第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
曇天の映画祭初日。2作品の上映が終わり、授賞式が始まる頃にはすべての席が埋まりました。ピンと張り詰めた空気のなかで最優秀新進監督賞から授賞式がスタート。瀬田なつき監督が「青春のきらめきみたいなものを未来の人にも残せたら」とおっしゃれば、菊地健雄監督も「(助監督として)現場で修行を積ませていただいた12年間思っていたことを監督として形にするように日々努力しています」と語ってくださり、今後に向けて前向きな抱負を述べられました。
最優秀新進女優賞では、石橋静河さんが「映画の現場が好きです。自分のなかに隠れてる弱さや強さを全部さらけ出せる女優さんになりたい。」と女優としての意気込みを語れば、土屋太鳳さんは「受賞理由は、“それでいいんだよ”って包み込んでくださるような、これからの自分の背中を押してくださるような言葉でした。この言葉を胸に、尽力していきます。」と前を向いていらっしゃいました。
最優秀新進男優賞では高杉真宙さんは、「去年は“もっと、もっと”と貪欲に成長していきたいという風に生きて、それで今年こうしてここに立っていられるのだと思います」と語り、間宮祥太朗さんは、「僕はずっと映画少年で映画にいろんなことを教えられて育ちました。こうして初めて賞をいただけて、本当に幸せです!土屋太鳳さん、高杉真宙さんと共に受賞できたこと、本当に嬉しく思います!」と、最後は『トリガール!』に出演された3人が壇上で喜びを分かち合って締めくくりました。
特別賞は、『バンコクナイツ』で受賞された空族の相澤虎之助さんと主演された川瀬陽太さんが登壇され、タイの撮影で配慮されたことなどを語ってくださり、『夜は短し歩けよ乙女』、『夜明け告げるルーのうた』で受賞された湯浅政明監督の代理・伊藤準之助プロデューサーは、海外でも非常に高い評価を受けていることを語ってくださりました。
最優秀女優賞では、長澤まさみさんが「こんなにアットホームで温かい映画祭は初めてな気がします」、満島ひかりさんが「第1回に受賞したときよりスムーズになっていて、楽屋に置いてあったマカロンにも映画賞のマークが書いてあって余裕があるなぁ」と、映画祭スタッフにとって励みになるお言葉をいただきました。その後、長澤さんが「今までの積み重ねがこの先に生きていけばいいなと。観た方に価値を感じていただけるよう努力していかなければと思います。」と抱負を語ってくださり、満島さんは「(『海辺の生と死』舞台の奄美大島は)しゃべり言葉が生まれ育った場所に近かったので、島の言葉で使って撮影することで自分の心に近づいた言葉を吐けた」と、撮影時の心境を語ってくださりました。
最優秀男優賞では、池松壮亮さんが「思い入れのあるこの作品で受賞できたことが嬉しいです。(今後も)1本1本こだわってあきらめずにやっていきたいと思っています。」と力強く語ってくださいました。浅野忠信さん代理の江守徹プロデューサーは「映画のなかで信を演じさせてくれて、真の家族を演じさせてくださった共演者とスタッフ、何より三島有紀子監督に深く深く感謝致します。そして、私、浅野忠信を選んでくださったTAMA映画祭の皆様、本当に本当にありがとうございます」といった感謝の言葉を読み上げられました。
最優秀作品賞では、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石井裕也監督が「感覚的に自由に作った映画を評価していただいて嬉しいし、励みになります」と述べられ、主演の池松壮亮さんに「僕にとって特別な存在で、人生賭けて大勝負しようと思う時にいてほしい」と信頼を寄せられました。おおとりの『散歩する侵略者』の黒沢清監督は「いくつかの映画祭で賞をいただいておりますが、今回やっと作品賞が獲れました。一等賞ですね。ずっと映画を撮り続けているとこんなに幸せな日が来るのだと思いました」と出演された長澤まさみさん、高杉真宙さんと喜びを分かち合いました。
2時間を超える授賞式でしたが、ご登壇者の誠意とお客様の醸し出す温かい会場の雰囲気で今年もいいセレモニーになりました。これを継続していけるよう映画祭運営を頑張っていきたいと思います。