11月24日 「おすぎの特選映画シアター」 (やまばとホール)
●Time Table● | |
11:00−11:10 11:10−13:37 14:00−15:20 15:40−17:25 17:45−19:33 |
オープニング スリーパーズ おすぎのシネマレクチュア シャイン バウンド |
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11:00−11:10 11:10−13:37 14:00−15:20 15:40−17:25 17:45−19:33 |
オープニング スリーパーズ おすぎのシネマレクチュア シャイン バウンド |
スリーパーズ SLEEPERS |
1996年/アメリカ/プロパガンダ・フィルムズ=ボルチモア・ピクチャーズ/日本ヘラルド配給/2時間27分 |
監督・脚本=バリー・レビンソン 撮影=ミハエル・バルハウス 音楽=ジョン・ウイリアムス 美術=クリスティ・ジア 編集=スチュ・リンダー 出演=ブラッド・ピット、ジェイソン・パトリック、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン |
[ストーリー] |
1960年代、ニューヨークはウエストサイドのヘルズキッチン。犯罪が絶えないこの街に住むシェイクス、マイケル(B・レンフロ)、ジョンとトミーの4人の少年は、強い絆で結ばれて年中一緒にヤバそうな小遣い稼ぎや無邪気な遊びに明け暮れている。街の顔役キングベニー、遊び友達でもある教区のボビー神父(R・デ・ニーロ)、溜り場の菓子屋のマンチョら大人たちに見守られ、結構幸福な子供時代を送っていた。ある夏の日、うだるような暑さを忘れようと彼らが思い付いたのは、ホットドッグ売りの屋台を、ちょっとだけ(空腹を満たす間)拝借する計画。いつものたわいない悪戯のつもりだったが……。 |
[コメント] |
スリーパーとは、俗語でいろいろ意味するようだが、ここでは青少年の更生施設に収容された者を指している。この作品は、1995年に出版されるや、たちまちベストセラーとなった同名の小説をほぼ忠実に映像化したもの。著者ロレンゾ・カルカテラは、これを自らの体験に基づいた実話だと述べているが、内容の真偽のほどについて、後日随分論議されたという。施設での虐待は、生きて出て来れるのが不思議なくらいだし、成人した彼らが企てた復讐の方法も、現実味が薄くて、いかにも関係各所から異議が上がりそうだ。しかし、逆にその荒唐無稽さが後味の悪さを消し去ってくれる。彼らは報復について大儀名分を掲げているが、とても正当化できたものではない。でも、どこか少年探偵団風で、つい応援したくなる。子供たちが無垢の天使とは描かれておらず、けれどなんともうぶなところが共感を呼ぶのかもしれない。豪華キャストも売り。D・ホフマンの役は、原作ではアイルランド系の名前だったのに、映画ではドイツ風に改められている。彼に役を回すため? K・ベーコン、少し前に虐待受ける囚人役をやってたけど、今回はその仕返しかも。ところで、4人の主人公は子役から、後半B・ピットら大人の俳優に入れ替わるが、誰と誰が同一人物なのか、私にはすぐ見分けられなかった。あなたはどう? (千) |
シャイン Shine |
1995年/オーストラリア/モニュメント・フィルム/KUZUIエンタープライズ配給/1時間45分 |
監督=スコット・ヒックス 脚本=ジャン・サルディ 撮影=ジェフリー・シンプソン 音楽=デビッド・ヘルフゴッド 編集=ピップ・カーメル 出演=ジェフリー・ラッシュ、アーミン・ミュラ=スタール、リン・レッドグレイブ |
[ストーリー] |
オーストラリアの実在のピアニスト、デヴィット・ヘルフゴットの半生を描く感動の物語。デヴィット(J・ラッシュ)は、父親のピーター(A・M=スタール)の厳格な教育を受け、幼少の頃から天才的なピアノの才能を見せてゆく。少年から青年へと移り変わり、留学をめぐっての父親との葛藤、コンクールでの栄光そして挫折、父親の過剰な愛……。彼の繊細な心は次第に蝕まれていく。そして、精神を病んだ彼の前に訪れる新しい出会い。新たなる彼の誕生の序曲が今、始まる。 |
[コメント] |
この物語が描いているのは、ピアニストのデヴィットの半生であるが、それは同時に彼の父親ピーターの半生でもある。ピーターはまさしく厳しい父であり、父親の権力を自分の盾にするかのような人間である。そして彼は、強い父親という立場から家族を愛し続けたのである。とりわけデヴィットへの愛が深く、それがかえってデヴィットを追い込み、彼の精神を壊してしまったのは、当然のことは言え、悲しい結果である。子供の頃、目指した音楽の道を父親によって奪われたピーターは、デヴィットにピアノを弾かせることによって自分が理想とした父親像に近づきたい、デヴィットを自分の分身としたいと思ったのかもしれない。そして父親の操り人形でしかなかったデヴィットは、自分というものを見いだせず精神を侵されてしまう。精神病院を出たデヴィットを訪れた父親。彼はデヴィットに幼い頃にもらったメダルを首にかける。そこでの会話はたわいのないものではあるが、彼の心に深く刻ませるものではなかっただろうか。ピーターの愛に報われたいと思い、ピアノを弾くデヴィット。彼らの愛の形は少し歪んでいるかもしれないが、ぎゅっと結ばれていることはたしかである。 (栄) |
バウンド BOUND |
1996年/アメリカ/ディノ・デ・ラウレンティス・カンパニー/K2エンタテインメント配給/2時間27分 |
監督・脚本=アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー 撮影=ビル・ポープ 音楽=ドン・デイビス 美術=イブ・コウリー 編集=ザック・スタンバーグ 出演=ジェニファー・ティリー、ジーナ・ガーション、ジョー・パントリアーノ |
[ストーリー] |
5年前に相棒の裏切りにあって逮捕され、刑期を終えて出所したばかりのコーキー(G・ガーション)は、鈍った盗みの勘を取り戻すまでの間、マフィアの所有しているマンションの内装と配管工事を任されていた。工事をしているとなりの部屋に組織のシーザー(J・パントリアーノ)と情婦のヴァイオレット(J・ティリー)が戻ってきた。薄い壁越しに二人の行為が手に取るようにわかる。しばらくしてコーキーの部屋にコーヒーを持ってきたヴァイオレット。二人の間にある種の感情が芽生える。この後マフィアの金、200万ドルをめぐる殺人事件に巻き込まれ、予想のつかない展開が続いていく。果たして最後に笑うのは誰なのか? |
[コメント] |
この作品が映画監督第1作目となるウォシャウスキー兄弟は、シルヴェスタ・スタローン主演の『暗殺者』の脚本家としてデビューを飾りました。監督としてもこのような才能溢れる作品を発表し、昨年のサンダンス国際映画祭などをはじめ、数々の国際映画祭で絶賛を浴び、今後大変期待出来る90年代後半のニュージェネレーションの新たな旗手の誕生です。またこの作品では、その内容を盛り上げる効果的な撮影も忘れることが出来ません。実験映画の巨匠トニー・ヒルの作品を御覧になった方なら気が付かれると思いますが、手前の部屋から壁の上を越えて次の部屋までワンカットで撮影するところ(単なるクレーン撮影ではありません)や人が銃で撃たれて後ろ向きに倒れるシーン(これもハイスピードカメラによるスローモション映像ではありません)など、興味のある方は良く観て考えてください。この作品では2人の女優が出演していますが、J・ティリーは前作『ブロードウェイと銃弾』でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、一方のG・ガーションは『ショーガール』でダンサーを演じて脚光浴び、今後の活躍が大変期待されています。 (高) |