第30回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラムレポート

【B-2】あたらしい世界のはじまり ふくだももこ監督×松本穂香

11/21[土] ヴィータホール
  • 16:00-17:35
    おいしい家族
  • 17:45-19:40
    君が世界のはじまり
  • 19:50-20:30
    トーク

第12回TAMA映画賞にて最優秀新進監督賞を受賞されたふくだももこ監督による『おいしい家族』『君が世界のはじまり』を上映いたしました。上映後には、両作品で主演を務められ、最優秀新進女優賞を受賞された松本穂香さんと映画解説者の中井圭さんをゲストに迎え、トークを行いました。

TAMA映画賞受賞について、松本さんはふくだ監督と一緒に受賞できたことに喜びを感じたそうです。「おもろい顔してるな」というふくだ監督の言葉から始まったお二人の出会いや、作品の裏話を聞かせていただき、親交の深さが伝わってくるお時間でした。

まずは、一本目に上映をした松本さん長編映画初主演の『おいしい家族』の話題から。新島での長期にわたる撮影のお話やふくだ監督だからこその世界観など、もう一度作品を見返したくなるようなお話を伺うことができました。主演を務められた松本さんは、プレッシャーを感じながら自分自身に制限をかけ、抱えていたもやもやした気持ちが作品にとって良い方向に出ていたのではないかと、当時を振り返り語っていただきました。また、父親が母親になりたいというジェンダーを超えた同一化の気持ちなど、ジェンダーや家族のあり方について考える新たな切り口を教えてくれる作品であることをお話のなかで実感しました。

次に、二本目に上映をした『君が世界のはじまり』に話題は移ります。ふくださんの短編小説『えん』と『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』を脚本家の向井康介さんが再構築し、ふくださん自ら監督を務められた本作品。六名の登場人物が全部ふくだ監督の一部であり、松本さんも一人ひとりが印象に残る作品とおっしゃっていました。作品の「世界のはじまり」というメッセージ性について、松本さんが「この人に出会って変われたとか、なりたい自分に近づけたということもあるかもしれないけど、結局それはその人が持っていたものだと思っているので、この人が世界の始まりっていうのはきっかけなのかもしれない。みんなそれぞれそのまんまで素敵だし、もう始まっているんじゃないかな」と語ると、中井さんも思わず「今日イチのセリフが出ましたね。」と絶賛する場面も。

最後に、ふくだ監督の作家性について尋ねられると、「全てに愛を感じる」と松本さん。続いて中井さんの「このお二人コンビの作品を今後も見たい。」という言葉に、客席からは拍手が湧き上がりました。ふくだ監督と松本さん、お二人の感性やエネルギーが生み出した作品をより深く知れる貴重なトークを伺うことができました。松本穂香さん、中井圭さん、ご来場いただきましたお客様、そして素敵な作品を届けてくださったふくだももこ監督、心より感謝申し上げます。

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