11月27日 「英国万歳 VOL.1」 (やまばとホール)
●Time Table● | |
13:10−13:20 13:20−17:43 18:10−20:01 |
オープニング ハムレット 英国万歳! |
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13:10−13:20 13:20−17:43 18:10−20:01 |
オープニング ハムレット 英国万歳! |
ハムレット WILLIAM SHAKESPEARE'S HAMLET |
1996年/イギリス/キャッスルロック・エンタテインメント/東宝東和配給/4時間3分 |
監督・脚色=ケネス・ブラナー 原作=ウィリアム・シェイクスピア 撮影=アレックス・トムソン 音楽=パトリック・ドイル 美術=ティム・ハーベイ 衣装=アレックス・バーン 編集=ニール・ファレル 出演=ケネス・ブラナー、ケイト・ウィンスレット、ジュリー・クリスティ |
[ストーリー] |
(言わずと知れたあのシェイクスピアのハムレット、筋書きなど差し出がましいでしょうが……)時代は19世紀、場所はデンマーク王国。父王の死で大学から戻った王子ハムレット(K・ブラナー)は、母ガートルード(J・クリスティ)が亡き夫の弟とたちまち再婚してしまったことでひどくふさいでいる。おりしも城門に立つ歩哨と友人ホレイショーが先王に似た亡霊を目撃、知らされたハムレットは真夜中張り込む。亡霊はやはり父で、今は王座を継いだその弟に謀殺されたと告げ、復讐を約束させる。 かくしてハムレットの意趣返しが始まるが、後世優柔不断の典型とされる彼のこと、計画を立てるでもなく行き当たりばったり、恋人オフィーリア(K・ウィンスレット)や宮廷内の人々も巻き込まれ、悲惨な結末に導かれていく。 |
[コメント] |
冒頭、城門から覗く王城エルシノアは白銀の雪景色に浮かぶ。この堂々たるたたずまいは、オックスフォード郊外のブレナム・パレスのもの。英国庭園の案内書によれば、あの“ケイパビリティ”ブラウンの設計したランドスケープがあるとのことだが、映画は一面の銀世界、草地なのか湖なのか判然としない。一方、大広間のセットは、白と黒のモザイクの床、無数の鏡を巡らした白と金の壁面、宮廷人の礼装も白そして深い赤で、眩い。これがハムレットの言う“牢獄”の色なのだろう。そのなかで彼は一人黒衣、時折逃げ込むのはほの暗い図書室。4時間の大作だが、この豪華な画面と、一場だけの脇役にも大物俳優を配しているので眠ってしまうのは損。それに、なんてったってシェイクスピアだもの。 (千) |
英国万歳! THE MADNESS OF KING GEORGE |
1994年/イギリス、アメリカ/クローズ・コール・フィルム/松竹富士配給/1時間51分 |
監督=ニコラス・ハイトナー 原作・脚色=アラン・ベネット 撮影=アンドリュー・ダン 音楽=ジョージ・フェントン 美術=ケン・アダム 編集=タリック・アンウォー 出演=ナイジェル・ホーソーン、ヘレン・ミレン、ルパート・エヴェレット |
[ストーリー] |
1788年、英国王室。国王ジョージ3世(N・ホーソーン)が突如発狂するという事件に見舞われた。農夫ジョージと国民からも慕われ、愛人も持たず、先王たちと違い国政にも自ら携わるという非の打ち所がない国王なだけに事態は深刻だ。慌てる側近たちを尻目に国王は狂態を繰り返し手がつけられない。そんな医師さえもサジを投げるなか、精神科医のウィリスが招聘される。この機会に政権奪取を目論む皇太子(R・エヴェレット)を筆頭に権謀術数飛び交う情勢のなかで、国王は無事正気を取り戻すことができるのだろうか? |
[コメント] |
この映画の最初と最後に出てくる民衆を前にして、家族で愛敬を振りまくシーン。皇太子は笑顔で手を振れ、幸せに見せろ、それが仕事だからといったことを国王や王妃から諭せられる。英国王室は常に国民の模範として示さなければならない、と。しかし体面を重んじるばかりに体裁だけを取り繕っても、内実が伴わなければ人間必ずどこかにひずみが生ずるもの。皮肉にもそのことを身をもって証明したのが国王自身だ。そのうえ、狂気に陥ったといっても正常な部分も残しているから始末におえない。妻に「あなたは狂っているの?」と尋ねられると「分からない。狂ったなら苦しまぬはず。視野も曇らんはず」と煩悶し、さらには「私は喋る。次から次へと。浮かんでくる言葉をどんどん頭から出すために。何かが起き、何かが壊れたのだ」と、かなり的確に自分のおかれた状況を把握さえしているのだ。思うに国王は無意識のうちに抱えていたおう悩が目に見えないプレッシャーとなり、情緒不安定の末、自我を制御できなくなったのだろう。 この映画は決して他人事でみることは出来ない。何故なら日本という国も決して住み心地がいいとは言えないから。誰もがなんとなくも窮屈な思いを自覚しているし、極論を言えば、昨今のオウム事件や、キレる若者、毒物混入事件等が代表するように、我々はいつ狂ってもおかしくない社会に存在しているのだ。 (齋) |