『ウルフなシッシー』大野大輔監督インタビュー

date : 2018/09/15

第18回TAMA NEW WAVEグランプリ作品『ウルフなシッシー』の劇場公開を記念して、大野大輔監督にインタビューを行いました。以前から作品を応募いただいている大野監督に、本作の製作経緯から過去作についてのお話、映画の趣味まで様々なお話を伺っています。

聞き手(実行委員:矢野・松田・内田・佐藤)

会話メインの作品で恋愛映画が作れるかなと思ってやっていったら、負の力に段々負けていきました(苦笑)。

——— 『ウルフなシッシー』を撮ったきっかけを教えてください。

大野:前作『さいなら、BAD SAMURAI』(2016)がカナザワ映画祭で賞をもらったんですけど、それだけで上映会をするには尺が短かったので、カップリングの作品として上映会用に撮ろうと思ったのが『ウルフなシッシー』でした。

——— 製作期間はどれくらいでしたか?

大野:半年もかかってないですね。撮影期間はとびとびで1、2ヵ月、撮影日数は大体7、8日ですかね。

——— キャスティングはどのように?

大野:役者はシネマプランナーズという募集サイトを使って探しました。しじみさんに関しては、僕が事務所恐怖症なので、フリーランスでやってるアダルト関係の役柄でも抵抗がない方でオファーして出演してもらいました。根矢さんに関しては、Facebookか何かでお写真を見てオファーをさせてもらいました。YouTubeで動画も探して見たんですけど、画像の方が印象に残ってます。70年代の東映の『野良猫ロック』的なものを感じて(笑)。

——— 梶芽衣子ですか(笑)。

大野:役柄の年齢よりも根矢さんの方がだいぶ年下なんですけど演じてもらいました。

——— シナリオはすぐ書き上げたのですか?

大野:たぶん1、2カ月くらいだと思います。

——— 公式HPの監督ご自身のコメントで、「制作当初はラブストーリーだったはずの今作ですが、(中略)<ルーザー同士の泥仕合>に変貌していきました」とありましたが。

大野:最初は恋愛映画を目指して、『さいなら、BAD SAMURAI』の2本立てとして対照的なものをと考えていました。予算が全然ないので会話メインの作品となると恋愛映画が作れるかなと思ってやっていったんですけど、負の力に段々負けていってしまって(苦笑)。

——— 大野さんは元々出演するつもりだったんですか?

大野:出たいというよりは予算の都合とかで出ざるを得ないなと思って。

——— 『ウルフ~』を作るにあたって参考にした映画はありますか?

大野:カナザワで上映したときはリップサービスのつもりで『アニー・ホール』(1977/ウディ・アレン監督)とか言ったんですけど、あまり参考にした作品ってないんですよね。でも会話劇の作品は観たりもしました。リンクレイターの『ビフォア』シリーズとか。邦画は苦手なので観なかったですけど。カサヴェテスの作品も観返したりしました。

——— 最近の邦画は全然見ないですか?

大野:全然見ないですね。面白かったら面白かったでジェラシーを覚えますし、つまらなかったら金返せってなりますし、あまり得しないなと思って(笑)。

——— 『ウルフ~』はかなり少人数の体制だったんですか?

大野:そうですね。最初の2日目くらいまでは「今度はちゃんとやろう」と思って音声の人を呼んでやってもらったんですけど、どんどん撮影隊が減って、最終的には自分でカメラを置いて撮ることになりました(苦笑)。『さいなら』形式に戻っちゃって。

——— 部屋の中のシーンの録音はカメラマイクを使ってたのですか?

大野:一応ガンマイクを置いてたんですけど、設定を間違えてたみたいで、どうにも加工ができなくてノイズが入ったままになってしまいました。

——— 部屋の会話のシーンで発情期の猫の声がするシーンがありますが、あれは偶然入り込んだのですか?

大野:あれは僕の住んでる近所で鳴いてたんですよ。全然寝れなくてイライラして、でもこれは環境音として使えると思って録ったものを使ってます。

——— 部屋のシーンはどちらで撮られたのですか?

