第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『タクシー運転手 約束は海を越えて』という権力の圧力に屈せず、真実を追及した海外のジャーナリストの活躍を描いた映画を2作上映したあと、東京新聞社会部記者・望月衣塑子さんのトークイベントを開催しました。現役の記者でいらっしゃる望月さんには、日本では権力とジャーナリズムの関係はどうなっているのかというテーマでお話していただきました。
望月さんのトークは非常に快活でテンポよく、開始早々ぐいぐいとお客さまを引き込んでいきました。地方での駆け出し記者時代、「夜討ち朝駆け」の取材経験、日本歯科医師連盟に関するスクープ、最近の政権取材にまつわる具体的で生々しいエピソードを臨場感たっぷりにお話していただきました。記者のやるべきことは、時代の権力者、時にはその捜査機関含め、彼らが今何を隠そうとしているのかを追い続けることだとおっしゃっていましたが、望月さんのこれまでの取材経験を聞いてより一層腑に落ちました。
望月さんの徐々にヒートアップするトークにつられてお客さまの引き込まれ度合いも上がっていきました。じっと聞き入る雰囲気のなか、時には笑いや膝を打つ賑やかさがあり、時には息をのむ静けさが訪れ、濃密な一時間があっという間に過ぎていきました。
トーク後、望月さんのサイン会付き著書の販売会は大盛況。望月さんの横で進行のお手伝いをしていましたが、お客さまがそれぞれに今日のトークの感想や、日ごろ思っていたがなかなか話す機会がなかったであろう政治やジャーナリズムへの思いを望月さんに熱っぽく吐露されていた姿が印象的でした。
映画を通して骨太なジャーナリズムの精神に触れたあと、日本の権力とジャーナリズムのあり方をふと立ち止まって考える機会になったのではないでしょうか。望月さん、お越しいただいたお客さま、ありがとうございました。