第26回映画祭TAMA CINEMA FORUM
第8回TAMA映画賞で特別賞を受賞した『ジョギング渡り鳥』と、同作鈴木卓爾監督も出演する『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』という、新しさ・自由さを感じさせる2作の特集上映「カメラの先のユートピア」では、上映後、『ジョギング渡り鳥』監督・キャストの方々のトークとライブに続き、『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』スタッフ・キャストのみなさんによるライブを行いました。
映画祭初日に行われた第8回TAMA映画賞受賞式に、撮影のため登壇できなかった鈴木卓爾監督。当日は、ビデオメッセージでの参加となりましたが、キャストの方々から受賞式の感想を聞くと「客席で見ていたかった」とまさに監督らしい感想が飛び出しました。また、映画美学校アクターズコースでの鈴木卓爾監督の授業として撮影が始まった『ジョギング渡り鳥』の製作の経緯について話題が移ると、「物語の中の役を演じることだけでなく、映画撮影という行為を通して映画の世界の外側にある運動を味わってほしかった。そしてそれが、映画を観る人にも伝わるということが完成してわかった。」と語られました。そして、トークの後、多くの観客から絶賛されるラストシーンで使用されるメインテーマが披露されると、不器用ながらも優しく力強い歌声によって、会場が感動的な空気に包まれ、数分前の映画のラストシーンに戻ったかのような不思議な時間が流れました。
そして、その後は、『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』の黒川幸則監督を始めとしたスタッフ・キャスト、そしてゲストの杉本拓氏(ギタリスト・作曲家)を迎えた豪華メンバーでのライブが行われました。作中でもふんだんに音楽が使用される『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』は、劇場での上映時にも様々な編成でのライブが行われていましたが、この日は、新たに制作された楽曲たちが惜しみなく披露され、まさに映画の中の登場人物たちを見ているかのようなパフォーマンスで会場を盛り上げてくれました。
『ジョギング渡り鳥』、『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』と、大勢のキャスト・スタッフの方々をお迎えしてのトークとライブは、映画祭の中でも異色のプログラムでしたが、映画の世界を見ているかのような新しい体験をさせてくれました。今後の上映でも多くの人との素敵な出会いがあることを祈ります。