大野:友達の部屋を借りたんですけど、すごい面白い場所にあって。ホテルなんですけど、あるフロアだけ賃貸形式になっていて。だからその友達は他の階で宿泊客として泊まってもらったんです。

——— 部屋のシーンの直前におじいさんが一瞬出て来て通り過ぎるシーンがありますが、どのような狙いでしたか?

大野:主人公たちのどんづまりの感じを出したかったというのと、あと部屋の外と中は別の家なので繋ぎの要素が欲しいというのがありました。

——— ああいうシーンがあることですごく客観性が出てくるというか、他のシーンでも二人が会話してるところを別の第三者がいて、例えばバーのシーンでアヤコ(根矢)とお友達が会話しいるところを別の客が見ていたり、AVの撮影現場のシーンでも大野さんとしじみさんのやりとりを鏡のそばで男が見ていたりするところがありますよね。

大野:あ、あそこはそこにスタンドミラーがあるので映画っぽいことをしようと思って撮ったんですよ。一気にオシャレになったなって(笑)。

——— 部屋のシーンは実際にお酒を飲まれていたんですか?

大野:そうですね。メソッド演技のつもりで(笑)。缶3本くらい空けていました。あのシーンは2日通して撮っていました。だから序盤の数時間くらいしか覚えてないですね。途中から機嫌が悪くなってきてイライラしてきているのが分かります (笑)。根矢さんの演技がドンピシャだったんでしょうね。根矢さんも飲んでましたが酔ってなかったです。絵コンテも書いていて構図とかカメラ位置は撮影前に決めているんですが、観返すと何で自分はこのアングルでこんなの撮ってるんだっていうのばかりで、恐ろしかったです(笑)。お酒を飲んで撮ったのはあのシーンだけですね。

——— 延々続く会話劇の後に朝を迎えて解放されるような引きのショットが素晴らしかったです。

大野:あれは4テイクくらい撮ったんですよ。通行人のバイクの人のタイミングとかがよかったテイクを使いました。

——— あの引きのショットで終わるといい話として終わりそうな気もしますが、その後の話の落とし方に大野さんの作家性を強く感じました。

大野:照れ隠しです(笑)。

——— 『ウルフなシッシー』というタイトルは、どのような意図で付けられたんですか?

大野:「シッシー」はアメリカのスラングで「腰抜け」とか「弱虫」という意味で、対義語を二つくっつけたタイトルです。あと作品のあらすじ的に『バージニア・ウルフなんかこわくない』(1967年/マイク・ニコルズ監督)がちょっと近いので、分かる人には分かればいいやと思って付けたんですけど、上映会をやった後すぐに、「『バージニア・ウルフなんかこわくない』に影響受けているのかな」とツイートされてました。結構コテコテだったかなと(笑)。

——— 『ウルフなシッシー』の反響はどうでしたか?

大野:他の映画祭にもいろいろ出したのですが通過連絡が来なくて。だからTAMA NEW WAVEでグランプリを取ったのが不思議です(笑)。

「戸惑い」を覚えたのは、アメリカン・ニューシネマが初めてでした。

——— 好きな映画や映画監督は何ですか?

大野:僕が一番好きなのは、ロブ・ゾンビ監督の『デビルズ・リジェクト』(2005/ロブ・ゾンビ監督)です。思春期に思い切り影響を受けて。あとはやっぱりアメリカン・ニューシネマ系ですよね。それで一番好きなのは『グライド・イン・ブルー』(1973/ジェームズ・W・ガルシオ監督)や『スパイクス・ギャング』(1974/リチャード・フライシャー監督)と、あと『哀しみの街かど』(1971/ジェリー・シャッツバーグ監督)とかですかね。他にももっといっぱいありますけどね。『ファイブ・イージー・ピーセス』(1970/ボブ・ラフェルソン監督)も好きですし。

——— アメリカン・ニューシネマのどのあたりに惹かれるんですか?

