ファミリー・デー

11月28日 「ファミリー・デー」 (パルテノン多摩大ホール)

●Time Table●
10:30−12:09
12:40−14:25
14:50−16:34
16:55−18:20
学校の怪談4
劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕
ホーホケキョ となりの山田くん
ガメラ3 邪神<イリス>覚醒

学校の怪談4
1999年/東宝、サンダンス・カンパニー製作/東宝配給/1時間39分
 
監督=平山秀幸
原作=常光徹/日本民話の会
脚本=奥寺佐渡子
撮影=柴崎幸三
音楽=高桑忠男
美術=中澤克巳
編集=川島章正
出演=豊田眞唯、広瀬斗史輝、笑福亭松之助、原田美枝子
 
[ストーリー]
 半世紀前のとある海辺の町の、尋常小学校の夏。校舎でかくれんぼうをしていた5人の子供は、突然の津波に襲われ、鬼だった為辛うじて逃げおおせたこうちゃんを除き、海に沈む。こうちゃんが見つけてくれるのを、今かと待ちながら……。
 さて、現代に時代は移り、東京から恒(広瀬)と弥恵(豊田)の小学生兄妹は夏休みを利用してこの町にやって来た。その頃から、津波で死んだ少年少女のいわくに絡んだ子供たちが行方不明となり、彼らの幽霊が出没。ついに恒ちゃんである兄が連れ去られるに及んで、弥恵は、いつも海を見つめている不思議な文房具屋のおじさん(松之助)を思い出すのだった……。
 
[コメント]
 昨年『愛を乞うひと』で日本映画の賞を総ナメにした平山秀幸監督が、ライフ・ワーク(?)の<学校の怪談>シリーズ新作で本領を発揮している。と言うのは、いつもとちょっと違うのだ。このシリーズは、前3作も子供映画とは言えないくらいしっかりした構成でなかなかの出来だったが、今回、その自然な会話の脚本やユーモア感覚に加え、切々たる哀感と大きなドラマの昂ぶり、映像の見事さが合わさって、絶妙な作品となっている。それに、本気で怖いのです!! 大人の観賞にも十分以上堪えうる、怪奇の果てのほのぼの感動作だ。特に津波の描写の迫力や、レトロな部分と今時の子供のドライで小生意気な様子(その実可愛いのもちゃんと描けている)がそのもので、秀逸である。配役陣では、子供たちも名演技であるが、笑福亭松之助や原田美枝子もそれぞれの良い味を出している。
 さて、それにしても……女の子は強い。男の子、頑張れ! (夏)

劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕
1999年/ピカチュウプロジェクト99製作/東宝配給/1時間45分
 
監督=湯山邦彦
原案=田尻智
脚本=首藤剛志(『幻のポケモン ルギア爆誕』)
   園田英樹(『ピカチュウ探検隊』
演出=日高政光、須藤典彦、浅田裕二
音楽=宮崎慎二、たなかひろかず
声の出演=松本梨香、大谷育江、飯塚雅弓、関智一、さとう珠緒(ナレーター)
 
[ストーリー]
 『幻のポケモン ルギア爆誕』
 ある時、謎のコレクター・ジラルダンがポケモンの1匹「ファイヤー」をゲットし、それをきっかけに自然界のバランスが崩れ始める。サトシ(松本)たちはその頃アーシア島に漂着するが、言い伝えを聞かされる。「世界の破滅の時、海の神現れ、すぐれたるあやつり人とともに神々の怒り静めん……」。ジラルダンは、ついには「サンダー」「フリーザー」にまで手を伸ばし、「ファイヤー」を含む3者の争いのなか世界は絶体絶命の危機を迎えたが、その時幻のポケモン「ルギア」が誕生! 果たして「ルギア」は味方か? サトシたちに世界は救えるのか?!
 『ピカチュウ探検隊』
 ピカチュウたちポケモンの可愛らしいファンタジーである。
 
[コメント]
 当世の子供たちTVアニメでも大受けの「ポケモン」番外編の映画化、第2作目にあたる。毎夏すごい観客動員を数えるが、ディズニーや手塚治虫や宮崎駿の作品と比べて単純・幼稚にみえてしまうからか、映画ファンに評判が良いとは言えないかもしれない。でも私は、去年の第1作目から捨てたものじゃ無いと思っている。何故って、こんなに明快に楽しさや可愛らしさや冒険心・正義感を描いてくれる作品が、今の閉塞した状況にある子供たちの前にあって、彼らがそれに共鳴してくれているなんて、ナンカ嬉しくなってしまうのだ。思春期以降はとかく難しい顔して構えがちだが、人生も人も物事も自分も好きになったもん勝ち、と思う今日この頃なのだ。ポケモンには、そう言う肯定に溢れている。それに後半には、勧善懲悪でない深い意味の台詞も入っていましたよ。ルギアやサトシの母の発言に、注意してみて下さい。子供たちが自分も人も世界も同じ様に大切にする大人になるために、私は、ポケモンの蒔いた種が根付いて欲しいと願わずにはいられないのである。 (夏)

