第31回映画祭TAMA CINEMA FORUM

第13回TAMA映画賞

明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰します。

選考対象
2020年10月から2021年9月に一般劇場で公開された作品及び監督・キャスト・スタッフ
選考方法
TAMA映画フォーラム実行委員(市民ボランティア)の合議により選考
過去受賞一覧
TAMA映画賞受賞一覧

最優秀作品賞

本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰

『ドライブ・マイ・カー』
濱口竜介監督及びスタッフ・キャスト一同

監督ビデオメッセージ上映

手話を含む多言語が交錯する舞台劇とさまざまな人物から語られる物語が幾重にも重なり、これまで味わったことのない、新しい感性を刺激する映画が誕生した。常に喪失を抱えながら生きる人々は私たち自身であり、その再生への道のりには涙を禁じ得ない。

『あのこは貴族』
岨手由貴子監督及びスタッフ・キャスト一同

岨手由貴子監督ご登壇決定 !

東京を舞台に、出自も生きる階層(セカイ)も違う二人の女性がその出会いを通して、恋愛や結婚だけではないそれぞれの幸せを見つけ、人生を自らの手で切り拓いていくさまを丁寧に描くことで、生きづらさを抱える人々の心を解放へと導いた。

特別賞

映画ファンを魅了した事象に対し表彰

幅広い世代が語り合わずにはいられなくなる珠玉の恋愛作『花束みたいな恋をした』に対して
土井裕泰監督坂元裕二及びスタッフ・キャスト一同

土井裕泰監督ご登壇決定 !

20代という時季にある恋愛・生活・心の移ろいを、脚本・演出・演者が一体となって緻密に描きだした。日常と地続きのような作品世界は、スクリーンを飛び越えて観客自身の物語と呼応し、誰しも「語りたくなる」ほどの感動を残した。

わかりやすさに忖度しない生粋の津軽弁と、津軽三味線のリズムにのって、じょっぱり(意地っ張り)の成長譚を描いた『いとみち』に対して
横浜聡子監督及びスタッフ・キャスト一同

横浜聡子監督・
駒井蓮氏
ご登壇決定 !

ヒロイン・いとがコンプレックスの源泉だった津軽弁訛りや三味線演奏に「わあ(自分)」を見い出し、周囲の「けっぱれ(がんばれ)」の声によって爽やかに力強く「いとみち=自分の道」を歩みだす姿が、多くの観客の琴線に触れた。

最優秀男優賞

本年度最も心に残った男優を表彰

役所広司

『すばらしき世界』『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』『竜とそばかすの姫』
ご登壇決定 !

『すばらしき世界』において、報われない一人の男の美しさ、暗さと人生のさまざまな深遠を憎めない愛らしい一面をも覗かせることで、観る者に胸を締め付けられるような切なさ、虚しさの思いを掻き立たせ、[純真]という秋桜の花言葉の意味を気づかせてくれた。

菅田将暉

『花束みたいな恋をした』『キャラクター』『キネマの神様』『浅田家!』
ご登壇決定 !

時代・地域・役柄・作風の全く異なる幅広いジャンルの作品に出演し、日常も虚構も自在に着こなして魅せる個性は、実在の人物のような手触りとともに唯一無二の輝きを放っていた。その陰影は作品の世界観に奥行を与え、観客の記憶には鮮烈な彩りをも残した。

最優秀女優賞

本年度最も心に残った女優を表彰

尾野真千子

『茜色に焼かれる』『明日の食卓』『ヤクザと家族 The Family』『心の傷を癒すということ 劇場版』
ご登壇決定 !

『茜色に焼かれる』において、理不尽な現実を怒りとともに飲み込みながら、愛と未来のために戦い続ける母親を、緩急の巧みさと気迫ある演技で見事に表現した。全身全霊を投じ生き抜くさまを、鮮烈にスクリーンへ焼きつけた。

有村架純

『花束みたいな恋をした』『映画 太陽の子』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』)
ご登壇決定 !

『花束みたいな恋をした』において、生活のなかにある会話や沈黙、表情、仕草を細やかに表現し、「八谷絹」という一人の女性に命を吹き込んだ。役柄への深い洞察に基づいた体温を感じさせるような演技は、観客を物語に惹きこむ大きな原動力となった。

最優秀新進監督賞

本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰

藤元明緒

『海辺の彼女たち』
ご登壇決定 !

凍てつく漁港のどんよりとした空の色と吹きすさぶ風音が観客の身に染みるのは、不法労働を強いられる彼女らの視点に立ち、高い倫理観と問題意識によって創られていることに他ならず、国際問題に真正面から挑む創作姿勢が素晴らしい。

松本壮史

『サマーフィルムにのって』『青葉家のテーブル』
ご登壇決定 !

『サマーフィルムにのって』において、映画製作に取り組む個性的な高校生たちのひと夏を、SF、ラブコメ、時代劇、友情ドラマなど目が離せない展開により潔いラストまで一気に見せ、映画の可能性と楽しさを明示して観客を魅了した。

最優秀新進男優賞

本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰

藤原季節

『のさりの島』『佐々木、イン、マイマイン』『空白』『くれなずめ』『明日の食卓』
ご登壇決定 !

『のさりの島』において、悪事に手を染めながらも、本当の孫のように接する老婆に対して生来の優しさを滲ませる青年を繊細に表現した。単純に良し悪しを決められない深みのある人物像を魅力的に創り上げることに秀でていて、ますます目を離せない。

金子大地

『サマーフィルムにのって』『猿楽町で会いましょう』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』
ご登壇決定 !

混じり気のないストレートな感情を熱く演じる一方で、複雑な感情のゆらぎといった言葉だけでは表しきれない心の機微をも体現した。その多彩な表現力は作品をより一層魅力的にし、末永く俳優として愛されていくことを確信させる。

最優秀新進女優賞

本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰

三浦透子

『ドライブ・マイ・カー』『椿の庭』『おらおらでひとりいぐも』『アイヌモシリ』
ビデオメッセージ上映

『ドライブ・マイ・カー』において、心地よいなめらかな運転同様に相手の心を柔らかく受け止められる女性ドライバーを、感情を表に出さない抑えた演技で体現し、彼女の発する言葉の一つ一つが観客の心のなかで反響した。

伊藤万理華

『サマーフィルムにのって』『息をするように』
ご登壇決定 !

『サマーフィルムにのって』において、表情がクルクル変化するかと思えば女子高生のダルさを醸し出し、極めつけはキレキレの殺陣で潔さを表した。我武者羅に役に入り込む伊藤万理華ならではの情熱で、今後どんな表現をするのか楽しみでならない。