11月27日 「日本映画幻の超大作」 (パルテノン多摩小ホール)
●Time Table● | |
13:30−15:57 16:20−19:04 19:30−20:00 20:00−21:30 |
太陽を盗んだ男 幻の湖 Supecial Talk 水野晴郎氏 シベリア超特急 |
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13:30−15:57 16:20−19:04 19:30−20:00 20:00−21:30 |
太陽を盗んだ男 幻の湖 Supecial Talk 水野晴郎氏 シベリア超特急 |
太陽を盗んだ男 |
1979年/東宝配給/2時間27分 |
監督・脚本=長谷川和彦 脚本=レナード・シュナイダー 撮影=鈴木達夫 音楽=井上尭之 美術=横尾嘉良 編集=鈴木晄 出演=沢田研二、菅原文太、池上季実子、伊藤雄之助、北村和夫 |
[ストーリー] |
中学校の孤独な物理教師、城戸誠(沢田)は東海村の原子力発電所からプルトニウムを強奪、アパートの自室で原爆製造に成功する。その原爆をネタに「TVのプロ野球中継を終わりまで見せろ」と政府を脅迫し成功すると、次はラジオ番組を通じローリング・ストーンズの日本公演を要求するが不可能で、ついには5億円の要求にエスカレート。国家を敵にまわしての不毛な戦いを始める……。バスジャック、原発襲撃、カー・チェイス、警察の手に渡った原爆の奪回と息をつかせぬ見せ場が連続し、それまでの日本映画にはない毒のある、壮大な娯楽アクション映画。 |
[コメント] |
『太陽を盗んた男』を日本映画ベスト1に挙げる人はけっこう多いが、私もその一人だ。大学生1年の頃、私の周りの愉快な先輩たちは皆、この映画の話をやたらと口にしていた。あまりの評判に興味本位で観に行った私は、本当にカルチャーショックを受けたものだった。とにかく最高に面白い! 最高にカッコイイ! よくわからないスケールの大きさ、ジュリーの格好良さ、菅原文太のしぶとさ、予想を裏切る展開、ブラックな「笑い」のセンス、カルトな匂い……。「原爆は誰にでも作れる」「俺は9番。」 こんな危険な映画をよく、これだけのスケールで作れたものだ、と愕然とした。同時にこれだけのものを生み出せた時代と才能への嫉妬を感じた。 映画祭の実行委員になってから、いつかこの映画をやりたいと思っていた。時代、世代を越えて——「日本映画」に失望している人々、偏見からあきらめている人たちに絶対この映画を観て欲しいと思ったから。本作は、76年『青春の殺人者』で監督デビューして、その年の映画賞を総ナメにした長谷川和彦監督の79年の作品である。残念ながら、長谷川監督の『太陽を盗んだ男』に続く作品は発表されていない。 (真) |
幻の湖 |
1982年/東宝配給/2時間44分 |
監督・原作・脚本=橋本忍 撮影=中尾駿一郎、斎藤孝雄、岸本正広 音楽=芥川也寸志 美術=村木与四郎、竹中和雄 編集=小川信夫 出演=南條玲子、隆大介、星野知子、北大路欣也、関根恵子 |
[ストーリー] |
愛犬シロを殺された道子(南條)は、憎い犯人を追い、ただひたすら走り続ける……。 何が彼女を復讐に駆り立てるのか? 怒りか、憎しみか、400年前の怨念か。その走り続ける一本道の果てに待っていた巨大な幻とは? 150万年間、沈黙を守り続ける琵琶湖の畔りに、永遠の見果てぬ幻を追い、走り続ける人間を描く、ネオ・サスペンス! 東宝50周年記念作品。 |
[コメント] |
すんごい大作である。何が大作かって、娯楽映画の要素、すべてをてんこ盛りしたあげく、なんも盛り付けを考えず、ドーンと出されたその粗雑さがあまりにすごいのだ。観る側はどう食べて、どう消化していいかわからず、ただ与えられるシーンをひたすら受けて立っていくしかないのだが、それを続けていくとあたかもドーパミンを与えられたかの如く、何とも不思議な見たことのない覚醒の世界に入りこんでいくのだ。 脚本家として名高い橋本忍(本作の監督)はそんな世界を意図したわけではないのだろうが、出てくるシーン一つ一つ、いや一つ一つのセリフが意表をつき、安易なテレビドラマまっ青の意外な展開の連続なのである。 だってランニング好きなソープ嬢(当時はトルコ嬢)が愛犬を殺されて、復讐をめざす話が、そこにアメリカの諜報機関とか、戦国時代の女の悲話や、しまいにはNASAまで出てくるんだから、どう整理しろっての。 本作品を好きになった観客の皆様。日本映画の奥深く、多面的な世界へ一歩入り、そのミョーな恍惚的至福感のとりこになっていくことでしょう。 (セ) |
シベリア超特急 A MIKE MIZUO FILM SIBERIAN EXPRESS |
1996年/ウィズダム配給/1時間30分 |
監督・原作・脚本=水野晴郎 撮影=安藤庄平 美術=徳田博 編集=清水達己 出演=水野晴郎、かたせ梨乃、アガタ・モレシャン、菊池孝典、西田和晃 |
[ストーリー] |
映画評論家の水野晴郎が長年の夢だった監督に初挑戦したサスペンス作品。'38年、山下陸軍大将(水野晴郎)、佐伯大尉、青山書記官の3人の日本人のほか、計10人が乗ったシベリア超特急が出発する。そのうちのひとり、ソ連軍の大佐が毒殺され、続いてオランダ女性、中国女性が姿を消す。犯人は誰か? その目的は? 佐伯と青山が調べ始めた時、山下に銃口を向ける男が現れる。・・・・・・。制服マニアの水野氏が、制服を着て出演。素人演技炸裂。ビデオ版ではみられない、大ドンデンがえしのラストがみもの。 |