大野:渇いた感じやアヴァンギャルドなところが好きですね。あと観た後にこっちがどんなリアクションをしたらいいのか戸惑うじゃないですか。そういう経験を受けたのはアメリカン・ニューシネマが初めてで。『イージー・ライダー』(1969/デニス・ホッパー監督)とかポスターだとバイク乗って音楽かけてみたいなノリノリの印象なんですけど、実際に観たら「何で最後この人たち死んじゃうの?」みたいな(笑)。普通にエンドロールが上がってきちゃうし、これはどういうことなんだろう?って(笑)。

——— 気になる同時代の作家はいますか?

大野:全然いないですね。インディーズの日本映画で影響を受けたのは高橋洋さんとチンプイ(藤原章)さんですね。『ラッパー慕情』(2003)とか『ヒミコさん』(2007)とか。だから藤原さんがまた活動を再開しだしたら僕の存在意義というかやる意味がなくなってしまうような(笑)。あと井口昇監督の『恋する幼虫』(2003)とか。あとは三池監督のVシネ時代の作品とか。

——— 『DEAD OR ALIVE』(1999~2002)とか?

大野:好きですね。一番ショックを受けたのは『IZO』(2004)なんですけど。本当に秘宝系なんですよね。秘宝で大々的に紹介されてる映画はいい映画だと思ってたので。

「修了制作には絶対選ばれないだろうけど、自分でこれを撮ってみたら?」と言われて。
~『BAD SAMURAI FOREVER』(2013)について~

——— 映画製作を志したのはいつ頃ですか?

大野:高校のときに映画部に入ってました。監督は固定ではなく、このシーンはこの人が監督をやってみたいな入れ代わり立ち代わりでみんな色々な役回りをやってました。でもあまり覚えてないですね。本当に映画をやりたいと思ったのは、映画美学校に通ってた頃です。

——— 小さい頃から映画には関心があったのですか?

大野:中学の頃から映画のことをやりたいなとずっと思ってたので。親が元々映画好きで小さい頃から週末によく映画館に連れてってもらいました。観たのはハリウッド大作が多かったですけど。中学生になると自分でレンタルショップに借りにいったりして色々な映画を見るようになりました。その頃にハリウッド大作以外の別ジャンルの映画の存在を知りました。ニューシネマを見たのもその頃です。高校の時に『デビルズ・リジェクト』をシアターN渋谷で観て衝撃を受けました。その前に高橋洋監督がホラー番長シリーズで撮った『ソドムの市』(2004)を中学生のときに観て面白いなと。でもその時は高橋洋という存在を特に意識したわけではなく、その人が『リング』(1998/中田秀夫監督)の脚本家であることも知りませんでした。

——— どんなきっかけで『ソドムの市』を観たんですか?

大野:中学の頃から映画秘宝を毎月買ってたんですよ。秘宝に載ってる映画ばかり観ていて、投書もしてたんですよ。してたというか、いまもちょくちょくしてるんですけど(笑)。そもそもは映画秘宝が僕を変な方向に行かせたというか(苦笑)。

——— 挙げられた作品はどれも戸惑いを覚える作品ばかりですよね。そう考えると初監督作品の『BAD SAMURAI FOREVER』もその感じがありますね。

大野:そうですね。基本はそっちの路線なんですよ。だから撮りたいものと撮れるもののすごい乖離があるというか(苦笑)。

——— 『BAD~』は、それ以前に未発表の作品もなく、初監督作品でしたか?

大野:そうですね。美学校の課題で自分の撮りたい作品の最初の3分間を撮ってくるというのがあって、それで『BAD~』本編の最初の3分間を撮って、それは講師の古澤健さんにすごい褒めてもらって、「修了制作には絶対選ばれないだろうけど、自分でこれを撮ってみたら?」と言われて。じゃあ撮ろうと思って、それから撮り始めた感じですね。だから全部古澤さんのせいなんです(笑)。『BAD~』の冒頭はまるまるそれなんです。3分間の課題を作る時点で全体の構想はあったんですけど、それからずるずる5年以上かかって。

——— 結構セットとか衣装とか揃えてた感じでしたよね。

大野:全部古着でしたけど。

——— 撮影はどちらで?

