第30回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【B-2】あたらしい世界のはじまり ふくだももこ監督×松本穂香

11/21[土] ヴィータホール

チケット料金

一般
前売のみ:1,200円 /

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おいしい家族

  • 2019年/日活、ハピネット製作/日活配給/95 分
  • 監督・脚本=ふくだももこ
  • 撮影=高橋草太
  • 美術=大原清孝
  • 音楽=本多俊之
  • 編集=宮島竜治
  • 出演=松本穂香、笠松将、モトーラ世理奈、三河悠冴、栁俊太郎、浜野謙太、板尾創路

ストーリー

主人公・橙花(松本)は、東京で働くキャリアウーマン。母の三回忌に実家の離島に帰ると、なぜか父・青治(板尾)が母の服を着て生活していることを知る。びっくりする橙花を気にせず父は続けて「この人と家族になる」と、お調子者の居候・和生(浜野)を紹介。状況をのみこめない橙花と、おおらかな島の住人たちとの暮らしをハートフルに描いた物語。

コメント

「父さん、母さんになろうと思う」と言われたら誰しも戸惑うだろう。しかし、この島の住人はそれを「似合っている」と受け入れている。確かに板尾創路演じる青治のお母さん姿は似合っているのだ。ありのままでそこに居る。他の登場人物も含め、好きな服を着て魔法のメイクをして舞う姿が美しかった。その姿を大切にしたいと純粋に思う。多様性の本質はこういうところにあるのかもしれない。そして、松本穂香演じる橙花が島で過ごす時間のなかで、徐々に心が解けていく様子と個性的な家族たちに歩み寄っていく姿は必見だ。

ちなみに「おいしい」には2つの意味がある。ひとつは文字通り「美味である」ということ。作中に登場するご飯はどれも美味しそうだ。もうひとつの意味は「好ましい。もうけになる。都合がよい。」ということ。生きていれば辛い経験をすることもある。しかし、酸いも甘いも噛み分けたらきっとおいしい人生が待っているだろう。(櫻)

君が世界のはじまり

  • 2020年/『君が世界のはじまり』製作委員会 バンダイナムコアーツ、アミューズ、オフィス・シロウズ製作/バンダイナムコアーツ配給/115分
  • 監督・原作=ふくだももこ
  • 企画=佐々木史朗
  • 脚本=向井康介
  • 撮影=渡邊雅紀
  • 音楽=池永正二
  • 編集=宮島竜治
  • 出演=松本穂香、中田青渚、片山友希、金子大地、甲斐翔真、小室ぺい、板橋駿谷、山中崇、正木佐和、森下能幸、億なつき、江口のりこ、古舘寛治
12歳未満の方は保護者の同伴が必要です

ストーリー

大阪のとある町の高校生たちの物語。代わり映えのしない日々を過ごすえん(松本)と琴子(中田)だったが、同級生の業平(小室)と出会い、関係性に変化が訪れる。それぞれに孤独を抱える伊尾(金子)と純(片山)は関係を持つようになる。そしてある日、高校生が父親を殺害する事件が起こる。

コメント

本作は高校生たちが主人公の物語だが、それぞれの家庭にも焦点を当てている。さまざまな暮らしがあって、悩みもひとそれぞれだ。学校では普通に振舞っていてもヒリヒリとした感情を抱えている。そんな彼らが生きるのは映画のなかだけだろうか? この映画で描かれる世界はきっと自分の近くにあって、現実の地続きのように思えてならない。だからこそ、この映画の発する切なる「ガンバレ!」のメッセージは観る者の胸を打つ。

「好き」という感情を持つことは難しいことではないかもしれない。ただ、その感情を突き詰めること、まっすぐに向き合うことはとてもエネルギーがいることだ。高校生たちは誰かを想い、悩んで傷ついてそれでも「好き」という気持ちを絶やすことはない。人の気持ちなんてわからない、それでもわかりたいと真摯に想い続けるものだけが新しい世界と出会えるのかもしれない。忘れられない一夜を越えた彼らがはじまりへと踏み出していく姿に確かな勇気をもらった。(緋)

ゲスト紹介

ふくだ ももこ 監督

Fukuda Momoko

1991年生まれ、大阪府出身。卒業制作『グッバイ・マーザー』(2013年)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014ほかで入選。若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)2015 に選出され、短編映画『父の結婚』(15年)を監督・脚本。16年、小説「えん」がすばる文学賞を受賞し小説家デビュー。オムニバス映画『21世紀の女の子』(19年)で「セフレとセックスレス」を監督。同年『父の結婚』をリメイクした『おいしい家族』(19年)で長編監督デビュー。現在TVドラマ、舞台演出、小説など幅広い分野で活動を拡げている。

松本 穂香 氏

Matsumoto Honoka

1997年生まれ、大阪府出身。高校在学中の2015年に短編映画『MY NAME』でデビュー。以降、連続テレビ小説「ひよっこ」(17年)やauのCMシリーズ「意識高すぎ!高杉くん」などを経て、テレビドラマ「この世界の片隅に」(18年)で約3,000人が参加したオーディションのなかから主人公のすず役を射止める。『おいしい家族』『わたしは光をにぎっている』(いずれも19年)、『酔うと化け物になる父がつらい』『君が世界のはじまり』『みをつくし料理帖』(いずれも20年)で主演を務めた。

中井 圭 氏

Nakai Kei

兵庫県出身。映画解説者。「映画の天才」代表。WOWOW「映画工房」、「FilmGarage」、シネマトゥデイ「はみだし映画工房」などにレギュラー出演中。テレビ、ラジオ、映画イベントでの映画解説のほか、雑誌、WEBにて映画評を執筆。BRUTUS選定「30人のシネマコンシェルジュ」。無知の知を体験する無料の教育PJ「偶然の学校」を運営し、面白い20代を育成中。

プログラム一覧

大島新監督、井手英策氏(慶應大学教授)
ふくだももこ監督(予定)、松本穂香氏、中井圭氏(映画解説者)
いまおかしんじ監督、城定秀夫監督、佐藤宏氏、西山真来氏、切通理作氏(文筆家)
シエロウインドシンフォニー、平井珠生氏
岨手由貴子監督、小川真司プロデューサー
岩井澤健治監督、森直人氏(映画評論家)
岩井俊二監督、斎藤工氏
団地団