ホーホケキョ となりの山田くん
1999年/徳間書店、スタジオジブリ、日本テレビ放送網、博報堂、ディズニー製作/スタジオジブリ、松竹配給/1時間44分
 
監督・脚本=高畑勳
原作=いしいひさいち
絵コンテ・場面設定・演出=田辺修、百瀬義行
作画=小西賢一
美術=田中直哉、武重洋二
彩画=保田道世
撮影=奥井敦
編集=瀬山武司
音楽・主題歌=矢野顕子
声の出演=朝丘雪路、増岡徹、荒木雅子、五十畑迅人、宇野なおみ
 
[ストーリー]
 原作はいしいひさいちが朝日新聞朝刊で連載中の同名4コママンガ(現在は、『ののちゃん』に改名)。探せば日本のどこにでも居そうなごく平均的な家族。そんな山田家の日常生活をコミカルに描いたこの4コママンガを『セロ弾きのゴーシュ』、『おもひでぽろぽろ』、『平成狸合戦ぽんぽこ』等数々の名作を世に送り出した名匠高畑勲監督が、あのスタジオジブリと最新のデジタル合成技術を駆使し映像化に挑戦した作品。
 
[コメント]
 最初にこの『となりの山田くん』をスタジオジブリや高畑監督が映像化すると聞いたとき、正直いって<こんなアニメに向かない作品(いしいさんスイマセン)をわざわざあのスタジオジブリがやらなくても……>と思っていた。それは恐らく、筆者が従来のアニメを想像していたためだったと思うが、しばらくして原作者いしいひさいちのあの独特のタッチを最新のデジタル合成技術を駆使した水彩画調のアニメーションに仕上げたと聞いて正直いって驚いた。今この手法を思いつくのは高畑監督だけだろうし、映像化できるアニメスタジオは世界中探しても恐らくスタジオジブリだけだろう。
 それに今回も声のキャスティングは凄いの一言に尽きる。解説では触れなかったが、『洗濯機は俺にまかせろ』の富田靖子や『踊る大捜査線』の斉藤暁、そして『トキワ荘の青春』の古田新太がジプリ応援団としてデパート店員などに扮しているのをはじめ、ミヤコ蝶々やあの中村玉緒が特別出演しているのも見逃せない。なお、音楽・主題歌を担当した矢野顕子も、のの子の担任・藤原先生役でこの映画に登場している。スタジオジブリはこれからも我々の予測を超える映画を世に送り出すのではないかと楽しみになってきた一作だった。 (鴨)

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒
1999年/大映、日本テレビ放送網、博報堂、日本出版販売製作/東宝配給/1時間43分
 
監督・脚本=金子修介
脚本=伊藤和典
特技監督=樋口真嗣
撮影=戸澤潤一
音楽=大谷幸
美術=及川一
編集=冨田勳
出演=前田愛、中山忍、藤谷文子、福沢博文
 
[ストーリー]
 1999年、地球は異常事態に見舞われていた。鳥類学者の長峰真弓(中山)は4年前、日本に発生した恐怖の生命体ギャオスとの遭遇以来その生態究明に心血を注いでいたが、謎は深まるばかりであった。
 ある夜、東京・渋谷上空にギャオス出現。これを追ってガメラも飛来。週末の人々がひしめくなか、大激闘が展開されギャオスを撃滅するガメラだが、街は大打撃を受けてしまう。そんななか、4年前のガメラとギャオスの激闘で両親を失った比良坂綾奈(前田)は揺るがぬ意志を持っていた。「私はガメラを許さない……。」
 
[コメント]
 「ガメラ〜♪ガメラ〜♪つよいぞガ・メ・ラ……」という歌でお馴染みの昔の『ガメラ』と異なり、重厚なテーマ曲をバックにタイトル・イン。監督・金子修介、脚本・伊藤和典、特技監督・樋口真嗣がガッチリ手を組んだ<平成ガメラシリーズ>は、現在もしこの街に怪獣が現れたら……、そんな状況をリアルに表現してみせる。第3作目にして完結編となる本作では、ガメラの足元を逃惑う群集、激闘で壊されゆく街、ビルから吹飛ぶ人々、そんなシーンの積重ねを人の目線で描いてゆく。遠目にその光景を捕える報道カメラは、あたかもガメラが街を崩壊しているかのように映し出す。4年前両親を失いガメラに憎しみを抱く少女も現れ、果たしてガメラは人類の敵か? 味方か? そんな怪獣映画の常識を覆す“タブー”に挑戦する。「金子ドラマ」と「樋口特撮」各パートを別々に撮り進め繋ぎ合せる撮影体制。難題ゆえかそれぞれの思想が交錯し、「ドラマ」と「特撮」の間に溝を感じつつも力強い演出合戦(!?)となっている。
 終盤、世界中から集結するギャオスの群に、闘いの痛手を負いながらも単身乗込んでゆくガメラの勇姿に声援を贈らざるにはいられない。まだまだ続きが観たいものである・・・。(学)