大野:逗子の個人経営してる農園をお借りしたり、室内のシーンは都内の会館を借りたり。

——— 制作をする上で参考にしたりインスピレーションを得たりした作品というのはありますか?

大野:『BAD~』に関して言えば、石井輝男や牧口雄二のポルノ時代劇とアメリカン・ニューシネマのいいところ取りをしたすごい作品を撮るつもりでした。両方とも例えば最後主人公が死んだりする突き放した感覚が通じるところある気がします。結果的によくわからないものになっちゃいましたけど(笑)。元々アメリカン・ニューシネマや東映の70年代の映画だとか、ジャンル系というかグラインドハウス路線の作品ばかり見ていたので、そういう系のやつをやりたいと思ってやり始めたんですけど。

——— 反響はどうでしたか?

大野:反響はひどかったですね(苦笑)。上映会をやってお情けで美学校同期の人たちは見に来てくれたんですけど。2,3回単独で上映会をやったんですけど、お客さんもてんで来ないし、評判という評判も聞かないし、面白いという感想も聞かないし、映画祭のコンペに出してもかすりもしないので。どうしたものかと思ったんですが、作ってしまったものは仕方がないと思って、何とかこれを再利用できないかと思って『さいなら』(2015)を作りました(笑)。全部ひどい体験とかもネタとして受け止めて……。

——— 現在作品を振り返って自己評価はいかがですか?

大野:僕はすごい気に入ってるんですけど。諸事情でカットする前の90分版はたまに自分一人で酒を飲みながら見直したりしてます。「面白いと思うんだけどな」とかぐちぐち言いながら(笑)。

あまりペーソスのようなものを押し出さないで、本当に自分を客観的に見ていこうみたいな感じは肝に銘じて撮っていました。
~『さいなら』について~

——— 『さいなら』は不遇の作品に対しての怒りのようなモチベーションがあったのですか?

大野:『さいなら』を作ってたときが一番いままでで鬱屈していた時期だと思います。一番フラストレーションだとかいろんな欲求みたいなものも入ってると思います。

——— 自分の作品が世に受け入れられなくて、その受け入れられない作品を作った自分を俯瞰して捉えて、作品をネタとして取り込んで新たに作品を作るというのはかなり珍しい例だと思いました。

大野:たぶんそうするしかなかったんだと思います。作る予算もないし、人脈もなくなってしまったので。

——— 製作期間はどれくらいだったんですか?

大野:1年くらいですかね。作品内の時系列通りに作っていったので。劇中にも出てくる『パシフィック・リム』(ギレルモ・デル・トロ監督)が公開された2013年の丸一年を使って作りました。

——— 撮影当初から大枠は決めて時系列順に撮っていったのですか?

大野:たぶんハコ書きくらいしか決めてなかったと思います。何月はこんな感じでという具合に。撮る前月くらいにシナリオを書いて…そんな感じでぼちぼちやってったと思います。そのとき僕もバイトをずっとやるか正社員勤務にするかというので一番揺れてた時期かもしれないですね(※劇中に就職面接を受けるシーンがある)。それでそんなに映画ばかりに集中できないということで、土日祝日で撮りためていきました。

——— セリフがよく練られていると思いました。

大野:実生活の経験とかも入ってると思うんですけど、何でしょうね。『さいなら』のときは鬱憤が溜まっていたので殺伐とした感じに(笑)

——— 発するセリフが深夜ラジオ的に聞こえました。

大野:そうですか。意識してなかったですけどラジオは時々聞いてますね。JUNKやオールナイトニッポンだとか。

——— 『さいなら』の評判はどうだったんですか?

大野:『さいなら』はよかったんですよ。ゆうばりでもかけてもらえましたし。美学校の映画祭にも応募したらかけてもらえて。そのとき結構反響がよくて。初めて美学校の同期からも面白いという感想が返ってきて。それからたしかコンペに出したのかもしれないですね。

——— 『さいなら』で自分を自虐的にネタとして使って受けたところは、『ウルフなシッシー』にも引き継がれている部分があると思いました。現在YouTubeで配信中の『アストラル・アブノーマル鈴木さん』でも感じられますし、大野さんの作風になっているように感じます。

大野:すごいみみっちい作家性ですけど(笑)。

——— すごくクールというか突き放してる感じが好きです。

大野:『さいなら』に関して言えばあまりペーソスのようなものを押し出さないで、本当に自分を客観的に見ていこうみたいな感じは肝に銘じて撮っていました。

ブルーな人たちの息抜きになればいいなと思ってます。

——— これから撮りたい作品はありますか?

