ニッポン カルト・ムービー

11月21日 「ニッポン カルト・ムービー」 (ベルブホール)

●Time Table●
14:00−15:00
15:20−16:16
16:40−17:20

17:40−19:39
狂わせたいの
クルシメさん
トーク ゲスト:藤田秀幸監督、井口昇監督、
        グループ魂(阿部サダヲ、宮藤官九郎)
グループ魂のでんきまむし

狂わせたいの
1997年/16mm/モノクロ/60分
 
監督・脚本・制作・撮影・照明・美術・出演=石橋正義
 
[コメント]
 このタイトルのチラシを見て、想像するのが某宗教団体の広告塔として有名なY本○ンダのしどけなく肢体をくねくねして歌う姿。きっとそんな事を連想させる、中途半端な映画かと思いきや……○★*#%!? なんだ、このストレートなまでのぶっ飛び感は? この気持ちのいいわけわからなさ! 現代美術館に設置された見せ物小屋でストリップショーを観ている爽快なまでのエログロ!! これは肉体や見せ物の復権と叫んだ'70アンダーグランドシーンと大正浪漫カルチャーををパロディミックスして、人間のもつノスタルジックな感傷を逆手にとったアートを超えた映画だ! ところでこの人たち何者?

クルシメさん
1997年/VTR/カラー/60分
 
監督・脚本=井口昇
出演=新井亜樹、唯野未歩子
 
[ストーリー]
 愛する人ができると相手を傷つけたくなるという心の病をもつ女ユキと、身体にある秘密を隠しもつ少女カズエ。美しくも幸薄い二人が出会い、ほのかな愛情が芽生えたことから起こる戦慄の悲劇!
 
[コメント]
 監督としてより舞台役者としての井口さんを知り、またその舞台作・演出『紅い給食』を観ての井口さん感はその風貌からはかけ離れてなんと繊細な人なんだろうとの思いだった。そしてこの『クルシメさん』を観て、その思いは一層強くなる。
 よく言われる好きな女の子ほどいじわるしたくなるという単純な不条理。その人間だからもつ単純な心理を恥ずかしさ、コンプレックスの反転、昇華されたものとしての「お笑いもの」として描く。
 この「お笑い」は決してカッコよくはなく、かといってカッコつけるということに無自覚でいられない繊細さと見えっ張りな余裕がある。こんな感覚を持つものは、単純に幸せになれないねと諭しているかのような映画だ。しかし、この共通感覚は大事にしていきたい。

グループ魂のでんきまむし
1999年/VTR/カラー/119分
 
監督・脚本・編集=藤田秀幸
出演=阿部サダヲ、宮藤官九郎、村杉蝉之介、他 大人計画
 
[ストーリー]
 破壊(阿部サダヲ)と暴動(宮藤)とバイト君(村杉)はコント・トリオ「グループ魂」を結成するが、いっこうに芽がでない。その屈託を破壊と暴動はバイト君を虐待することで解消し、挙げ句の果てには彼を生け贄にしてテレビのレギュラーをつかむことに成功するのだった。これが元でバイト君と決裂。コンビで大成功をおさめる二人だったが……。
 
[コメント]
 これはグループ魂版『ビートルズがやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!』だ。人気劇団「大人計画」から生み出された舞台の役柄そのままのコント・ユニット「グループ魂」。その活躍や、CDは出すは、赤坂BLIZでライブはするは、あげくの果ては演芸番組の王道「笑点」に出演し、ジジババを戦慄させたるや、恐いもの知らずの命知らず!! さて、この映画は彼らの成功までのドキュメンタリー? いや、セミ・ドキュメント?? いやドキュメンタリードラマ??? もうどうでもいいや、つまり舞台そのままの彼らで決して赤ちゃんをあやしたり、しまうまをなだめたりしていない、生のお三人です。他にも大人計画の役者さんが大挙して出ています。特に主宰者でもある松尾スズキさんは凄いよ!