『息の跡』上映関連企画
『息の跡』とあわせて観たいおすすめ映画6選+『the place named』推薦文 ≫
<追加上映作品決定>
『息の跡』小森はるか監督の過去監督作品『the place named』の上映が決定いたしました。上映は15:30~の1回上映。『息の跡』鑑賞の方は半券提示で無料でご覧いただけます。
<保育サービスの実施について>
13:30~の回の上映中および『the place named』上映中、お子さま(満1歳以上 / 各回先着10名)をお預かりいたします(無料)。希望される方は、こちらのフォームからお申込ください。
岩手県陸前高田市。荒涼とした大地に、ぽつんとたたずむ一軒の種苗店「佐藤たね屋」。津波で自宅兼店舗を流された佐藤貞一さんは、その跡地に自力でプレハブを建て、営業を再開した。なにやらあやしげな手描きの看板に、瓦礫でつくった苗木のカート、山の落ち葉や鶏糞をまぜた苗床の土。水は、手掘りした井戸からポンプで汲みあげる。
いっぽうで佐藤さんは、みずからの体験を独習した英語で綴り、自費出版していた。タイトルは「The Seed of Hope in the Heart」。その一節を朗々と読みあげる佐藤さんの声は、まるで壮大なファンタジー映画の語り部のように響く。さらに中国語やスペイン語での執筆にも挑戦する姿は、ロビンソン・クルーソーのようにも、ドン・キホーテのようにもみえる。彼は、なぜ不自由な外国語で書き続けるのか? そこには何が書かれているのだろうか?
監督は、映像作家の小森はるか(『the place named』、『波のした、土のうえ』※瀬尾夏美との共同制作)。震災のあと、画家で作家の瀬尾夏美とともに東京をはなれ、陸前高田でくらしはじめた彼女は、刻一刻とかわる町の風景と、そこで出会った人びとの営みを記録してきた。失ったものと残されたもの。かつてあったものと、これから消えてゆくもの。記憶と記録のあわい。そのかすかな痕跡とぬくもりを彼女はうつしだしていく。あの大きな出来事のあとで、映画に何ができたのか。そのひとつの答えがここにある。
1955年岩手県陸前高田市生まれ。地元の高田高校を卒業後、農産加工会社に勤務。2000年に独立し、陸前高田市に種苗店「佐藤種苗」を開業する。東日本大震災による津波で自宅兼店舗、温室などを流されたが、その跡地に自力でプレハブを建て、2011年8月に営業を再開、店名を「佐藤たね屋」と優しく響く名に改名した。種苗販売のかたわら、津波の経験とその後の生活、また陸前高田の歴史や文化などを独習した外国語で書き続けている。
2016年/93分/16:9日本/ドキュメンタリー
監督・撮影・編集:小森はるか
プロデューサー:長倉徳生
プロデューサー/編集:秦 岳志
整音:川上拓也
特別協力:瀬尾夏美
製作:カサマフィルム+小森はるか
配給・宣伝:東風
1989年静岡県生まれ。映像作家。映画美学校12期フィクション初等科修了。東京芸術大学美術学部先端芸術表現科卒業、同大学院修士課程修了。これまでの監督作品に、『oldmaid』(09/映画美学校修了制作)、『彼女と彼女たちの部屋』(09/イメージ・フォーラムフェスティバル2010にて上映)、『the place named』(12/『桃まつりpresents すき』の一篇)、『あいだのことば』(12/『星空と路』にて上映)など。
2011年4月に、ボランティアとして東北沿岸地域を訪れたことをきっかけに、画家で作家の瀬尾夏美と共にアートユニット「小森はるか+瀬尾夏美」での活動を開始。翌2012年、岩手県陸前高田市に拠点を移し、風景と人びとのことばの記録をテーマに制作を続ける。2015年、仙台に拠点を移し、東北で活動する仲間とともに記録を受け渡すための表現をつくる組織「一般社団法人NOOK」を設立。主な展覧会などに「3.11とアーティスト|進行形の記録(水戸芸術館)」、「Art action UK レジデンシープログラム(HUSK Gallery/ロンドン)」、「記録と想起 イメージの家を歩く(せんだいメディアテーク)」「あたらしい地面/地底のうたを聴く(ギャラリー・ハシモト)」等。現在は自主企画の展覧会「波のした、土のうえ」、「遠い火|山の終戦」を全国各地に巡回中。
共著に「論集 蓮實重彦」(工藤庸子 編、羽鳥書房 刊)。本作『息の跡』が劇場長編映画デビュー作となる。
『息の跡』関連作品上映決定!
15:30〜16:06(1回のみ上映)
『息の跡』チケット(半券含む)で鑑賞できます。
※『the place named』のみ鑑賞は当日600円
戯曲「わが町」をもとに、田舎町に生きる少女の一日の生活と、「わが町」第3幕の稽古をする劇団員たちが交互に描かれる。死者たちが生きている世界について話す戯曲の言葉は、田舎町の日常に重なり、演じている役者自身にも投影される。役者との協同作業のプロセスのなかできあがった作品。
2012年/36分/日本
監督・脚本・撮影・編集:小森はるか
録音:鈴尾啓太、菅野慧
整音:西原尚
舞台演出・脚本:原麻理子
舞台戯曲:「わが町」ソーントン・ワイルダー作、額田やえ子訳
東京都多摩市永山1-5 ベルブ永山5F
京王相模原線・京王永山駅、小田急多摩線・小田急永山駅から徒歩約2分