したドキュメンタリーである。厳しい境遇にいるチベット人たちの生の声に心を揺さぶられ、その一方でチベット寺院や僧の着ている袈裟、砂曼荼羅など、色とりどりのチベット文化の美しさに魅せられと、チベットそのものの姿を映した映像の連続は、ニュースでは得ることの出来ない貴重なものを観るものに伝えてくる。
 そんな映画のなかで注目すべきは、チベットをみつめる監督の眼差しだろう。実は監督の一人称で作られている本作。チベット人の居る風景、チベット人の想いをカメラ越しに見つめては、それらが監督自身の記憶とリンクし、それぞれの「かけがえのなさ」へと繋がっていくイメージは非常に印象的だ。
 監督の個人的な問題意識から始まったこの旅の記録がカメラを通してグローバルに我々へ届くこのような在り方は21世紀的なドキュメンタリーの可能性そのものだと言えよう。(宮)

スタンディング・アーミー
Standing Army
2010年/イタリア/アステア配給/1時間15分
 
監督=エンリコ・パレンティ、トーマス・ファツィ
撮影=エンリコ・パレンティ
編集=デジデーリア・ライネル
音楽=ステファノ・ピロ
出演=ゴア・ヴィダル、ノーム・チョムスキー、チャルマーズ・ジョンソン
 
スタンディング・アーミー
© Effendemfilm and Takae Films
 
[ストーリー]
 アメリカは現在約40カ国に700以上の軍事基地を置き、地球上に米軍基地のネットワークを張り巡らせている。なぜドイツやイタリア、日本、韓国といった国々はいまだに米軍基地を受け入れ続けるのか? この作品は有識者と、基地のあるイタリア、沖縄、インド洋の島の住民へのインタビューを通し、その存在への疑問に答えていく。
 
[コメント]
 今年3月にアメリカを訪れた際、乗り継ぎで降りたダラスで迷彩服を着た若者を何人も見かけた。ハブ空港であるダラスから故郷の街に休暇で戻る兵士たちだった。カーキ色の迷彩服が旅行中の老夫婦やビジネスマンのなかに紛れている光景は、今現在戦争をしている国の生々しさがあった。
 「なぜアメリカは戦争を繰り返すのだろう?」ーー帰国後、同じような疑問を持った2人のイタリア人がいることを新聞で知った。彼らがイタリア北部の街で起こった米軍基地の反対運動を元に作ったのが、この映画だった。
 沖縄でも取材をしているこの作品は、日本とアメリカの間だけで起きているように見えた問題を地球規模の視点で捉えている。これは戦争を繰り返すアメリカと、基地を受け入れている国の人々が見るべき映画である。誰もが望む「安心できる暮らし」は、戦争をしないと手に入らないのか? その答えを見つけるのは、政府ではなく、私たち一人一人にかかっているのだから。(三)

愛のファミリー
DEBOLT FAMILY/WHO ARE THE DEBOLTS? AND WHERE DID THEY GET NINETEEN KIDS?
1977年/アメリカ、日本/サンリオ・フィルム製作・配給/1時間13分
 
監督=ジョン・コーティ
製作=辻信太郎(サンリオ・フィルム)、ウォーレン・ロックハート
撮影=ジョン・エルス
音楽=エド・ボーガス
 
愛のファミリー
© SANRIO CO.,LTD.
 
[ストーリー]
 アメリカ、カリフォルニア州ピードモントに住むボブ・デボルトと妻のドロシーには19人の子供がいる。夫妻は再婚で5人はドロシーの実子。1人はボブの連れ子。それ以外はみな養子で肌も髪も瞳の色も話す言葉もばらばらである。これらの子供たちは、さまざまな国からやってきた。アメリカ人と韓国人の混血児、ベトナムで爆撃により下半身不随になった少年、視力の弱い子、小児マヒの子、といった病気や障がいをかかえた子供たちからなる一家の日々を追ったドキュメンタリーである。1977年アカデミー長編記録映画賞受賞作品。
 
[コメント]
 家族と呼ぶには、私どもの常識からははみ出す一家である。このデボルト家は決して貧しくはない。しかし、これだけの人数の子供たちを育てるのは並大抵ではない。年上の子供が年下の子供を世話し、集団生活の規律を教え、最年少の子供までの全員が家事のすべてを分担し、責任を持ってお互いが持ちつ持たれつの必要な存在となっている。風俗・習慣の違いを尊重しながら理解しあうということは大変なことである。
 衝撃的な内容、そしてインパクトを持つこのドキュメンタリーを観て、障がいを持つということはどういうことなのか。そして家族とは何か。生きるとはどういうことか・・・さまざまな思いが押し寄せてくる。
 3年間に及ぶ撮影が行われたと聞くが、この作品は1977年アカデミー長編記録映画賞を受賞した。多くの人に観てもらいたい。(水)

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