大野:いま二つの企画を進めてます。1つは現実的な予算の作品、もう1本は予算がわからないけど撮りたいものです。

——— 撮りたいのはやっぱりニューシネマのような作品ですか?

大野:狼女とブルーフィルムがテーマで。今までのより抽象的というか、路線としては『BAD~』です。戻ってはいけない路線かもしれませんが(笑)。もう1本は1人キャンプを題材にしています。ユーチューバーみたいなキャラがキャンプを始めて…という感じで、P. O.V.的な作品にしようと。

——— 『ウルフなシッシー』はどんな人に見てもらいたいですか?

大野:難しいですね。あ、でも、たけしのオールナイトニッポンか北野ファンクラブか何かのラジオで、たけしと談志師匠が対談してるんですけど、そのときに談志師匠が「ブルーな人たちを救うというのが俺たち芸人の役目だ」と語ってたんですよね。それにはすごいシンパシーを感じます。ブルーな人たちに寄り添いはしないですし、むしろ突き放しているような気もしますけど(笑)、そういう人たちの息抜きになればいいなと思ってます。

『ウルフなシッシー』

INTRODUCTION

女、男、泥仕合。世紀の80分間ノンストップ痴話喧嘩!フェチズムな新米AV監督辰夫とパチンコ依存症の売れない女優アヤコ。辰夫「夢はしぼんで、愛も冷めて、それでも女は前を向くか。」アヤコ「そもそも愛を抱いていたかなぁあんたに。」泥酔したアヤコと辰夫は互いの不満を罵詈雑言と共に吐き出していく……。


  • 2017年/HD/79分
  • 監督・脚本ほか=大野大輔
    • 根矢涼香、大野大輔、真柳美苗、中村だいぞう、本村壮平、小池首領、田中一平、椎名綾子、高橋信多、増井孝充、三原哲郎、下城麻菜、相田淑見、志津将寿、大友久志、しじみ

大野大輔監督作品解説

『BAD SAMURAI FOEVER』(2013)

解説:幕末を舞台に、強姦に精を出す身分不詳の男・十痢股朗(とおりまたろう)の行く末を描く。異色、というより異常、という言葉が似合う異常時代劇。荒削りでフリーキーな世界観は後の作品と離れているようだが、後の作品にも通低する登場人物の強烈な情念の闘争がカーニバル空間を現出させる。当初90分版が存在したがやむを得ない事情で現行版は30分版。

『さいなら』(2015)

解説:前作『BAD SAMURAI FOEVER』が監督自身に引き起こした様々な負債、問題をフィクション/ノンフィクションの境界線上で描く、これまた問題作。ある意味、自分の「敗北」を描いた作品だが、自己憐憫もなく、どこか乾いた諧謔が続く。

『さいなら、BAD SAMURAI』(2016)

解説:『さいなら』と『BAD~』を合わせた作品。カナザワ映画祭2016にて「期待の新人監督賞」を受賞。審査員の黒沢清監督曰く「映画を撮ることとフィクションの折り合いを最後までうまくつけることができないという姿勢に一番切なさを感じた」。

『アストラル・アブノーマル鈴木さん』

解説:全17話のYouTube配信ドラマ。主演は松本穂香。群馬の田舎町に暮らすユーチューバーとその周りの癖のある人たちが織りなす、やさぐれコメディ。
「# アスアブ鈴木」再生リスト


大野大輔監督プロフィール

1988年生まれ、千葉県出身。映画美学校 13期フィクションコース初等科修了後、映画制作チーム「楽しい時代」を結成。監督作『BAD SAMURAI FOREVER』(13年)、『さいなら』(15年)、『さいなら、BAD SAMURAI』(16年)。
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