ドキュ!

11月23日 「ドキュ!」 (ベルブホール)

●Time Table●
13:00−14:55
15:15−16:10

16:30−18:50
19:10−20:55
すきなんやこの町が1995・神戸・ある避難所の記録
新宿路上TV
そこに街があった -新宿ホームレス・強制撤去-
由美香(R15)
流れ者図鑑(R15)

すきなんやこの町が1995・神戸・ある避難所の記録
1996年/ドキュメント・アイズ/VTR/1時間55分
 
監督=山田和也
プロデューサー=三好亜矢子
ナレーター=小室等
 
[解説]
 1995年1月17日火曜日午前5時46分、兵庫県南部地震発生。一瞬にして神戸の街は崩壊し、地獄の光景へと化した。阪神大震災。
 この物語は、神戸市灘区にある六甲小学校の避難所が舞台。体育館や教室に毛布を敷き、市から支給されたダンボールで敷居をつくり、プライバシーなど通用しないなかで人々は生活している。毎日毎日、市から送られてくる食料や雑貨の物資。朝はパンと牛乳、昼は炊き出し、そして夜は弁当。弁当と一緒によく缶詰やカップメンも配られた。いくら非常食とは言え、かなり片寄った食生活だ。各避難所にはガスレンジ等が少なく、調理器具なども不足しているため、自炊したくてもうまくいかない。誰もが一日も早く避難所を出て、自分たちの生活を取り戻したいと願う。しかし、避難者のほぼ全世帯が収容できる数の仮設住宅は空家ばかり。仮設住宅の多くが神戸市北区、西区、明石市内など都心部から遠距離の場所につくられたからだ。ほとんどの人が地元及び市内近隣の仮設住宅を希望している。町の公園や野球場などには仮設住宅がビッシリと建てられている。早いうちにすべての避難所を撤去し、学校を完全復帰させなければならないと主張する市の職員。それはわかってはいるが、自分らの生活を勝手に行政に振り回されたくないと必死な避難者たち。どうしようもない状況が私自身の胸をも痛くする。 「ボランティア元年」とも言われたこの年、多くの人たちが全国から集まってきた。私自身もその1人にすぎない。ある時、仲良くなった市の職員が言った。「神戸市はほんまにもうお金がないねん。」 言葉が重く感じた。『株式会社神戸市』とまで言われてたのがうそのようだ。常に市民から叩かれる行政。行政のやってきたことがどれほど評価されているのだろうか。
 8月20日、避難所が完全撤去され「待機所」へと変わった。食料の配給も終わった。7600人あまりが待機所で暮らすことになった。
 「震災はまだ終わらない」
 よく聞く言葉だが本当にそうだと思う。これからがもっと大変と言えよう。だからこの映画もまだ終わらない。『すきなんやこの町が 第2作』へと物語は続く。

新宿路上TV
1995年/DROPOUT TV/VTR/20分
 
プロデューサー・キャスター=遠藤大輔
取材・構成=岡田知子、八木将則

そこに街があった -新宿ホームレス・強制撤去-
1996年/DROPOUT TV/VTR/30分
 
プロデューサー・撮影・編集=遠藤大輔
 
[解説]
 「新宿の先輩たちこんばんは」から始まる『新宿路上TV』。新宿駅の地下通路にダンボールを家にして住む路上生活者(ホームレス)を取り扱った自主製作ニュースだ。最近の新宿では、ホームレスの姿をあまり見かけなくなった。都の制圧から逃れるためか、最近では川崎あたりにホームレスが集中しているという話も……。94年以降、都による地下通路からの暴力的な撤去や少年らによる襲撃事件など、現代社会はホームレスに対して共生ではなく、攻撃的排除を始めた。
 「ホームレスってどうだろう?」
 肌は色濃く、髪やひげはボサボサ、裸足でドロドロの服で地面にペタリと横になって……。そんな姿をよく街中で見かける。確かにそんな姿を汚いと思われても仕方のない面もあるだろう。実際は生きるために路上生活をしている。「汚い、怖い、怠け者といったマスコミのつくられたイメージを崩したかった。」という出演もしている遠藤大輔氏。一人でホームレスの輪の中に入り、いつしか絆が深まっていた。1年余り彼等を追い続けた。番組は、新宿の魅力的な仲間を紹介する『新宿の先輩達』や支援者紹介『サポーター in 新宿』特集では『越冬対策レポート』など充実した内容。ホームレスにとって大切な情報を提供している。新宿の地下通路に発電機とともに運び込まれたテレビを置き、この『新宿路上TV』が流れる。ホームレスにとっては迷惑、不愉快なことはないかと思ってたら逆に大好評で、それどころか「なぜ俺が映っとらん!」と怒る人もいるとか。取材者と被取材者、1対1の対等な人間関係を築いていった結果であろう。
 『そこに街があった』ではこの『新宿路上TV』の長期取材の集大成と言えよう。テレビでは報道されることのなかった具体的すぎる映像が観られ、かなり緊迫した空気がヒシヒシと伝わってくる衝撃作。2作とも映画ではないし、ドキュメンタリーでもない。映画以上、ドキュメンタリー以上のものだ。新宿のナマの声が伝わってくる。映像に現われるホームレスの1人1人が人間として見えてくる。こういった作品は非常に新鮮さがあり、非常に刺激的だ。これからのドキュメンタリーに新たなるあり方を感じさせてくれる。そんな気がしてならない。

由美香
1998年/V&Rプランニング/VTR/2時間20分
 
監督・出演=平野勝之
出演=林由美香
 
[解説]
 笑える。こんなに笑えるドキュメンタリーって今まであっただろうか。しかもちょっとH・北海道自転車シリーズ第1弾! AV監督の平野勝之とAV女優の林由美香がわくわく不倫旅行へと出発する。「不倫」と言っちゃうところがスゴイ! しかもわくわくだなんて。『流れ者図鑑』に続く三部作の第3弾では、平野自身がたった一人で旅するという。公開が待ち遠しい。ちなみに、私はまだこの作品のAVのほうを観てないのだが、ちゃんとレンタルビデオ店に置いてあるのでしょうか?
 P.S. 平野って、もしかしたらスゴイ奴かも……!

流れ者図鑑
1998年/V&Rプランニング/VTR/105分
 
監督=平野勝之
撮影=平野勝之、松梨智子
音楽=北野雄二
出演=松梨智子、平野勝之
 
[解説]
 昨年公開されて話題を呼んだ平野勝之監督作品『由美香』に続く「北海道自転車三部作」の第2弾。新人女優・松梨智子と自転車での北海道旅行に出かけたAV監督の平野は、「性の映像化」という使命と女優への愛憎に葛藤しながらさすらい続ける。次々に現われる旅の「流れ者」との出会いが彼らを和ませる。が、最悪の悪天候で監督の苛立ちが加速するなか、二人の溝が深まっていく……。